「THE TOKYO TOILET」プロジェクト、マーク・ニューソンによるデザインの裏参道公衆トイレ

日本財団によって実施されているプロジェクト「THE TOKYO TOILET」。

THE TOKYO TOILETは、誰もが快適に利用できる公共トイレを設置するプロジェクトとして、渋谷区内に数カ所設置されています。今回は、14カ所目となる裏参道公衆トイレが1月20日(金)より供用開始されました。

「みのこ」を取り入れた屋根が特徴的、裏参道公衆トイレ

写真:永禮賢

多くの公共トイレは、暗い、汚い、臭い、怖いといった理由で利用者が限られている状態。しかし、このTHE TOKYO TOILETは、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に利用できるようになるため、建築家の隈研吾氏、伊東豊雄氏、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏なども参画し、渋谷区内に設置されています。

今回設置されたのは、首都高速の高架下の敷地の裏参道。伝統的な建築「みのこ」を取り入れた屋根が特徴的な建物で、外観からは、公衆トイレだとは想像もできない、オシャレで綺麗な公衆トイレです。

心地よく永続的な空間

写真:永禮賢

この裏参道公衆トイレは、インダストリアルデザイナーのマーク・ニューソン氏によって手掛けられました。室内は、明るい内装となっており、薄暗い印象の公衆トイレのイメージを覆すほど。今回のコンセプトについてマーク・ニューソンは、以下のように述べています。

「私のデザインは、銅製の「蓑甲(みのこ)屋根」をはじめとする日本の伝統的な建築の引用が中心となっています。トイレが賑やかで超近代的な場所にあっても、神社仏閣や茶室、農村部などによく見られるこの屋根の形が、潜在的に心地よさや安らぎを感じさせるものにしたいと思いました。銅のピラミッド型屋根の緑青は、時とともにこの建築物を街に溶け込ませ、東京を織りなす構造の一部となることでしょう。」

「私にとって、このトイレは内からも外からも信頼でき、誠実さが感じられるデザインであることが重要です。明るい内装は、私の好きな色であるグリーンの単色でシームレスかつ衛生的に仕上げられています。このトイレのデザインでは機能性、シンプルさ、そして心地よく永続的な空間であることに重点を置いています。渋谷にたくさん存在する隠れた名所のように、このトイレが魅力的でとても便利な存在になることを願っています。」とコメントを残しました。

「世界で最も重要な100人」に選出、マーク・ニューソン

写真:Prudence Cumming Associates, Gagosian

今回、裏参道公衆トイレをデザインした、オーストラリア・シドニー生まれのプロダクトデザイナーマーク・ニューソン。1963年生まれでロンドン在住。日用品からジェット機までジャンルを超えた幅広い分野で活躍中。クライアントにはAppleやエルメス、ナイキなどがあり、作品は世界各国の主要なデザインミュージアムにコレクションされており、2005年タイム誌の「世界で最も重要な100人」に選ばれています。2014年には、Apple Watchをデザインしています。

このTHE TOKYO TOILETは、現在、渋谷区の広尾や恵比寿、神宮前など数多くの方が利用するであろう箇所に設置され、残り3カ所も今年設置予定。公衆トイレのネガティブなイメージを見事に覆す綺麗でオシャレな公衆トイレは、今後隠れた名所のようになることでしょう。

【裏参道公衆トイレ】

住所:渋⾕区千駄ヶ⾕4-28-1
THE TOKYO TOILET:https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/thetokyotoilet
特設サイト:https://tokyotoilet.jp/