
新進気鋭の建築家トーマス・ヘザーウィックが手がけるシンガポールの「南洋工科大学・ラーニング・ハブ」
南洋工科大学は1991年に設立されたシンガポールの国立大学。QS世界大学ランキング2022年版では世界12位と評価されています。大学の敷地面積はシンガポール最大で200haを有するため、敷地内は循環バスや自転車を使って移動する。大学内は美しく整備されており、トーマス・ヘザーウィックがデザインしたキャンパスがある他、日本を代表する建築家・丹下健三が設計したキャンパスも存在する。
新進気鋭の建築家トーマス・ヘザーウィック

1970年イギリスのロンドンに生まれる。マンチェスター工科大学、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで3Dデザインを学ぶ。卒業後1994年ヘザーウィックスタジオを設立。2006年に英国の王立協議会より最年少で王室工業デザイナーに任命される。2010年上海万博の英国パビリオンや、2012年ロンドン五輪の聖火台などで有名。「現代のレオナルドダヴィンチ」とも称されている。新進気鋭の建築家である。
地層が重なるような人を惹きつける外観
まるで蜂の巣のような独特な形状を持つこの建物は南洋工科大学のラーニング・ハブ。外壁の仕上げ材は地層の断面のような美しい模様を持ち、上層階に上がるにつれて建物のボリュームは大きくなっていきます。外観をみた時のインパクトは凄まじく、中は一体どうなっているのか興味をわかせます。
そもそもこの建築、教室のような部屋以外は外部と一体になっていて、建築の中にいながらも外部空間という
蜂の巣のような独特なデザインのキャンパス
中に入るとアール状の外壁と同様、美しい階層構造が現れます。まるでスペインの巨匠ガウディのような有機的な造形となっています。
見上げるとトップライトから吹き抜けに光が入り、建物の中にいながらジャングルの中にいるような気さえしてきます。
廊下を成すアールのコンクリートがこの美しい階層構造を作り上げています。
階段も特徴的で、壁画のようなレリーフや重量感のある手摺り、洞窟に松明を灯したような照明など軽さを求める現代建築とは一線を画したデザイン。開放的なスペースと対比的な印象です。
上から覗き込むと、1階の床に使用されている石材や、配置されている植栽が見えるため、上から眺めるのとはまた違った美しさがあります。
南国らしい開放的な空間
階層ごとに、ガラスサッシによって空間を作られている箇所と、外部に解放している部分が存在するため、どの位置に立っていても外の風景を眺めることができます。また、大人数が一つの空間にいるような従来の大学のキャンパスの作り方と異なり、4~6,8人など少人数が集まって学ようなスペースが多いことも革新的と言えます。
特別な教室以外は屋上まで開放的な空間が続きます。教室の中で閉じ込められて勉強する生徒からすると、まわりの自然を眺めて気分転換をすぐ行えることは勉強の効率向上につながるのではないでしょうか。
開放的で革新的なキャンパス
外装と同様内装もどこかエスニックな雰囲気を漂わせています。どの通路を歩いても、壁面の模様、空間の隙間から見える外の自然、配置されている植栽等が目を引き、訪れる人をデザインで飽きさせない空間になっています。
南洋工科大学
住所:50 Nanyang Ave, Singapore, 639798
電話番号:+65 6791 1744