1階LDKがつくる“光と視線をコントロールする住まい”「見守る中庭の家」

のどかな田園風景と幹線道路が交差するロケーションに佇む「見守る中庭の家」。外にひらきながら、同時にプライバシーを守る。この相反する要素を、建築家が巧みにデザインした住まいです。今回は、特徴的な外観、玄関アプローチ、そして1階のLDK空間を中心にご紹介します。

バイカラーの外観がつくる、風景に映えるフォルム

外観は、縦長と横長のふたつの長方形が重なったような独特のフォルム。

横長部分は白、縦長部分はネイビーのバイカラーで構成され、シンプルな佇まいの中に遊び心が漂います。

建物正面の開口部は最小限に抑えられており、横にスッと伸びる連続窓が印象的。外からの視線を遮りながら、光だけを室内へ取り込む工夫です。

敷地正面には駐車スペースを2台分確保。

玄関までのアプローチにはウッドステップを採用し、敷き詰められたウッドチップと合わせて柔らかな雰囲気に仕上げられています。

自然と軒をつくる玄関のデザイン

玄関扉が収まる位置は、縦長のボリュームに横長のボリュームが“食い込む”ようにデザイン。

その段差が軒の役割を果たし、雨の日でも落ち着いて出入りできるスペースを生み出しています。

扉を開けると、白を基調とした明るい玄関ホール。

左手には扉付き収納、右手にはハンガーレールと姿見を備え、外出前後の動線に配慮した実用的な空間です。

木目天井が落ち着きをつくるLDK

玄関から左へ進むと、開放的なLDK空間が広がります。

木目の天井がさりげない高級感をプラスし、シックでありながらナチュラルな雰囲気を演出。

連続窓から差し込む柔らかな光がリビング全体を包みます。

造作の横長テレビボードが空間に広がりをつくり、視線の流れを整えることでスッキリとした印象に。

和室がつなぐ、内と外の“中間領域”

リビング横には引き戸で仕切られた和室スペース。

白壁に反射する光と、ライトグリーンの畳の柔らかな色合いが相まって、心落ち着く空間です。

窓の向こうにはウッドデッキが広がり、中庭のように内外をゆるやかにつなぐ場所に。

この住まいのテーマである「安心して子どもを遊ばせられる中庭」の思想が、この配置に表れています。

家族の時間が流れるダイニングとキッチン

二面採光のダイニングは明るく、木のテーブルやベンチがあたたかい雰囲気をつくります。

隣接するキッチンには大容量のオープン収納棚を設置。

上部はカウンターとしても使え、下ごしらえや片付けを効率よく行えるレイアウトに。

キッチンは人気のペニンシュラ型。

ステンレスと木材の組み合わせは、スタイリッシュながら親しみやすい印象です。

外と内をなめらかにつなぐ、安心感のある1階設計

外観のフォルムからLDKまで、「見守る中庭の家」には随所に建築家の思想が息づいています。道路からの視線を遮りつつ、光と風景だけを取り込む窓の配置。家族の時間が自然と生まれるLDKの広がり。そして、中庭と和室を介してつながる内外のバランス。外部と内部を緩やかに繋ぐことで実現した、心地の良い住まいです。

後編:2階のプライベート空間と、家事を支えるファミリークローゼット「見守る中庭の家」(12月19日 公開予定)