カリモク家具と芦沢啓治による新コレクション「MORIWA」が針葉樹の家具材としての可能性を切り拓く
日本の山林には、使われないまま眠り続ける木があります。スギをはじめとする針葉樹は、国内木材生産量の約93%を占めながら、強度と細さを同時に求められる家具材としては不向きとされてきました。その常識に、創業以来広葉樹を主材とした家具づくりを続けてきたカリモク家具が、デザイナー・芦沢啓治との協働によって真正面から向き合います。2026年7月1日(水)より発売が始まる新コレクション「MORIWA(モリワ)」は、スギを主材とするカリモク家具初のコレクションです。
燃やされていた木を、家具へ。奥多摩から始まった実践

MORIWAの起点は、野村不動産グループが2022年より東京都・奥多摩町で取り組む「森を、つなぐ」東京プロジェクトです。循環する森づくりと生物多様性の回復を目指すこのプロジェクトでは、保有する「つなぐ森」の森林経営を通じて、川上から川下までをつなぐ独自の木材サプライチェーンを構築。しかし、そこで生まれる小径材や節有材は家具材として扱われることなく、バイオマス燃料として燃やされてきました。

この課題に応えるべく生まれたのが、カリモク家具・芦沢啓治・野村不動産グループによる三社協働の家具開発です。奥多摩の針葉樹を使ったこの家具は2025年度グッドデザイン賞を受賞し、その思想をより広く全国の地域材活用へと展開する器として、「MORIWA」というコレクションへと育てられました。名前は「森」と「和・環・輪」を組み合わせた造語で、ものづくりを通じて森の循環へとつながっていくことへの願いが込められています。
芦沢啓治

1973年 東京都生まれ。横浜国立大学建築学科卒業。2005年より芦沢啓治建築設計事務所主宰。石巻工房ファウンダー。「正直なデザイン / Honest Design」をモットーに、クラフトを重視しながら建築、インテリア、家具、照明までトータルにデザイン。国内外の建築やインテリアプロジェクトを手掛け、近年ではTRUNK(HOTEL)YOYOGI PARK、国内外のBLUE BOTTLE COFFEE、プロダクトにおいては石巻工房のほか、カリモク家具やKOKUYOなど国内のメーカーや様々な海外のブランドで協働している。
Web:https://www.keijidesign.com/
制約を、美へ。芦沢啓治が読み解いたスギの個性

スギという素材の特性を制約としてではなく、デザインの個性として読み解くところからMORIWAのかたちは始まっています。強度が求められる部位にはクリなど広葉樹を組み合わせ、針葉樹には軽さと木目の美しさを担わせる。素材の顔と特性を見ながら構造とフォルムを決めていくアプローチは、芦沢が「正直なデザイン / Honest Design」と呼ぶ一貫した設計思想と重なります。

デザイン開発にあたっては、視覚障がいのある方や車椅子・義足利用の方がプロセスに参加するインクルーシブデザインの手法が採用されました。脚の断面を丸くする、背もたれに肘掛けの機能を持たせる——そうした配慮のひとつひとつが、フォルム全体の統一感にもつながっています。節を素材の表情として取り込んだ風合いと、誰もが使いやすい構造への配慮が、静かに共存するコレクションです。
6アイテム、3カラーのラインナップ

初回ラインナップには、Arm Chair・Task Chair・Side Chair・Table・Round Table・Benchの全6アイテムを展開します。

Arm Chair(132,220円)は、広い背もたれに針葉樹の木目が映えるアームチェアです。流れるように続くアームは立ち座りのしやすさにも配慮されており、2脚までスタッキング可能なためオフィスや商業施設にも対応します。

Task Chair(160,380円)は、アームチェアのデザインを継承しながらキャスター脚を採用。書斎やオフィスでのアクティブな動きを支えながら、アームチェアやサイドチェアと自由に組み合わせることで空間の統一感を保てます。

Side Chair(113,300円)は、直線的な脚に丸みのある背や座を合わせたチェアです。高密度ウレタンの座面は長時間の使用にも対応し、ダイニングから書斎、会議室まで幅広いシーンで活躍します。

Table(257,400円〜440,000円)は、1〜2人掛けからW2400まで豊富なサイズ展開を持つ汎用テーブルです。主材にスギとクリを組み合わせ、天板のテーパー加工がすっきりとした印象を与えます。

Round Table(184,800円〜264,000円)は、スチールを採用したベースで軽やかさを演出した円形テーブルです。1本脚のデザインで足元が広く、どのチェアとも合わせやすい設計です。

Bench(172,700円)は、並んで座れる開放的なアイテムです。エントランスでの来客スペースや、空間を彩るディスプレイ的な使い方も可能です。

カラーはClear・Smoked・Blackの3展開。Clearはスギ本来の明るい木目をそのまま活かし、Smokedは節や色むらを落ち着いたトーンに統一、Blackは高級感のある仕上がりです。
針葉樹の家具材としての可能性を切り拓く
燃やされていた木が、家具になる。奥多摩の小さな森で始まった実践が、全国の地域材活用へとつながっていく——MORIWAはそのための、しなやかで誠実な器です。
Web:https://www.karimoku.com/
Instagram:@karimoku_official