黒を選び、光で調整する。インテリアが導く住空間のバランス「本物志向の邸宅」

前編:暮らしも、趣味も、家の中に。人生を無駄なく楽しむ住まいの空間構成「本物志向の邸宅」

「本物志向の邸宅」は、名古屋を拠点とするデザインウォール設計事務所が設計・施工を手がけた住まい。空間のあちこちに、選択と調整を積み重ねてきたプロセスがにじみ出ています。なかでもインテリアと照明計画は、住まいの印象を決定づける要素として、初期段階から時間をかけて検討されました。
施主の価値観や暮らし方、設計者が思い描く空間像は、当初から一致していたわけではありません。しかし対話を重ねるなかで少しずつ方向性が整い、最終的にこの住空間として形になっていきました。

光の重なりが空間の奥行きをつくる

「本物志向の邸宅」では、照明が単なる明かりではなく、空間を構成する重要な要素として扱われています。

全体を通して採用された間接照明は、直接的な明るさを抑えながら、建築の輪郭や素材感をやわらかく浮かび上がらせます。

リビングへと続く階段には、L字型の間接照明が設けられています。

壁に溶け込むように配置することで、空間に自然な陰影が生まれ、動線そのものが静かに演出されています。


キッチンでは、足元を照らす間接照明とダウンライトを組み合わせ、用途に応じた光の役割分担を行いました。

機能とデザイン性、その両立を図った設えです。

建築とインテリアを切り離さない考え方

「本物志向の邸宅」では、空間全体のまとまりを大切にしながら、家具の選定まで含めたトータルな提案が行われました。

リビングに配されたソファも、その考え方を体現する要素のひとつです。

造形や質感が周囲の素材やスケールと呼応し、後から置かれた家具というより、建築の流れのなかに自然と組み込まれているような佇まいを見せています。

家具はLDKに限らず、和室の設えや小物類に至るまで丁寧に選定されています。
建築とインテリアを切り離さず、一体として考える。その姿勢が、住む人にとって自然で居心地のよい空間づくりにつながっています。

黒を軸に生まれた重心のある空間

色彩計画は、この家において特に慎重な調整が求められたテーマでした。当初は柔らかなトーンを基調とした構成も検討されていましたが、最終的には黒を中心とした配色が選ばれています。

はっきりとした色を好むご主人と、やわらかな印象を望む奥様。両者の価値観をどう空間に落とし込むかが、この住まいの大きなポイントとなりました。

結果として採用された黒は、空間に重心を与え、照明や素材の表情を際立たせる役割を果たしています。

光と組み合わせることで、重さだけで終わらない、奥行きのある表情が生まれました。

思考の積み重ねがかたちになった、更新され続ける住まい

照明、家具、色彩計画。それぞれが独立するのではなく、相互に影響し合いながら、住空間としての完成度を高めています。施主の個性を尊重しながら、設計者の美意識を丁寧に重ねていく。「本物志向の邸宅」は、そのプロセスそのものが空間に表れた住まいです。暮らしの変化に応じて、光や居場所の感じ方も更新されていく。そんな余白を残した設計が、この住まいを特別なものにしています。

デザインウォール設計事務所

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