TOOLBOXの「『ReMAKE』-既存の内装を活かす試み-」がリノベーション・オブ・ザ・イヤー2024総合グランプリを受賞!
一般社団法人リノベーション協議会が主催する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2024」で、株式会社TOOLBOXの「ReMAKE」が最も優れたリノベーション事例に選ばれました。このプロジェクトは、既存の内装を最大限に活かすという革新的な取り組みが評価され、総合グランプリを受賞しました。12月12日、東京大学で行われた授賞式では、選考委員による熱のこもった講評が繰り広げられました。
既存の内装を最大限に活かす、サステナブルなリノベーション
2024年を代表するリノベーション事例を選ぶ「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2024」において、株式会社TOOLBOXの「ReMAKE」が総合グランプリを受賞しました。このプロジェクトが注目を集めたのは、既存の内装を可能な限り再利用し、廃棄物を最小限に抑えながら新たな空間を生み出した点にあります。
循環型社会を実現する、革新的なリノベーション手法
選考委員長の島原万丈氏は、「極力ゴミを出さないように作る」というReMAKEのコンセプトを高く評価。既存のキッチンを切断し、再利用するなど、従来のリノベーション手法とは一線を画す、実験的な試みが評価されました。この手法は、単なるコスト削減だけでなく、資源の循環利用を重視するサーキュラー・エコノミーの考え方に合致しており、今後のリノベーション業界に大きな影響を与える可能性を秘めています。
多様な視点から選ばれた、魅力あふれる受賞作品
ワンルームリノベーションの定番、素材でゾーニング。でもこの作品は一味違う。床・壁・天井を同じ素材で囲むことで、部屋の中に部屋が生まれたような、斬新な空間デザインが魅力的です。リーズナブルな合板を使いながらも、ホテルのような上質な雰囲気を出している点も素晴らしい。特に、天井のふかし部分の木材の断面は、コストを抑えつつもデザイン性を高める工夫が光ります。
高くて手が出ない都内のマンション。でも諦めるのは早いです。この作品のように、工夫次第で小さな部屋も大きく変わります。斜めのラインが部屋に奥行きを生み出し、自由な間取りを実現。ワンルームでも、自分だけの理想の空間が叶うのです。「こうじゃなきゃダメ」という固定概念を捨てて、柔軟に考えてみましょう。きっと、あなただけの素敵な住まいが見つかります。
思い出深い家を売却しようとする人と、その家に住み続けたいと願う人。そして、両者の想いを繋ぐ設計者。まるで小説の一節のような、感動的な物語が生まれました。「他人間相続」という言葉が、このプロジェクトの特別さを際立たせています。このリノベーションでは、過去の記憶と未来の暮らしが調和し、新しい価値が生まれています。内装の雰囲気を残しながら、耐震性や省エネ性も強化。設計者の丁寧な仕事が、このプロジェクトに深みを与えています。
この建物は、9世代に渡って愛されることを目指し、地域社会と共生する未来を見据えています。「雲孫」という言葉が示す通り、8代後の孫までが利用できるよう、最高の断熱性能や自然素材を用いた設計がなされています。雨水も大地に戻す工夫が施され、自然との共生を重視。糸島の風景に溶け込む、悠々とした時間の流れを感じさせる空間は、まさに世代を超えて愛される、普遍的な価値を持つ建築と言えるでしょう。
部門別最優秀作品賞にも、個性豊かな作品が選ばれました。例えば、800万円未満部門では、ワンルームを素材の切り替えによってゾーニングした作品が、1500万円未満部門では、大胆な45度の対角線で空間を変化させた作品が、それぞれ高い評価を得ました。これらの作品は、限られた予算や空間の中で、いかに豊かな暮らしを実現するかという問いに対する、創造的な回答を示しています。
特別賞
- □わくわく空間創造リノベーション賞:7帖に作る3つの秘密基地|株式会社i-Plain
- □地域文化再生賞:続・小倉昭和館~在り続けるということ~|株式会社タムタムデザイン
- □空間アップデート・リノベーション賞:「0LDKの我が家を、大切に住み続けたくて」|株式会社ニューユニークス
- □アンティークドリブン・リノベーション賞:遊郭建具と暮らす|株式会社サンリフォーム
- □パノラミックグリーン・リノベーション賞:緑映える、心整う。| 株式会社NENGO
- □実家アネックス・リノベーション賞:納屋に住む。|有限会社斉藤工匠店
- □ベビーフレンドリー・リノベーション賞:『mama to co ROOM』|株式会社日々と建築
- □シングルライフ・リノベーション賞:独りがなんだ|株式会社コスモスイニシア
- □ミニマリズム・リノベーション賞:時代を超えた賃貸 『2001年宇宙の旅』|イー・ワークス株式会社
- □手仕事リノベーション賞:手仕事と無垢材に敬意を払う|有限会社ひまわり
- □街かどリノベーション賞:地主さん「街かどリノベ」はじめませんか。「こはらだあぜみち」|株式会社ブルースタジオ
- □イノベーティブプランニング賞:廊下が主役の家|株式会社NENGO
- □職住一体リノベーション賞:日本初?職住一体に特化した小商いアパート|株式会社エコラ
- □ローカルヘリテージ・リノベーション賞:地域資産を、住み継ぐ。|株式会社しわく堂
- □ディスカバリング・リノベーション賞:埋もれた魅力再発見!「住み育てた家」の美しさ|G-FLAT株式会社
選考委員長総評
選考委員長・島原 万丈/株式会社LIFULL・LIFULL HOME’S総研 所長
コロナ禍の時にも明らかになったように、リノベーションは時代の社会的変化からの要請に小回りよくレスポンスできる。そういう視点で見れば、今年のリノベーション・オブ・ザ・イヤーは、不動産価格の高騰と建築工事費の高騰というユーザーの二重苦に必死に対応しようと奮闘した作品が多かったことが見えてくる。コストを抑えつつも魅力的な空間をつくるための提案が印象的だった。また、もう一つ印象的なのは再販モデルにおけるデザインの進化である。市場の競争激化と顧客層の広がりがリノベ済み再販マンションのレベルを急速に引き上げていることは間違いない。
リノベーションの可能性を広げる、多様な受賞作品
今回の受賞作品は、リノベーションの可能性を多角的に示しています。既存の建物を最大限に活かすだけでなく、地域の歴史や文化を継承するリノベーション、住む人のライフスタイルに合わせたオーダーメイドのリノベーションなど、多様なアプローチが評価されました。これらの事例は、リノベーションが単なる住宅改修を超え、人々の暮らしや社会に大きな影響を与えることができることを示しています。