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建築家・内山里江が語る!ハウスオブザイヤーインエナジー2018にて優秀賞を獲得した住宅の裏側

今回の住宅は去年、ハッシュカーサの記事にも登場した建築家・内山里江が手がけた1邸。「ハウスオブザイヤーインエナジー2018」にて優秀賞を受賞し、デザインへのこだわりと機能性を考え抜いたこの住宅について改めて内山氏に直接話を聞いてみた。

「ピアノを軸に家を考える」コンセプトから始まった一邸

今回、内山が手がけた住宅の施主は、家を建てたいながらもずっと我慢して来られたご夫婦。ご主人は、奥様の夢のマイホームを叶えたい一心で「妻の言う内容で作ってあげて」と意見一つ言わず依頼をしてくれたという。なんとも温かい夫婦関係に胸が詰まる。

奥様に今回の家づくりについて話を聞くと「ピアノを置きたい」という希望がまずあった。音大出身の奥様にとって「ピアノ」という存在はとても重要で、昔からグランドピアノを家に置くことが夢だったのだ。そこで内山氏は「ピアノを軸に家を考える」ことで、家づくりのプランのスタートを切った。

デメリットから生まれ、メリットに変える家の形

大阪にある縦長の立地に、住宅がひしめき合う環境。前面道路が狭く、斜線制限がある立地条件は、良いものとは言えなかった。しかし「その環境から生まれたアイデアこそが、今回の家の形にある」と内山氏は話す。

前面道路の立地に駐車スペースを上手く取り入れるため、今回採用したのは「スキップフロア」。そしてそこに出来上がった中二階を、ピアノのスペースにしたのだ。斜線制限も相まって南の明かりが美しく差し込み、まるでスポットライトを浴びたステージのような空間。そこは、気持ち良くピアノを弾く奥様の「特別な舞台」へと変化した。

丁寧な生活スタイルが続く秘訣

今回の住宅の中身について、内山氏は「間取りをその人の生活スタイルや行動導線に合わせることはとても重要」と話してくれた。

彼女は「人は間取りに沿って行動が動く」と考える。だからこそ「行動することがめんどくさい」と思わない間取りを作れば、いつまでも丁寧な生活スタイルが続くことにも繋がるのだ。

今回の間取りは「2階で全部準備できる空間」に敢えてしている。その理由は、内山氏が注目したご主人の行動スタイル。奥様曰く、ご主人は「仕事から帰ってきたらすぐソファに寝てしまう」という特徴があったのだ。

内山氏はご主人のために「帰ってきてからお風呂に入って、晩酌して、ゆっくりする」までの導線を2階リビング周りに纏めた。これにより1日の最後「ベッドで寝る」以外は全て同フロアで完結することができる。まさにご主人目線オリジナルで作る、行動導線だ。

それぞれの人と立地に合わせた家づくりが機能性を格段に高める

ここに住む人々は「晩酌するのか」「料理をするのか」「友達がいっぱい来るのか」。まず家を建てる前に住人の生活スタイルを知ることは、とても大切だと建築家・内山里江は考える。

今回採用した「アウトリビング」も、たくさんの友人やペット達が集まる習慣に沿って設けることを決めたという。アウトリビングは、周囲からの視線が気になる「密集した住宅地環境」を上手く避けながら光を取り込むことにも繋がった。

現在、家族は、周囲の人からの好評価も嬉しく大変満足しながら生活を送っている。ご主人も帰ってきてから寝るまでの身支度をしっかり済ませて、毎日ベッドで寝ているという。

今日も大阪の閑静な住宅街には、奥様が奏でるピアノの音色がほんのりと流れる。

所在地:大阪府 構造:木造 規模:地上2階 建築面積:52.99.㎡ 延床面積:102.48㎡

くるみ

くるみ

グラフィック/ウェブデザイナー兼イラストレーター。ニッチでコアな音楽ディストロレーベル ano records を主宰。

スーツケース1つで突然移住してしまう癖がある。(アメリカ3ヶ月・オーストラリア1年・石垣島半年)

目指すは、海外ノマドワーカー。暮らしながら世界一周。いつもワクワクの向かう先へ!

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