住宅の「窓」をアップデートした四角い住宅「casa cube(カーサ・キューブ)」

第一印象は「この真っ白で、真四角な箱は何だろう!?」、外観だけ見てもそもそも住宅なのかどうかもわからない人も多い。10年前に登場した「casa cube(カーサ・キューブ)」は、ファサードには窓がなく、サイドには黒い数本のラインが垂直に立ち上がり、装飾的なものが極限まで削ぎ落とされたシンプルでモダンなデザインで日本の住宅業界に激震をもたらした。

その「casa cube(カーサ・キューブ)」は、住宅の「窓」と言う存在をアップデートした。

大きな窓はデメリットもいっぱい

マイホームを建てたら、リビングなどに大きな窓を設置して開放的で眺めが良い空間作りに憧れる人は多いだろう。だが、意外にも大きな窓にはデメリットが多い。

欧米などと違い、そもそも土地が狭い日本では、住宅の密集地で窓を開けても、見える景色は隣の家やマンション、ビルばかり。隣の建物までの距離が近過ぎて見通しが良くない。

そして、周囲の建物や外からの視線が気になり、室内も丸見えでプライバシーが確保できない。日当たりの良い南側に大きな窓を設けてもカーテンを閉めてしまって、窓としての機能を十分に発揮することは少ない。

まt、あ大きな窓を設置することで、壁の量が物理的に減るため構造的にも弱くなるため、太い柱や間仕切り壁も多くなる。

casa cube のトップライト(天窓)とスリット窓

casa cube はその窓の役割を根本的に見つめ直した。

窓の役割の一つに「換気」が挙げられるが、建築技術の進歩によって窓を開けて空気を入れ替える必要がなく、建築基準法で24時間換気が義務付けられたこともあり、現在では室内には新鮮な空気が循環するようになっている。

また、庭などが十分に取れない人口の密集する住宅街などの都市型住宅では、そもそも窓から景観を楽しむことはできないことが多い。南側だけでなく、東西南北どの方向にも効用を最大限に生かす大きな窓を設置するメリットは皆無と言っていい。

ということは、窓の役割として「採光」が実現すれば良いということになる。

そこで、casa cube 辿り着いたのが、トップライト(天窓)とスリット窓だ。

cas cube では、トップライト(天窓)が採光の機能を担う。トップライトから入る光の明るさは、壁面の窓の約3倍もあると言われている。採光の機能だけ見てもトップライト(天窓)の方がはるかに合理的だ。

casa cube のガラス幅15cm、有効開口幅11.3cmのスリット窓は、開けると気持ち良く風が通り抜け、外から覗かれる心配がなくプライバシーが確保され、泥棒などの侵入も許さないので防犯性も高い。

壁面に大きな窓がなくなると、壁だけでも構造が強くなり、室内の熱が外部に逃げないので断熱にも効果がある。

 

「casa cube(カーサ・キューブ)」のトップライト(天窓)とスリット窓は、今での「窓」の概念を覆し、様々なメリットをもたらした。窓のない外観にはこんな理由やメリットがあったのだ。