【後編】デザイナー・二俣公一が語る「キウルベンチ」の制作経緯とコンセプト
前編:【前編】空間・プロダクトデザイナー「二俣公一」が語る暮らしとデザイン。
毎週月曜日に立山律子がお送りする福岡のラジオ放送CROSS FM「DAY+」。今回は「#casa(ハッシュカーサ)」の枠にゲストとしてお越しいただいた空間・プロダクトデザイナーの二俣公一(ふたつまた こういち)さんの作品について、さまざまなお話を伺っていきます。
空間・プロダクトデザイナー / 二俣公一
空間・プロダクトデザイナー。福岡と東京を拠点に、空間デザインを軸とする「ケース・リアル(CASE-REAL)」とプロダクトデザインに特化する「二俣スタジオ(KOICHI FUTATSUMATASTUDIO)」の両主宰。インテリアや建築、家具・プロダクトなど多岐にわたるデザインを手がける。主な空間作品に「イソップ札幌ステラプレイス店」や和菓子店「鈴懸」、香川県・豊島の「海のレストラン」など。プロダクトでは、アントワープのレーベル”valerie_objects”のためにデザインしたカトラリーセットのほか、今年のミラノサローネではアルテックの「FIN/JPNフレンドシップコレクション」から「キウルベンチ」を発表するなど、国内外の様々なメーカーと恊働している。
キウルベンチのコンセプトは「公衆浴場」
フィンランドと日本の国交関係樹立100周年を記念して、ミラノデザインウィークではアルテックから二俣さんがデザインしたキウルベンチが発表されました。一体どういった経緯で制作されたのか、またそのコンセプトについてもお話を伺いました。
アルテックから2年前に依頼を受け、フィンランドと日本人の数名のデザイナーの中の一人としてプロジェクトに参加したという二俣さん。それぞれ依頼されたテーマが違ったそうで、二俣さんのテーマは「両国の文化的な共通点をベースにした家具を作ってほしい」というオーダーだったと言います。
二俣さんは両国の自然への捉え方が近いことに注目し、その象徴とするものが「公衆浴場」の考え方ではないかと閃きました。日本は温泉や露天風呂、フィンランドはサウナ。裸の付き合いや自然に身を投じる姿からインスピレーションを受け、キウルベンチをデザインしたそうです。
また、試作の確認やチェックに行く際に初めてフィンランドを訪れてサウナを体験した際には、両国を象徴する良いデザインの家具ができたという確信が持てたのだとか。
WINE&SWEETS TSUMONSのデザインで苦労した点は?
福岡市の高砂にあるワインとスイーツのお店「WINE&SWEETS TSUMONS(ツモン)」。二俣さんがデザインしたワインとスイーツのお店で、スフレとチーズケーキのお店で15年修行を積んだ店主が営んでいます。
こちらの建築をデザインした際には、「このお店に何が必要か」などの機能的な面から敷地などの法的な制約を考慮し、店主の要望を汲み取ってデザインしたと言います。
店主の要望は、お店の中で作業ができるスペースがあることと、狭い空間の中でも外部の空気感は取り入れたいというもの。細い内部空間の中にいかに外部空間を取り入れるか、という点が最も苦労したそうです。そのため窓が多く、より光が入りやすいデザインになっています。
苦労を乗り越えて店主が心踊る空間を実現したことは、さすがとしか言いようがありません。まだ訪れたことがない方は、ぜひツモンに足を運んでみては?
二俣さんにとって人生とは
空間・プロダクトデザイナーとして国内外問わず多方面に活躍する二股さん。そんな二股さんにとって「ライフイズ◯◯」の空欄にはどんな言葉が入るのでしょうか。
「ライフイズリアリティ」と答えてくださった二俣さん。目の前の現象や出来事を真っ正面から自分で受け入れていきたいと言う気持ちがあるそうで、問題も良いこともその都度考えながら生きていけたらと語ってくださいました。
毎週様々なジャンルのスペシャリストが登場するラジオ版の「#casa(ハッシュカーサ)」。聴き逃した方はRadiotalkでもお楽しみ頂けます。