菊竹清訓や内藤廣、高松伸など!歴史と自然が織りなす島根県の建築、珠玉の10選。

神話の時代から歴史を刻み、豊かな自然に恵まれた島根県。その風土は、個性豊かな建築物を育んできました。出雲大社のような歴史的建造物から、著名な建築家が手掛けた現代建築まで、島根には訪れる人々を魅了する建築物が数多く存在します。

1.島根県立美術館/菊竹清訓

島根県立美術館
Via: Wikipedia.

菊竹清訓が設計した島根県立美術館は、「水との調和」をテーマに宍道湖畔に佇む美しい美術館です。最大の特徴は、宍道湖と一体化するような、波打つ曲線を描いたチタン製の大屋根です。この屋根は、水面を揺らす風を表現しているかのようで、周囲の景観と見事に調和しています。また、対岸からの景観を意識し、背後の山並みを遮らないよう、建物の高さを低く抑えているのも特徴です。

内部は天井が高く開放的な空間となっており、宍道湖の雄大な景色を眺めながら美術作品を鑑賞できます。特に、夕日の時間帯は格別で、「日本の夕陽百選」にも選ばれた美しい夕焼けを美術館の中から楽しむことができます。菊竹清訓は多くの美術館建築を手がけていますが、島根県立美術館は自然環境との調和を追求した、彼の代表作の一つと言えるでしょう。

島根県立美術館

開館時間:10:00~18:30
休館日:火曜日
URL:http://www.shimane-art-museum.jp/
住所:〒690-0049 島根県松江市袖師町1−5

2.島根県芸術文化センター・グラントワ/内藤廣

島根県芸術文化センター・グラントワ
Via : Wikipedia.

建築家・内藤廣が設計した島根県芸術文化センター「グラントワ」は、美術館と劇場が一体となった複合文化施設で、その最大の特徴は、何と言っても約28万枚もの石州瓦で覆われた外観です。地元で産出される石州瓦を基調とし、屋根だけでなく壁面にも使用することで、周囲の景観と調和しながらも、力強い存在感を放っています。瓦の配置にも工夫が凝らされており、微妙なずれによって波のような流れを生み出し、見る角度や光の当たり方によって表情を変える、豊かな表現力を持っています。

中央には水盤が設けられ、瓦の色と空の青を映し出すことで、建物全体に奥行きと広がりを与えています。内藤廣は、この瓦の素材感と水面の組み合わせによって、独特の空間を創り出しました。石州瓦は耐久性にも優れており、建物のメンテナンス性にも貢献しています。地域性、意匠性、機能性を兼ね備えた、内藤廣の代表作の一つと言えるでしょう。

島根県芸術文化センター・グラントワ

開館時間:9:00~22:00
休館日:火曜日
URL:http://www.grandtoit.jp/
住所:〒698-0022 島根県益田市有明町5−15

3.ビッグハート出雲/小嶋一浩+小泉雅生/C+A

ビッグハート出雲
Via : Wikipedia.

小嶋一浩+小泉雅生/C+Aが設計したビッグハート出雲は、JR出雲市駅南口に位置する複合文化施設です。最大の特徴は、ホワイエとホールの一体化を試みた開放的な空間構成です。通常、明確に区切られることの多いホワイエとホールを、視覚的に連続させ、一体的な空間として利用できるように設計されています。これにより、サイドバルコニーの後方からでも舞台を見たり、音や雰囲気を体感したりすることが可能です。

音響性能も重視されており、音響条件を満たすために、ホワイエとホールを完全に仕切らないまでも、反射面として必要な箇所には最小限のガラスが用いられています。また、可動式の客席と天井反射板を備え、音楽イベント時には客席が舞台を取り囲むような特殊な空間構成に変化し、観客と演奏者の一体感を高める工夫が凝らされています。さらに、JR線に近接しているため、騒音・振動対策として舞台フライタワーを二重壁構造とするなどの工夫も施されています。廣村デザインによる特徴的なサイン計画も必見です。

ビッグハート出雲

開館時間:8:30~22:00
URL:http://izumo-zaidan.jp/tag/bigheartizumo/
住所:〒693-0008 島根県出雲市駅南町1丁目5

4.仁摩サンドミュージアム/高松伸

仁摩サンドミュージアム
Via : Wikipedia.

島根県仁摩町の出身である建築家・高松伸が設計した仁摩サンドミュージアムは、「砂」「時」「環境」をテーマにした、ユニークな砂の博物館です。その建築最大の特徴は、大小6基のガラス張りのピラミッドが連なる外観です。これらのピラミッドは、自然光を効果的に取り入れるトップライトとしての役割を果たしています。必要な展示空間は地下に設けられ、地上に現れたピラミッドが光の塔として空に伸びる、印象的な構成となっています。特に中央に位置する最大のピラミッドには、世界最大の一年計砂時計「砂暦(すなごよみ)」が設置されており、その壮大なスケールは訪れる人々を魅了します。高松伸らしい幾何学的でシャープなデザインと、砂という自然素材の対比が、このミュージアムの大きな魅力と言えるでしょう。光の透過と反射を計算し尽くされた空間は、時間と砂の概念を視覚的に表現しています。

仁摩サンドミュージアム

開館時間:9:00~17:00
休館日:月・火・水曜日
URL: http://www.sandmuseum.jp/
住所:〒699-2305 島根県大田市仁摩町天河内975

5.メテオプラザ/高松伸

隠岐汽船ターミナルビル・メテオプラザ
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高松伸が設計したメテオプラザは、島根県松江市に位置し、宇宙と海をテーマにした複合施設です。隠岐航路のフェリーターミナルとしての機能に加え、隕石ミュージアムや温泉施設などを備えています。高松伸らしい、幾何学的でシャープなデザインが際立っており、円筒形ホールや美保関隕石ミュージアム楕円形のヴォリュームなどを持つ外観が、この建築最大の特徴です。、これは、1992年に美保関町に落下した隕石をモチーフにしていると言われています。メタリックな質感とガラスを多用した外観は、近未来や宇宙的なイメージを喚起させ、周囲の自然豊かな景観とは対照的な、異質な存在感を放っています。

内部空間も特徴的で、宇宙と海をテーマにした展示空間や、港を行き交う人々を見下ろせる開放的な空間などが設けられています。フェリーターミナルとしての機能だけでなく、地域の人々や観光客が集い、交流する場となることを目指した設計となっています。

メテオプラザ

開館時間:9:00~18:30
休館日:水曜日
URL:http://meteor-plaza.jp/
住所:〒690-1311 島根県松江市美保関町七類3246−1

6.江津市総合市民センター・ミルキーウェイホール/高松伸

江津市総合市民センター
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建築家・高松伸が設計した江津市総合市民センター、愛称「ミルキーウェイホール」は、江の川と天の川という2つの「流れ」を象徴的に表現した建築です。かつて工場があった場所に建設されたこの建物は、高松伸らしい幾何学的でシャープなデザインと、象徴的なモチーフの組み合わせが特徴です。

外壁には照明による「天の川」が表現されており、夜間には幻想的な雰囲気を醸し出します。建物全体は、川の流れに身を横たえる天の川をイメージしており、夕日に映えるシルエットは特に印象的です。また、壁面には12宮星座が描かれており、宇宙的なイメージを強調しています。

江津市総合市民センター・ミルキーウェイホール

URL:https://www.gotsu-zaidan.org/milkyway/
住所:〒695-0011 島根県江津市江津町1110−17

7.大社文化プレイス・うらら館/伊東豊雄

大社文化プレイス
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建築家・伊東豊雄が設計した大社文化プレイスは、島根県出雲市にある図書館とホールを中心とした複合文化施設です。最大の特徴は、周囲の景観と一体化した、有機的なフォルムを持つ建築です。

特に目を引くのは、図書館部分を覆う芝生の屋根です。これは、地面から連続する丘のような形状をしており、「緑のカーペット」とも形容されます。この屋根は、建物と周囲の自然環境をシームレスに繋ぎ、訪れる人々を優しく迎え入れるような効果を生み出しています。建築全体は曲線で構成されており、内部空間も外部空間も流れるような繋がりを持っています。ホール棟は屋根から突き出すように配置され、ランドマークとしての役割も担っています。

大社文化プレイス・うらら館

開館時間:8:30~17:00
休館日:月曜日
URL:https://www.izumo-zaidan.jp/urarakan/
住所:〒699-0711 島根県出雲市大社町杵築南1338−9

8.島根県立古代出雲歴史博物館/槇文彦

島根県立古代出雲歴史博物館
Via : Wikipedia.

島根県立古代出雲歴史博物館

開館時間:9:00~17:00
URL:https://www.izm.ed.jp/
住所:〒699-0701 島根県出雲市大社町杵築東99−4

島根県の建築、珠玉の10選

島根県には、歴史的建造物から現代建築まで、多様な魅力を持つ建築物が点在していることがお分かりいただけたでしょうか。それぞれの建築は、島根の歴史や文化、自然と深く結びついており、訪れる人々に様々なインスピレーションを与えてくれます。