スペイン・バレンシアにある建築家サンティアゴ・カラトラバによる生物の骨格のような建築「フェリペ王子科学博物館」

スペイン・バレンシアにある「芸術科学都市」。ここは、著名建築家「サンティアゴ・カラトラバ」が中心となって設計を担当した芸術・科学・自然」をテーマとした複合施設だ。30万平方メートルを誇るの巨大敷地の中に、印象的な現代建築群が立ち並ぶ。バレンシアの巨大ランドマーク建築としても有名なこの場所にある「フェリペ王子科学博物館」に足を運んでみた。

斬新な近代建築群が集う「芸術科学都市」

スペイン・バレンシア、トゥリア川が流れる中世の建物が残る街並みに突如として姿を見せるのは「芸術科学都市」。30万平方メートルを誇るの巨大敷地の中に、水族館・科学博物館・IMAXシアター・オペラハウスなどが併設されている。唯一、水族館「オセアノグラフィック」だけはフェリックス・キャンデラが手がけ、その他の建物はサンティアゴ・カラトラバによるものだ。

構造エンジニアでもある建築家 サンティアゴ・カラトラバ

芸術科学都市があるバレンシア生まれの建築家「サンティアゴ・カラトラバ」。彼は建築家としてだけでなく、構造エンジニア・彫刻家・画家としても知られる世界的アーティストだ。サンティアゴ・カラトラバによる建築の特徴は、構造デザインを主体にし「骨や翼」を思い起こさせるような独特かつダイナミックな造形である。

構造エンジニアでもあるサンティアゴ・カラトラバが作り出す設計は、厳密な構造計算に基づいており、特にスタジアムなどの大空間建築や、橋などの土木構築物の設計デザインにおいて世界的に高い評価を得ている。

構造となる骨格が連続する巨大建築「フェリペ王子科学博物館」

芸術科学都市に存在する「フェリペ王子科学博物館」は、サンティアゴ・カラトラバが手がけた全長250m × 幅110m×高さ33mもの巨大博物館である。

まるで恐竜の白い骨格を連続して組み合わせたような構造が実に美しい。工学の技術的構造の知識を用いてじっくりと考察された「長いカーブライン」と「真っ白の素材」が、ガラス素材と水面に艶やかに照らされる。

連続性が移動を喚起する内部空間

エントランスから内部へと足を進めると、連続する骨格がパースを強調して出迎える。この骨格のようなデザインが各空間を印象付けながらも連なるように伸び、人々の足を前へ前へと進ませる。

2階に上がると洞窟のような空間が現れ、アーチ状の柱が迫ってくるような感覚を覚える。ガラスの全面窓と柱によって緩やかに光を取り込み、空間全体を柔らかく包む。

鉄骨構造が軽やかな3層吹き抜けスペース

北側の壁は全てガラス張りになっており、鉄骨構造が軽やかな大空間が広がる。展示室で区切るようなフレキシブルなスペース作りだ。

最上階まで上がると、さらに吹き抜けの大開口からの自然光が明るく差し込む。どっしりとした印象を受けやすいRC構造でも、緻密に計算されたサンティアゴ・カラトラバらしい「流線型の造形デザイン」によって軽やかな空間が心地良い。

サンティアゴ・カラトラバだからこその「構造」から魅せる科学館建築

サンティアゴ・カラトラバ設計の「フェリペ王子科学博物館」は、彼が培ってきた知識と巧みな技術により創り出された建築が、複雑に絡み合う構造で様々な空間を作り出している。連続する骨格が軽やかであり、パースを強調させながら、重厚感ある素材を使ったダイナミックな中にも軽やかな空間表現が圧巻だ。

Museu de les Ciències de València – フェリペ王子科学博物館

開館時間:10:00~19:00
電話:+34 961 97 46 86
URL : http://www.cac.es
住所:Ciudad de las Artes y de las Ciencias, Av Profesor López Piñero, 7, 46013 Valencia, Spain