「緊張感のある空間は良いものを生み出す条件になる」画家・北村直登が考えるライブペイントのやり甲斐や作品タイトルのこだわりについて
2014年一世を風靡したドラマ「昼顔」に絵画を提供後、柔らかなラインや幻想的な色使いが注目され、個展やSNSでも幅広い層から人気を集める画家・北村直登。今回は北村さんに、ライブペイントのやり甲斐やユニークな作品タイトルへのこだわりについて伺いました。
台本に合わせて絵を提案する
北村さんの作品はアート協力という形で、ドラマに出演する画家役の出演者の作品として使用されることもあると伺っていますが、こういった場合は既存のものを使用しているのでしょうか。
「撮影日に間に合わないものは既存のものを使用しますが、基本的には新たに制作します。多くの場合、僕にも台本が渡されるので、『こういうシーンの絵はこんな感じでどうですか』と提案しています。」
絵には人が想像する余白が大切
北村さんの作品はカラフルな色使いが印象的ですが、その反面、縁やドットなど白の使い方にも意識されているように感じますが、白は好んで使う色なのでしょうか。
「人が想像する余地を残すことがいい絵画のポイントだと考えているので、白はそういう意味では不安定な状態であるので、面白い色だと思っています。」
大人が本気で取り組む姿を見せることも、ライブペイントの意義
北村さんは様々な機会で即興で絵を描くライブペイントを実践されていますが、アトリエでの制作とライブペイントでの制作との大きく異なる点はどういった点でしょうか。
「僕は10枚に1枚くらいしか上手く描けないんですけど(笑)。大人が失敗する姿を子どもたちに見せるという点もあると思うので、毎回本気で取り組んでいます。子どもたちからのリクエストは、それが知らないものであっても挑戦して描いています。」
10枚に1枚しか上手く描けないとおっしゃいましたが、逆にライブペイントでの作品が最高傑作だったりするのでしょうか。
「その場その場での閃きや、出だしが上手くいかなくても起死回生の一筆を思いつけたりすれば、良い作品に切り替わったりするので、緊張感のある空間は良いものを生み出す条件になるかもしれません。そうした僕の試行錯誤する姿を見て頂けるのも、ライブペイントのユニークなポイントですね。」
SNSによって10代の視聴者からの反応を受けられるのが面白い
TikTokやYouTubeでもライブペイントの様子を発信されていますが、SNSでの反応、手応えはどう感じられていますか。
「想像していたより反響があって驚きました。絵を楽しむというのは、ある程度年齢が高くなってからのものだと思っていましたが、SNSを通じて10代の方々からも反応をもらえるので、意識が変わりました。」
自身がつけたタイトルによってイメージを固定したくない
作品のタイトルもキャッチーなものが多く、面白いですよね。
「そうだね、でも傍観してたよねライオン」
「おばさんっぽさは気が強い人がさらに気が強くなるときに出来上がる」
など、ユニークなネーミングの発想はどこからくるのでしょうか。
「例えば、うさぎの絵に対して、〈可愛いうさぎ〉とタイトルをつけたらそのイメージが固定されてしまいますよね。作者であるが故に、タイトルによってそれ以外の考えを否定するような感覚が嫌で、結果あのようなぼやかした表現にしています。」
大丸福岡店にて個展・ライブペインティングを開催
2月22日から28日まで大丸福岡のイベントに参加されるとのことですが、こちらには北村さんご自身もいらっしゃるのでしょうか。
「ライブペイントを予定しています。ぜひ遊びに来てください。」
ライフイズ“ドローイング”
ユニークな視点が独自の絵画に結びついている北村さん。そんな北村さんにとってライフイズ◯◯の〇〇に入るものは何でしょうか?
「ライフイズ “ドローイング”。描けば解決する、と常々思っているのでこの言葉にしました。」
何にも縛られない、のびのびとした感覚が生み出すユニークなキャラクター
タイトルによって鑑賞する人のイメージを固定したくない、など自身の作品に対して自由な想像力を求める北村さん。何事もポジティブに捉えるユニークな視点で生み出される作品たちは、これからも幅広いファンに愛されることでしょう。