複雑な構成が様々な表情を生む、フランク・O・ゲーリー設計の建築「ヴィトラ・デザインミュージアム」
複雑な構成が様々な表情を生む、フランク・O・ゲーリー設計の建築「ヴィトラ・デザインミュージアム」を訪問してきた。
白い壁面が美しいフランク・O・ゲーリー特有の複雑なデザイン。
1989年にオープンした「ヴィトラ・デザインミュージアム」はヴィトラ社のデザイナーズ家具や椅子のコレクション、年に2回程の企画展を展示している。
外観は白い壁なのだが、訪問時は企画展「アレクサンダー・ジラード展」に合わせて一部がオレンジ色と水色に塗られていた。
正面エントランスとは反対側の裏側にあたる方から見ると階段が蜷局を撒いていて複雑な建築だということがわかる。
それほど大きな建築ではないが形のダイナミックさが映える。
緩やかに空間が繋がる展示室と内部空間。
訪れたときには建築家アレクサンダー・ジラードの企画展が開催中で、彼の作品やドローイング、写真などが展示されていた。通常の展示室が幾つも繋がっているようなイメージ。
企画展自体もハーマンミラーのテキスタイルのデザインディレクターだったアレクサンダー・ジラードらしいカラフルなテキスタイルの展示が多く、興味深い内容になった。
展示空間には他の展示空間からの光が漏れ、照明だけではない明るさがある。
吹き抜けになっている場所から上を見上げると空間の複雑さが伝わってきた。
右手側はライブラリやエントランスと繋がり、様々な空間どうしが繋がっている。
エントランス脇のライブラリはトップライトから自然光が差し込み柔らかな明るさが灯る。
自然光の光が綺麗な2階と階段
2階へと昇る階段は外部から見ると蜷局を撒いていた部分でカーブを描く壁に光がグラデーションのように反射して美しい。
1階よりも自然光の分明るい展示空間は部屋というよりも通路のように連なっている。
この日は照明を使わずほぼ自然光のみだが、作品には直接当たらないよう考慮され柔らかい光が空間全体を包んでいる。
行き止まりのような場所にトップライトがあり、奥がないような空間作りが成されている。
やはりここでも光が白い空間に反射し美しく映る。
グッケンハイム・ビルバオやルイ・ヴィトン財団美術館など、最近のフランク・O・ゲーリーの作品と比べてシンプルなように感じるが、そこはゲーリー作品。
外観も内部も白い空間な分、ゲーリーの造形がわかるのだと思う。