スイスアルプスがあなたのお部屋。壁も屋根もないホテル「ゼロ不動産」が大人気

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ホテルは建物、という概念を取り去ってしまったら? スイスアルプスの大自然のふもとに、ベッドがポツリと置かれたホテルがあります。「ゼロ星ホテル。唯一の星はあなたです」のキャッチフレーズ。かっこいいけど、実際に泊まる人いるの? はい、今年の予約はすべて埋まってしまいました。

via: nullsternhotel.ch ゼロ星ホテル

壁も屋根もない「ゼロ星ホテル (Null Stern Hotel)」は、スイスのコンセプトアーティスト、フランク&パトリックのリクリン兄弟とビジネスパートナーのダニエル・シャルボニエによるアートプロジェクトとして2008年にスタート。3人はこのコンセプトを、まったく新しいホスピタリティ・ビジネスとして、スイスアルプスのトッゲンブルク地方のホテル「ゼロ不動産 (Zero Real Estate)」で実現しました。

via: nullsternhotel.ch 左右の2人が「ゼロ星ホテル」の発案者リクリン兄弟

「ゼロ不動産」のホテルスイートは、各メディアで取り上げられ一躍話題に。2018年のブッキングは、予約受付開始から10日間に75%が埋まり、現在すべてのスイートはフルブッキングとなり受付は終了しています。

標高1100メートル以上にある3つのオープンエアー・スイートには、クイーンサイズのベッド、サイドテーブル、2つのスツールと広々とした木製デッキがあるのみ。お世話をしてくれるバトラー(執事)が付き、ウェルカムドリンクと朝食バスケットがプランに含まれています。

チェックインとディナーは近くのアルペンローズ・ホテルで行い、バトラーがお迎えにあがってスイートまで車でエスコート。17:00〜18:30のチェックインとなり、アルプスのふもとで一夜を過ごすためだけの宿泊施設です。共用のバスルームまでは歩いて10分程度かかります。

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標高1158メートルの古い木々のキャノピーの下に設置されている「スタンプ・スイート」。星空を見ながら、近くのアルペンローズ・ホテルのウェルネススパに通うことができます。朝にはアルプスの鳥の美しいコンチェルトで目覚めることでしょう。

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標高1192メートルにある「シュヴェンディー・スイート」からは、クールフィルシュテン山脈の丘陵に位置する牧歌的なシュヴェンディー湖が一望できます。

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周囲の牧草地からのカウベルの音を聞きながら眠りにつき、スイス東部の最高峰ゼンティス山がそびえるアルプス連峰の雄大な景色で目を覚ましてください。徒歩15分圏内には、レストランやアルペンローズ・ホテルがあり散策も楽しめます。悪天候の場合は、伝統的な農家かホテルの客室に滞在できます。

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3つのスイートの中でもっとも高い位置にある「バースト・スイート」は、アルプス連峰のふもとのトッゲンブルク渓谷の上標高1220メートルにあります。

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東方に昇る月を眺めながらのナイトキャップは格別な味です。ライン渓谷からクールフィルシュテンまでの渓谷を望む270度のパノラマは、息を呑むような絶景。近くにレストランはないので夕食はチェックイン前に済ませておくか、ディナーバスケットをオーダーする必要があるでしょう。バックアップ宿泊施設とトイレは、100メートル上の山小屋になります。

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「ゼロ不動産」のお値段は、1泊295スイスフラン(約3万3600円, 1CHF=114円)と決して安くはありません。パッケージには悪天候の際のバックアップ宿泊施設の利用料金が含まれています。

山の気候は変動が激しいので、敷地内には追加の毛布がありますが、防寒対策や寝袋は用意しておいたほうがよいでしょう。また、周りは牧草地で草原が湿っていることもあるので、適切な履物を持参することもお忘れなく。ここで快適に一夜を過ごすには、キャンプに行くような心構えと準備、そして少しの幸運が必要というわけです。何も覆いがないんですから。

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「ゼロ不動産」は、バトラーとベッドというグランピング的な要素を加えつつ、キャンピングの原点を追求しているように思えます。アウトドアの真のおもてなしとラグジュアリーは、自然そのものに身を置くこと。そして天候はあなたの運次第。常識にとらわれないアーティストならではの宿泊体験を、アミューズメント化した大胆なアプローチは予想以上の大人気を得ています。

さて、あなたなら泊まってみたいと思いますか?

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