【ミラノデザインウィーク2024】人間の感覚に寄り添った有機的デザインが今後のインテリアの中心に

毎年イタリア・ミラノで開催される世界最大規模の家具見本市ミラノサローネ。「Where Design Evolves」をテーマに掲げた第62回となる今回は、新型コロナウィルスの影響もほぼ無くなり、予想をはるかに上回る約362,000人の来場者を記録しました。今回は世界中から集まったブランド・デザイナーの展示から、2024年のインテリアトレンドを示すポイントをピックアップしました。

日常にくつろぎをもたらす「ソファ」がキーアイテムに

今回のミラノサローネでの注目インテリアはなんといっても「ソファ」。

多くのブランドから発表されていたソファは、全体を通して丸みのあるデザインとくつろぎやすい快適性を持つものが目立ちました。リラックス感を与えるインテリアが多く、見た目からもふんわりとした座り心地が伝わります。

また、素材やカラーも心地の良さを重視。2人掛けや3人掛けなどの大型ソファよりも、体全体を包み込んでくれるような1人掛けソファが目立ち、ひとりの時間をゆっくり過ごしたい人向けの商品が数多く見受けられました。

天然素材の質感をアートに見立てる

テーブルやキッチンカウンターなどの天板に多く用いられていた「大理石」。大理石特有の模様を生かして一点物の芸術品のように見せることで、空間にアート作品を添えるようなコーディネートが見られました。

大理石と柔らかな質感・カラーのファブリックや、あたたみを感じさせる木など異素材を組み合わせることで、石の冷たい印象を和らげた空間に仕上げています。

大理石の使用からは、サスティナビリティの側面から恒久的に活用できる素材を重宝する動きも見られます。こうした環境的サステナビリティをアピールポイントとすることなく、それを前提と捉え、さりげなくデザインに取り入れる姿勢は2024年らしいトレンドと言えるかもしれません。

アウトドアとインドアがシームレスに

コロナ渦から屋外家具が注目されたことをきっかけに、屋内と屋外のボーダレス化が進んでいます。

メッシュやフレームを中心とした軽やかなデザインに麻やレザーなどの天然素材を取り入れることで、従来のカジュアルなものに加え、モダンでフォーマルな印象のプロダクトが多く見られました。

用途や居場所を限定しない家具の在り方は、コロナ後の暮らしの豊かさを再定義する側面も持つのかもしれません。

ワークプレイスにも快適性をプラス

オフィス家具にも曲線を取り入れた親しみやすいデザインで、落ち着いたアースカラーで仕上げたプロダクトが多く見られました。

オフィスも有機的で柔らかな形状・カラーリングのアイテムで構成することで、ワークタイムの快適性がより向上するかもしれません。

人間の感覚に沿った有機的なデザインがインテリアの主流になる

今回のミラノサローネで特徴的であったアースカラーや有機的な曲線、温かみの感じられる素材を取り入れた展示作品からは、人間の感覚により素直にフォーカスしたプリミティブなデザインが、今後のインテリアの主流となるような気配が感じられました。一人ひとりの暮らしや存在を尊重しつつも、人と人、また人と自然をつなぐデザインによって、我々の日常は「進化」していくのかもしれません。