灰模様が美しい、家族や友人と囲炉裏を囲む「casa amare」の暮らし。
土間のろくろを、玄関脇の収納スペースに移設し、
空いた土間のスペースには、半畳ほどの囲炉裏を設けたSさん。
焼き物の展示スペースだった和室を、ゲストルームを兼ねた茶室に変更。
寝室・水回り・趣味のスペースと、用途にあわせ、家の造りをくっきり分けた間取りだ。
「casa amare」の三×八間(五・四六×14.56m)の間取りを使った、
生活と趣味の空間を上手に空間を切り分けているSさんにお話を伺ってみた。
ー囲炉裏を作ろうと思ったきっかけは?
母と私が、祖母から譲り受けた茶道具を使いたいと言い出したのがきっかけで。
父の晩年、陶芸の展示スペースが元の茶室に戻りました。
ーなるほど。
これを機に陶芸の作業場も玄関脇のスペースにひとまとめにしました。
父にとっても囲炉裏を持つことが長年の夢だったのだので、
「その代わりに土間に囲炉裏を作ってあげるから」と提案したら、父は即座に了承しました。
いざ、囲炉裏をつくってみると、予想通り父は囲炉裏に入れ込みました。
ー間取りを拝見すると、生活空間の水回りのスペース、趣味のスペースと綺麗に空間を区切られていますね。
はい。水まわりも全部新しくすることにしました。
女の城をより快適なものにしたといっていいくらい(笑)
家事を考え水回りの動線をまとめ、土間や茶室、囲炉裏とといったスペースを一括りにしました。
使いやすさもそうですが、メリハリのついた空間になっています。
ー囲炉裏で拘った点はありますか?
最初は、埃の立ちにくいセラミック灰が人気らしいもですが、本式の木灰を入れることに拘っていました。
囲炉裏を作ってみて意外だったのは、灰模様を入れる作業に、私がはまってしまったことです。
灰の上をなでるように火鉢で模様を入れると、なんだか心があらわれて実に気持ちがいいんですよ。
ー囲炉裏の醍醐味はなんでしょうか?
炭をたく囲炉裏の灰模様がいつまでたってもそのままの姿をとどめるような家は、やはりつまらない。
幸せなことに、我が家の囲炉裏の灰は、家族や友人たちにいつもかき回されています。(笑)
いまは、両親から受け継いだこの家では、娘を含めた家族3人が囲炉裏を囲んでご飯を食べています。
家族や友人で〝火〟を囲みながら団欒できることに醍醐味があるのではないでしょうか?
ーどんな時に、囲炉裏模様は崩されるのですか?(笑)
南側に庭を広くとったので、偶然花火が良く見えるんです。
夜空には大輪の花が咲き、屋内の明かりの下には小さな花が幾つも咲いている。
なんて言うと少々大げさだけれど、花火大会の日には、友人たちがこぞって我が家に集まります。
そんな時、囲炉裏の灰はさまざまな表情に形を変えますね。(笑)
ありがとうございます。
暖かい囲炉裏の風合いと、温もりに誘われて、賑やかに人が集まるSさん邸。
それは、どことなく家全体に温かみのある「casa amare」に引き寄せられているようにも感じた。