シンプルな中にこだわりの仕掛けが。建築家が手がける「繋がりながら、取り込む家」
キッチンは1階になくてはならない。窓は外からの光を取り込むため、できるだけ大きくたくさん設けなければならない。そんな家づくりにおける常識を取り払うと、もっと自由で可能性の広がる住宅を作ることができる。今回ご紹介するのは、「繋がりながら、取り込む」家。ともするとシンプルに見えるが、細かいところにポイントが隠されている。
玄関を入った先に広がる開放的な空間
シンプルな印象を持つ外観だが、白で統一せずブラックとポイントで取り入れたり、ウッドテイストをプラスするなど、遊び心が詰まったデザイン。
クリーンな印象を持ちながらも、キリッと締まった表情を見せる。
玄関のスペースは広めに確保。重厚感のある黒い玄関扉を開けた正面には、収納力の高いシューズボックスを用意している。スライド式の扉で隠れる仕様になっているから生活感が出づらく、外から来たゲストにもクリーンな印象を与えられる。シューズボックスの上にはインテリアを飾ったり、デコレーションしたりして、自由にアレンジ可能。
家に入ってすぐ長い廊下が広がっており、視界が遮られていないのが良い。奥行きが感じられ、開放的な雰囲気になっていることで、家に帰ってきたときの気分も変わってくるだろう。
シンプルで使い勝手のいい水回り
玄関から入って廊下を進んだ左側に水回りを設け、帰宅してからお手洗い、手洗いまでの動線も考えられた設計になっている。洗面台は、家族が並んでも使える広々とした仕様。洗面下の空間を活かして、自由に収納をアレンジできるようになっている。無機質になりがちな水回りも木材を用いることで、あたたかみのある空間に。
サニタリールームには室内物干しが設置されており、洗濯後にすぐ干す作業に移ることができる。シンプルな棚はタオル置きにしてもいいし、着替えを置いてくのもいいし、さまざまな使い道がありそう。バスルームで使うバスタオルなんかは洗濯して干し、ここにそのまま整頓すれば最短の動線でストレスフリー。シンプルな作りになっているからこそ、家族なりの工夫を楽しめるはずだ。
一見収納が少ない家にも見えるが、十分なクローゼットも用意されているのでご安心を。服やシューズ、バッグはもちろん、使う頻度の少ない季節もののグッズを収納しておくにも良さそう。
どう使う?バルコニーの使い方は無限
この家の真価を発揮するのは、2階。この広々としたバルコニーをどう使うか、想像しただけでワクワクしてくる。テーブルやデッキチェアを用意してテラス席のように使うもよし、天気がいい日にはバーベキューを楽しむもよし。友達を呼んで食事をするのなんても良さそう。周りからの視界が気にならない分、プライベート空間は守られているし使い道は無限大。2面がガラスで覆われているため、部屋にはたくさんの光が差し込むだけでなく、外の景色を楽しめて開放感もマックス。室内にいながら、外とのつながりを感じられる設計になっている。
家族がつながるリビング・キッチン
通常1階に設けることの多いリビング・キッチンは、あえて2階に設置。バルコニーの様子を見ながら料理を楽しめる、フラットなキッチンを取り入れている。淡いグレーのシックなカウンターを採用し、メリハリをつけながらも木材とマッチする絶妙なコンビネーション。
料理ができたら、そのままカウンターの横に移動して、自然光の中で食事をいただく。これだけ光を贅沢に取り入れたキッチン空間は、そうそうないだろう。
リビングはあえてものを少なくして、家族で過ごす特別な空間として演出するのも良いだろう。スクリーンを用意して、一家団欒してホームシアターを楽しむのも素敵な使い方。
バルコニーの大きなガラス窓のほか、階段を上った先に四角の窓が2つ並んでいる。白い壁に取り付けられた額縁のようで、外の風景を切り取っているようにも見える。真夏の日差しや冬の雪など、この窓から季節の移ろいも感じられそうだ。
周りの環境を取り入れながら、自由度の高い住宅
シンプルでベーシックな形かと思いきや、随所にこだわりが光る住宅。自由度が高く、住む人なりのアレンジを楽しめるのも魅力的だ。外の空気や景色を感じながら、きっと快適な生活が送れるはず。新しく住宅を建てる人は、ぜひヒントにしてみてはいかがだろうか。