建築家・安藤忠雄が手がけた岐阜市にある「長良川国際会議場」は自然と調和した岐阜らしい建築
岐阜市は、日本政府観光局から認定された国際会議都市のひとつです。長良川国際会議場は、平成7年に、国際会議にも対応できる活気あふれる施設として誕生しました。コンクリート打放しの外観が印象的な建物の設計を手掛けたのは、世界的な建築家・安藤忠雄です。岐阜の自然と一体化した長良川国際会議場の設計には、安藤忠雄の才能が余すことなく生かされています。
平成の楽市楽座としての長良川国際会議場
岐阜は、450年ほど前に、織田信長公が楽市楽座令を出し、座に属さない商人たちにも自由に商いをするのを認めたことから、商工業の発展が促された歴史を持つ地です。そんな岐阜に、平成7年、岐阜に住む人々や岐阜を訪れる人々が自由に交流ができる場として開館したのが、長良川国際会議場です。「平成の楽市楽座」と位置付けられる長良川国際会議場は、数々の印象的なデザインの建築物を生み出してきた建築家・安藤忠雄が設計を手掛けました。
卵のような球体と大階段がシンボル
長良川国際会議場は、近未来を感じさせる大きな卵のような球面とダイナミックな大階段がシンボルとなった建物です。最上階である5階に設けられた国際会議室は、天井のドームが印象的な広々とした空間に仕上がっています。会議室の球面の扉を開けると目に飛び込んでくる、長良川と金華山の眺めは、格別な美しさを感じさせるものです。屋上庭園へと続く大階段は、公共性の高いゾーンであり、開放的で誰もが親しみやすい交流の場を目指す長良川国際会議場の特長を表現するものでもあります。
安藤忠雄らしいコンクリート打放しの幾何学的な建築
安藤忠雄は、初期の代表的な作品である住吉の長屋をはじめ、数々のコンクリート打放しの建物を生み出し、その魅力を発信し続けてきた建築家です。長良川国際会議場は、安藤忠雄らしさを強く感じさせるコンクリート打放しの建築物となっています。
インパクトのある幾何学的な建築は、国際コンベンション都市である岐阜市の中核を成す施設として設計された建物に相応しいスタイリッシュなものと言えるでしょう。鉄筋コンクリートの重厚感を生かしつつ、長良川や金華山といった岐阜の自然と見事に融合させているところは、安藤忠雄ならではの才能の表れです。
屋上のトップライトから自然光が差し込むアトリウム
長良川国際会議場は、自然光を巧みに取り入れた設計により、訪れる人々の心を和ませることに成功している建物です。エントランスを入ると、屋上に配された4つのトップライトから自然光が惜しみなく降り注ぎます。降り注ぐ自然光は、ガラス張りのホワイエや市民ギャラリーとして使用されているアトリウムへと届き、明るく開放的な雰囲気です。コンクリートを用いた硬質な建築物である一方で、自然光を生かすことで、やわらかで心地よい空間が生み出されていると言えるでしょう。
金華山と長良川を望む屋上空間
岐阜城を臨む長良川河畔に建設された長良川国際会議場は、安藤忠雄が岐阜の自然を大切にして創り上げたいというコンセプトで設計を進めました。会議場の名にも冠されている長良川と金華山という大自然を取り込むことで、豊かな自然に恵まれた岐阜市をアピールする存在となっています。
屋上庭園からは、一面に広がる長良川と金華山の絶景を見渡して、四季折々の岐阜の表情に触れることが可能です。屋上の広々とした空間から展望できる設計にしたことで、自然と建物との一体感を強調することに成功した建物であると言えるでしょう。屋上空間は、シンポジウムや会議を終えた後のアフターコンベンションの場としての機能も果たしています。
国際コンベンション都市・岐阜を代表する長良川国際会議場
現代建築の巨匠・安藤忠雄が設計した長良川国際会議場は、国際コンベンション都市を掲げる岐阜市の魅力を発信する施設です。長良川や金華山と調和した見事な設計で、その土地ならではの魅力を引き出して建築物を創り上げる安藤忠雄らしさが溢れた建物と言えます。
長良川国際会議場
開館時間:8:30~5:30
休館日:年末年始(12月29日から1月3日まで)
URL : https://www.g-ncc.jp/
所在地:岐阜県岐阜市長良福光2695-2