ザハ・ハディドが手掛けた曲線が美しい近未来ショールーム「ロカ・ロンドンギャラリー」
イギリスを拠点に活動し、現代建築における脱構築主義を代表する建築家の一人ザハ・ハディド。曲線の女王と呼ばれた彼女が、設計・内装までも手掛けたショールームが、ロンドン南西部のフラム、インペリアル・ワーフ駅付近にある。
ザハ・ハディドによる、衛生機関のショールーム
バルセロナに本社をかまえる「Roca」というバスタブやシャワー、洗面器、トイレ等の水まわり品を扱う住宅設備メーカのショールーム。建築物の正面デザインだけでなくインテリアまで、ザハ・ハディドが設計している。彼女は、曲線デザインで有名であるが、こちらのショールームは斬新で近未来的なスペースだ。コンセプトは水の動き。外観にもしっかりと表現されている。
曲線の女王が作りだす、独特で不思議な空間
正面から続く、コンクリートの自由曲面のデザインがショールームの内部空間まで繋がっている。ガラス張りとなっている窓からは、自然光が程よく差し込んでおり、コンクリートの空間が、クールでスタイリッシュな印象、そしてシンプルかつ清潔感をもたらしている。衛生機関のショールームにぴったりのイメージである。
各スペースごとに緩やかに文節された内部空間は、吸い込まれるような局面で続いている。そして、さすがザハ・ハディド。どこを切り取っても、曲線だらけの不思議空間である。床のタイルまで曲線でデザインされており、それらは一つ一つ違う形状で、空間そのものから動きを感じる。洞窟のようなスペースでありながらも、間接照明が温かな雰囲気を醸し出している。
宇宙を想像させる近未来空間
外部から続く、グレーの空間を抜けると、真っ白な空間が待っていた。優れた強度を持っている、ガラス繊維で補強されたプラスチック複合材料であるFRPで作られた、不思議な形の什器などが配置されている。天井、壁、どの面をみても、曲線を使って設計されているため、躍動感で溢れている。まるで宇宙を想像させるスペースだ。
ガラス張りになっている会議室もあり、バスタブや便器のような光沢がある曲面でできた空間は、非日常を楽しむSF映画のようだ。ショールームなのに、圧倒されるザハ・ハディドのデザインにより、展示品の存在感が薄く感じてしまう。
ザハ・ハディドらしいプロダクト
ユニークで、ザハ・ハディドらしいプロダクト。これだけ自然にギャラリーにマッチできるのは、彼女がデザインする空間だけであろう。ロカ・ロンドンギャラリーは、カフェやギャラリー、図書室なども、備わっている。
衛生機器「Roca」のショールームではあるが、ザハ・ハディドのデザインを見られる小さな美術館のよう。水のように流れるようなデザインと近未来を感じる空間。独特であるが、クールで美しい、ロカ・ロンドンギャラリーだ。
Roca London Gallery – ロカ・ロンドンギャラリー
開館時間:9:00~17:30(土曜日~17:00)
休館日:日曜日
電話:+44 20 7610 9503
URL : http://www.rocalondongallery.com
住所:Station Court, Townmead Rd, Fulham, London SW6 2PY UK