インド西部のアーメダバードにある生き生きとしたコルビュジエ建築「繊維業会館」

インド西部にあるアーメダバードは世界遺産都市にも選ばれたインドを代表するエリアです。14世紀に当時の皇帝アフマド・シャー1世が都と定めて以降約600年もの間栄え続け、現在でもインド8大都市の1つに数えられているほどです。

土地に対する深い理解からはじまるコルビュジエ建築

ル・コルビュジエは、その土地に合った機能的な建築をすることで知られていますが、芸術性よりも人の生活に根差した建物作りは産業的な建築物に最適だったと言えます。コルビュジエは当時のアーメダバードの文化、サバルマティ川近辺の環境について深い理解を示しながら建物の設計に取り組みました。

インドの過酷な気候にも適応するブリーズソレイユ

繊維業会館の壁はル・コルビュジエが開発したとされるグリッド状のコンクリートは日除け効果のあるブリーズソレイユが使われています。板状のコンクリートにより奥行きしっかりとられているのが特色です。

ル・コルビュジエは当時のインド首相の秘書宛に「繊維業会館は、現代芸術がインドの気候にも対応することができるという一つの証拠である」という主旨で手紙を送ったとも言われています。

豊かな環境に合わせた贅沢な空間設計

ブリーズソレイユには仕切りがなく風が抜けていくため、外のような内のような空間ができあがっています。

繊維業会館は単に作業場や休憩所としての役割だけではありません。

そこで働く人達の意識を高めながら交流を深められる場として機能することを目的としました。ゆえに作業する人達を見渡すことが可能で、飼育される動物にとって過ごしやすく、仕事が終わった後はパーティーができるように贅沢なゆとりを持った空間や屋上が設計されているのです。

モダニズムの最大の特徴であるコンクリート建築により獲得した開放感

建物はモダニズムの特徴であるコンクリートが主なので2階部分を支える壁が必要ありません。それによって自由に空いた空間を活かし、開放的な設計になっています。

その他にも緑を多くしたり屋上スペースを贅沢に使うなどの近代建築の原則をしっかりと組み込み、機能を重視しながらも高いデザイン性を有しています。

ル・コルビュジエはインドにおける設計において、影の重要性を度々主張しています。
繊維業会館の建築においてもブリーズ・ソレイユは温度調整の機能的な面だけでなく、インドの強い日射しによって深い影を建築に立体感と表情を与えており、彼にとってインドの建築においていかに影が重要であったかが分かります。

Ahmedabad Textile Mills Association – 繊維業会館