建築家・石上純也によって手がけられた山口県宇部市の洞窟レストラン「maison owl(メゾン・アウル)」

日本だけでなく世界中が注目している、山口県宇部市の洞窟レストラン「house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)」。

建築家の石上純也によって手がけられ、まるで洞窟のような建築物は、2024年日本建築学会作品賞を受賞し、他のどこにも存在しない唯一無二のレストランとなっています。

山口県宇部市の洞窟レストラン「maison owl」

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山口宇部空港から車で約15分の住宅街の中に、地面を3mほど掘り起こしてつくられた「house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)」。

前面道路と高低差があり、周囲からはその姿をうかがい知ることができないレストランで、オーナーシェフは宇部市出身の平田基憲が務めています。オーナーシェフの平田は、「時間の重みを初めに、時間とともにその重さが増していくようなものを」という想いを建築家・石上純也にオーダー。その後、約9年という歳月をかけ2021年にオープンしました。

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外観は、白い大きなアメーバのような屋根面が印象的で、地下にレストランが存在しているとは考えられません。

赤茶色の土を纏ったまさに洞窟のような店内

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そしてこちらが、赤茶色の土を纏ったまさに洞窟のような入り口です。周辺に植えられたこだわりの植栽がコントラストとなっています。

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店内は、周囲の斜面と同じ土色で統一され、非現実的な空間が広がっています。この斬新な施工法は、少しずつ地面を掘り下げ、「型枠」としてコンクリートを流し込み、固まったら周囲の土を掻き出すという工法が取られました。

そうすることにより複雑な表層が作られ、赤茶色の土を纏った、本物の土と見分けがつかない仕上げとなったのです。

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本物の洞窟のような光の入り方をするために取り入れられた窓は、一枚ガラスを採用。 3Dスキャン技術を用いた設計されました。

インテリアやカトラリーにも注目

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重々しい建築に対して、軽やかな印象を与える店内のテーブルや椅子などのインテリア。こちらも、建築家・石上によってデザインされました。そして、陶芸家・吉田次朗の器や、坂野友紀のカトラリーが揃えられているのもこのレストランの魅力の1つです。

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土の壁が迫る中、生き生きとした植物を間近で楽しむことができます。

オーナーシェフ平田基憲が手がけるフレンチ料理

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そしてこちらは、オーナーシェフ平田基憲が手がける、素材を生かしたフレンチが楽しめるオープンキッチンです。カウンターはコンクリート製で、周囲のゴツゴツとは対照的なシンプルでモダンな印象にまとまっています。

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夜になると、キャンドルの炎やキャンドルの炎と同じ色に合わせている照明が、幻想的な雰囲気を醸し出し、ムードのある空間に変化します。そして照明は、柱や天井に設備を直接取り付けず洞窟感というイメージが尊重されていることもポイントです。

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時間を重ねるにあたり変化していく店内の空間。季節の素材をふんだんに使ったフレンチ料理は、空間全体を彩り、美しく繊細な時間を過ごすことができます。

建築家・石上純也によって手がけられた山口県宇部市の洞窟レストラン「house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)」

この洞窟レストラン「house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)」は、技術面、空間の使い方、影響力など多角的な面から評価され、2024年に日本建築学会作品賞を受賞しました。自然とも人工物とも言えない空間は、世界中から訪れる人々を圧倒していることでしょう。

house & restaurant maison owl(メゾン・アウル)

HP:https://maison-owl.com/
Instagram:https://www.instagram.com/okcs_maison_owl/