三田のサグラダ・ファミリアとも言われる「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」!岡啓輔が挑む終わりなき建築

“セルフビルドの建築”を掲げ、東京・港区三田を拠点に独自のスタイルで活躍する建築家・岡啓輔さん。設計から施工までを自ら手掛けることで、建築に対する新たな視点を提案し続けています。20年以上にわたりセルフビルドで作り続ける「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」は、建築界隈でも注目を集める存在です。今回は岡さんに、「蟻鱒鳶ル」の建築哲学やセルフビルドの魅力について伺いました。

自身の変化が下から上へと建築に現れる

蟻鱒鳶ル
Via : @okadoken

現在もセルフビルドを続けている「蟻鱒鳶ル」のこだわりはどういったところでしょうか。

「最近は見学に来る人が増えて、みんな『ずっと見ていられる』って言ってくれるんです。建物は、20年間かけて下から順に作っています。なので、下のほうと上のほうでデザインが全然違うんですよね。自分の考え方が変わるのに合わせて、建築も変わっていく。そういう“時系列が見える”のが面白いんじゃないかなと思います」

「蟻鱒鳶ル」は「三田のサグラダ・ファミリア」とも呼ばれ、独自の建築スタイルが注目されていますね。

蟻鱒鳶ル
Via : @okadoken

「最近の建築は、合理性や経済性ばかりが重視されて、大量生産でどんどん作られる。そういった点で20年以上もの時間をかけて作り上げている『蟻鱒鳶ル』は時代に逆行しているとも言えますが、個人的にはそろそろ反動として、建築をゆっくりと時間をかけて作ることが社会でも求められてくるのではないかと感じています」

建築と身体性の関係

蟻鱒鳶ル
Via : @okadoken

岡さんはダンスも嗜んでいらっしゃいますが、建築との共通点はなにかありますか。

「建築デザインは身体を使う作業なので、ダンスと近いと感じています。汗をかいて、筋肉を使って、全身で作る。そういう身体的な部分が、ダンス、そして建築の面白さのひとつだと思います」

20年のセルフビルドで得たもの

「蟻鱒鳶ル」は20年以上もの時間をかけて設計されていますが、印象に残っているエピソードはありますか。

「『蟻鱒鳶ル』を作っていると、近所の人の反応が本当に様々なんです。『あなたの建物が嫌いです』と面と向かって言われたこともあります。その一方『個性的なデザインが大好き』と称賛してくれる人もたくさんいる。どんなものを作っても、必ず賛否両論があるんですよね。『蟻鱒鳶ル』がもう少しで一区切りするので、次のプロジェクトを考えたいですね。まだ具体的に何をやるか決まってないのですが、そろそろ大きな挑戦をしたいなと思っています」

身体全体で感じる喜びこそ人生には必要

身体を用いて五感を活用しながら、枠にとらわれない自由な建築を生み出してく岡さん。そんな岡さんにとってライフイズ〇〇の〇〇に入るものは何でしょうか?

「”喜び”です。人生の中心には、頭だけじゃなくて身体全体で感じる喜びがあってほしい。そう思いながら、これからも作り続けます」。

“変化し続ける建築”としての「蟻鱒鳶ル」

岡啓輔さんにとって「蟻鱒鳶ル」は、単なる建築物ではなく、自身の成長や考えの変遷を反映する“生きた作品”です。合理性や経済性だけでは語れない建築の魅力を、身体を使いながら追求し続ける姿勢が、多くの人を惹きつけています。これからも岡さんは、建築という枠を超えて、新たな表現の可能性を模索し続けることでしょう。