熊本・八代にある伊東豊雄による「くまもとアートポリス」関連のユニークな2つの建築
日本建築学会賞作品賞やグッドデザイン大賞、建築のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」(2013年度)を受賞した経験のある伊東豊雄氏。熊本の八代では、伊東氏が手がけた「八代広域消防本部庁舎 」「八代ギャラリー8」「養護老人ホーム八代市立保寿寮」「八代市立博物館・未来の森ミュージアム」を見ることができる。
そのうち、八代広域消防本部庁舎と八代市立博物館・未来の森ミュージアムを実際に訪れてみた。
八代広域消防本部庁舎
伊東豊雄氏が設計し、1995年にできた建築。
新幹線の駅、新八代駅からほど近い場所にある消防署で、全体がピロティになっていて諸室ヴォリュームが高く持ち上がっている。
こちらがエントランス。フラットなピロティの天井を半円で切り取っていて、空に開けている。
こちらにも空に開けたヴォイドがあり、より開けた印象を与えている。地上部も緩やかに傾斜している場所があり、ピロティの空間を多彩にしている。
消防の訓練が行われていれば、容易に訓練風景が見られるのではないだろうか。
全体が持ち上がった分、敷地全体が街に対して見通しの良くオープンになっていて、消防署としての建築っぽくない雰囲気だ。
八代消防署
住所 :〒866-0895 熊本県八代市大村町970
八代市立博物館 未来の森ミュージアム
八代市の中心部あたりにある「八代市立博物館 未来の森ミュージアム」は、熊本アートポリスの一環で1991年にできた伊東豊雄氏の作品である。
伊東豊雄氏の初期の作品「シルバーハット」のような印象で、現在では中々観ることのないデザイン。小高い丘の上に建てられていて、エントランスも丘の上にある。
建物の上に見るタンクのようなものは、建物の4階部分。中は収蔵庫で、伊東氏は「未来の正倉院として、博物館のシンボル的役割を担っている」と話している。
ジグザグのガラスのファサードにステンレスの丸い屋根がかかっていて、柱は細いスチールパイプ。
金属どうしのディテールは機械のようだが、ファサードも内観も軽快な印象を受ける。展示室自体は地下というか丘の中に埋まっていて、建築自体はコンパクトな印象だが、それほど小さいわけではない。
そういったところが街に溶け込む工夫なのではと、考えさせられる。
八代市立博物館 未来の森ミュージアム
住所 : 〒866-0863 熊本県八代市西松江城町12-35
URL : http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/museum/index.jsp
TEL : 0965-34-5555
八代市内には他にも熊本アートポリス関連で新八代駅の乾久美子氏のオブジェなどもあり、見応えがある。
特に上記の2つの建築は現在の伊東豊雄氏のデザインとは違った建築を観られるため、改めて訪れてみるのも面白いだろう。