自然と調和する現代建築──「ホテルライクな平屋」の外観とエントランスに込められた美意識

愛知県豊川市の自然豊かな清流沿いにひっそりと佇む「ホテルライクな平屋」。アクセス良好な立地にありながら、周囲の景観と調和する佇まいが印象的です。建築家によって設計されたこの住まいは、モダンなデザインと日本の伝統的な軒の美しさが融合し、平屋でもホテルのような洗練された暮らしが叶います。今回は、外観から玄関、LDK、水回りに至るまで、暮らしの核となる空間をご紹介します。

シンメトリーデザインが生む美しさと存在感

「ホテルライクな平屋」は、現代建築と日本の伝統美を融合させたデザインが特徴。左右対称の美しいシンメトリーフォルムをベースとし、もっとも高い位置では2階建てほどの高さを持つダイナミックな外観が、堂々たる存在感を放ちます。

外壁に用いられているのは、今人気のアースカラーを基調とした塗り壁。周囲の山々や川の自然と溶け合い、まるで土地の風景の一部であるかのように佇みます。また、日本建築のエッセンスを取り入れた深い軒のラインが、実用性と美しさを兼ね備えた優雅なシルエットを演出。日差しを程よく遮り、屋内外の温度環境を整える役割も担っています。

目隠し壁で包む、完全プライベートなリゾート空間

この住まいの大きな特徴のひとつが、道路側からの視線を完全に遮る“目隠し壁”の存在。高さのある壁がファサードに設けられており、住まいのプライバシーをしっかり守りながら、外観にモダンで凛とした印象をもたらしています。

アプローチからはじまる、非日常の時間

広々とした敷地には、来訪者を自然に誘うような美しいアプローチが設けられています。コンクリートと砂利のコントラストが心地よいリズムを生み出し、足元から非日常感を演出。玄関へと向かう時間さえも、どこか旅のはじまりを思わせるようなワクワク感に包まれます。

目隠し壁の内側には、丁寧に整えられた植栽スペースが配置されており、無機質になりがちな直線的な建築ラインに、自然の柔らかさを添えています。

和の美意識と現代的なクールさが同居する絶妙なバランスは、まさにリゾート地の隠れ家のような趣きです。

さらに植栽の向い側にはアウトドアソファを配したテラススペースが広がります。

広さにもゆとりがあり、ゲストを招いてのBBQや夕暮れ時のワインタイムなど、多彩なアウトドアアクティビティを叶えます。

タイルと石を組み合わせた床は、まるで京都の石庭を想わせる静謐な表情。

自然光と植栽が織りなす陰影が、時の移ろいを感じさせてくれます。

焼杉の玄関扉が迎える、上質な日常

玄関の扉には、日本の伝統素材・焼杉を採用。重厚感のある黒色と、焼き加工によって浮かび上がる独特の木目が、シンプルでありながら印象的な佇まいを生み出します。経年変化により色味や質感に深みが増すため、住まいと共に時間を重ねていく楽しさも味わえます。

扉を開けた先には、自然光と間接照明が織りなす柔らかな光に包まれたエントランスが登場。

高い天井が空間に広がりを与え、ゲストを迎えるにふさわしい開放感を提供します。

収納スペースにはシンプルで機能的なボックス収納と可動式シューズラックを設置。

さらにジャケットやアウトドア用品なども収納できるハンガーパイプ付きのクローゼットを備え、利便性にも優れています。

静けさと開放感が交差する「迎賓の場」

「ホテルライクな平屋」は、ただの住宅ではなく、日々の暮らしそのものを非日常へと昇華させるリゾート空間です。自然の風景に溶け込みながらも確かな存在感を放つその外観は、街に新たな美意識をもたらします。そして、敷地の奥へと誘うアプローチ、目隠し壁に囲まれたテラス、焼杉の玄関扉…。それぞれのディテールに込められたこだわりが、まるで旅先のリゾートホテルのような「おもてなしの空間」を日常にしてくれます。

後編:暮らしに広がりをもたらす平屋──「ホテルライクな平屋」のLDKと個室空間(9月5日 公開予定)