鮮やかな色彩と、自然光の反射が美しいメキシコを代表する建築家ルイス・バラガンの「バラガン邸と仕事場」

メキシコを代表する建築家の一人、ルイス・バラガン。

水面や光を大胆に取り入れ壁面に明るい色を使った住宅や庭園を多く設計したことで知られる。また、設計図面を描かずイメージスケッチでデザイン設計を行っていたことでも有名だ。

1980年には建築のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞し、住宅開発を手がける開発業者としても成功した人物。その、ルイス・バラガン邸がここ最近、メキシコで人気の観光地になっているらしい。

そんな、人気の高い世界遺産でもある「ルイス・バラガン邸と仕事場」を見学してきた。

インテリアや家具まで拘りを感じられる、美しい光の室内風景。

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仕事場兼リビングであるアトリエは天井が高く、一繋がりの空間が開放感があって心地よい。

ル・コルビュジエなどのヨーロッパのモダニズム建築の住宅とも異なり、どこか陽気なメキシコらしさがある。室内のインテリアや家具は雑誌などで見る写真そのままに、クオリティが高く洗練されていた。

壁を反射板のように使って効果的に自然光を集め拡散させ空間ごとに異なる美しい光を演出している。棚と合わせたデザインのオーディオや壁に飾られた抽象絵画などルイス・バラガンのこだわりが伝わってくる。

敬虔なキリスト教信者だったスイス・バラガンの十字を描く大きな窓。

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平面と平面を直角に組み合わせた「クロス」の形があちらこちらに施された家。敬虔なキリスト教信者だったスイス・バラガンらしくクロスを描くサッシの窓が特徴的な空間。

真っ白な壁と、イエローかがった木のフローリングからは、色彩感覚豊かなルイス・バラガンらしさが伺える。単純な構成の空間だがそこにはメリハリがあり、窓からみえる庭の緑は額縁からみる絵画のように印象的に見える。安藤忠雄もここに来て自身の設計に影響を与えたとか。

庭園や池などの外部空間もしっかりとデザインされた「バラガン邸」

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大きな窓は外の庭から見るとサッシが限りなく薄く作られているのがよくわかる。外と中がシームレスに見えるような工夫がされてるのだ。また、庭園や池などの外部空間もしっかりとデザインされ、屋上はルイス・バラガンらしい色彩が使われていた。

近代的なコンクリート建築だが建物に使われている色は、ピンク・黄色・オレンジなど、メキシコの強い日差しが差し込んだ時の反射を考えて配置されている。

 

現在は住宅として使われていないが、モデルルームのように整った室内とビビットな色彩を使いながらも静寂がある光の空間に感銘を受けることだろう。