「不要なものから大切なものへ」段ボールアーティスト・島津冬樹が見た流通の世界や活動のコンセプトについて
前編:「お金がなくて財布が買えなかったんです」段ボールアーティスト・島津冬樹の大切なデザインや段ボールとの出会い
Amazonやzozotownなど、新型コロナウィルスの影響でより身近になったネットショッピング。そこに欠かせないのがダンボールですよね。今回はその段ボールを材料に、様々なアイテムを制作する段ボールアーティストの島津冬樹さんに、段ボールから見える流通の世界や現在行われているワークショップの活動について伺いました。
段ボールからみる流通の世界とは
“段ボール”と一口に言っても、その国独自のものやグローバル企業のものなど様々な段ボールが流通していますが、それぞれの特徴から見えてくることはあるのでしょうか。
「段ボールは旅をしているので、キウイとかバナナとかの段ボールは世界共通で落ちているんです。ロシアのカムチャッカ半島という極東に当たる地域に訪れたときに、南米のバナナやキウイの段ボールが落ちているのを見つけて、段ボールは旅をしているということを実感したのと同時に、世界中に流通してる段ボールって万能なんだな、と驚きも感じました。」
世界中の人々がものを運ぶときに段ボールを選ぶというのも、改めて考えると面白いですよね。
エコ視点での今後の目標
段ボールを活用した制作が一つのエコ活動やアップサイクルに繋がっていますが、この活動によって伝えたいことや向かいたい方向性はありますか。
「普段から“不要なものから大切なものへ”というコンセプトで活動しています。一度捨てられたものにも可能性があることを知ってもらいたいんです。コロナ渦で通販を利用する機会が増えていると思いますが、そこで使われた段ボールを捨ててしまう方も多いはず。捨てられたものがまた段ボールに生まれ変わる、という流れもありますが、リサイクルに頼るのも限界があります。そこで、段ボールを捨てるのではなく、次の使い道を考えるということをきっかけに、ダンボール以外の日々捨ててしまうものにも、工夫すれば可能性があるということを考えてほしいですね。」
確かに段ボールに限らず、普段捨ててしまうようなものも、視点を変えると次の可能性が見えてくるかもしれませんね。
初めての段ボールグッズ作りのおすすめとは
チェーンや財布やバッグなど様々なものを制作されていますが、私たちにも簡単にできるものはありますか。
「コインケースや財布など色々とありますが、僕のサイトに作り方がまとめられているので、ぜひ覗いてみてください。親子で楽しんだりするのもおすすめです。」
(島津冬樹さん公式サイト : Carton Studio)
The North Faceとのタイアップイベントの見どころとは
現在The North Faceとのタイアップでインスタレーションツアーが開催中ですが、このイベントのコンセプト、見どころは何でしょうか。
「2016年ごろからThe North Faceとの活動を行っているのですが、店舗でシューズボックスが余ってしまうということで、名刺ケースやバッグを作るといったワークショップを始めました。今回のイベントではThe North Faceのために開発したバッグやブーメラン、ノートなどいつもと違うアイテムを、The North Faceのロゴも活用しながら作れる内容となっています。また、いつもはハサミで切って進めるワークショップが多いのですが、今回は型抜きで一気に抜いて作る形で、いつもよりハードルを下げているので、小さいお子さんにも楽しんで頂けると思います。今後はものを作るだけじゃなく、収納だったりと生活に段ボールを溶け込ませるということも提案していきたいですね。」
おもちゃなど、これまでの財布やバッグなどの実用品に限らず、子どもだからこそ発見できる段ボールの使い道も多くありそうですね。
ライフイズ“ディスカバリー”
アーティストとしての制作を超えて、人々と段ボールの関係性を新鮮な視点で提案している島津さん。そんな島津さんにとってライフイズ◯◯の〇〇に入るものは何でしょうか?
「“ディスカバリー”ですね。やっぱり発見するということが僕の原点。段ボールを発見するのも、使い方を発見するのも人生に欠かせません。新しい視点を持って、世界中を旅して色んな刺激を得ながら発見を続けたいと思います。」
新たな視点を探し続ける
通常では梱包材として捨てられてしまう段ボールを活用した制作やアイディアによって、従来の慣習に囚われない新たな視点を提案する島津さんでした。