延床約49㎡。原田収一郎(しう)/moarが描く、川の風景とゆるやかにつながる住まい「樋井川の庭」
「樋井川の庭」は、福岡を拠点とする原田収一郎(しう)の建築設計事務所moarが手がけた小規模住宅です。延床面積約49㎡というコンパクトな建築の中に、庭との関係を丁寧に織り込んだ住まいとなっています。建物は周囲の環境に穏やかに寄り添うように配置され、外部空間と一体となった暮らしが意識されています。住宅としての機能を満たしながらも、庭とともに過ごす時間を中心に据えた設計が特徴です。樋井川の流れる周辺環境に呼応するように、住まいの内外がゆるやかにつながる計画となっており、自然の気配を身近に感じながら日常を送ることができます。
庭を身近に感じる小さな建築

「樋井川の庭」では、室内と庭の距離の近さが大きな特徴となっています。大きく開かれた窓や外部に面した開口部によって、室内にいながら庭の気配を身近に感じることができます。

庭は単なる外部空間ではなく、日常の暮らしの一部として位置づけられています。室内から連続する床の高さや視線の抜けによって、屋内と屋外の境界がやわらかくつながっています。

限られた床面積の中でも外部空間を積極的に取り込むことで、実際の広さ以上の伸びやかさが感じられる住まいとなっています。

庭に面した場所は居場所としても機能し、座ったときの目線の高さや窓の位置にも細やかな配慮が感じられます。

日常の中でふと外を眺める時間が自然に生まれる設計となっています。
光の変化を受け止める空間

内部はシンプルな構成とし、自然光の変化が空間の表情をつくり出しています。

開口部から差し込む光は時間帯によって異なる陰影を生み出し、日々の暮らしに変化をもたらします。

落ち着いた空間は光をやわらかく反射し、小さな建築の中にも明るさと奥行きを感じさせます。

過度な仕上げを施さない設計によって、庭の緑や外部の風景が引き立っています。
庭とともに暮らすための住まい
「樋井川の庭」は、大きな建築ではなくても豊かな暮らしが実現できることを示す住まいです。庭の存在を身近に感じながら過ごす時間は、都市の中にありながらも自然とともに暮らす感覚を与えてくれます。建築が主張しすぎることなく、周囲の風景の一部として静かに佇む姿からは、環境に寄り添う住まいのあり方が感じられます。