オランダ・アムステルダムにあるMVRDVによるユニークな集合住宅3選「オクラホマ」「シロダム」「パークランド」
先日紹介した、アムステルダムのロイドホテルを再生させたオランダ出身の建築家MVRDV。そのMVRDVを一躍有名にした建築が、同じくアムステルダムにある「オクラホマ」や「シロダム」、「パークランド」などの集合住宅だろう。数多くのユニークな建築が建つオランダの中でも一際目立つ建築だ。
高齢者のための100戸の集合住宅「オクラホマ」
アムステルダム郊外に建つ、MVRDVがデザインした高齢者のための100戸の集合住宅「オクラホマ」。カラフルでバラバラな配置のバルコニーがユニークで、とても高齢者のための住居とは思えない。
反対側に回ると、最大で11mも飛び出したキャンティレバー(片持ち構造)もヴォリュームとそこからさらに飛び出すバルコニーが立体的なファサードを作り出していた。
ランダムに飛び出したヴォリュームは最大2層分で迫力も十分。地震の多い日本で作ったら住んでいる人も緊張するのでは?と思う人もいるだろう。
この集合住宅「オクラホマ」どこかで見たという人も多いかと思うが、それもそのはず、2004年に日産のコンパクトカー「マーチ」のCMにも使われていた。マーチのカラーバリエーションと「オクラホマ」のバルコニーのカラーリングがマッチしていて、非常におしゃれなCMになっていたことを思い出す。
Oklahoma – オクラホマ
住所 : Reimerswaalstraat 1, 1069 AE Amsterdam, Netherland
現代版ユニテ・ダビタシオン「シロダム」
高度に密集して居住のための土地が不足しているアムステルダムでは、居住空間はウォーターフロントに向かう。その象徴的な存在なのが、こちらもMVRDV設計で湾岸の再開発の一環で建設された集合住宅「シロダム」だ。海上に浮かぶ巨大客船のような建築は、巨大な船をメタファーに使ったル・コルビュジエの集合住宅ユニテ・ダビタシオンの現代版と言ってもいいだろう。
パッチワークのように様々な色や素材で覆われたファサードはコンテナ船をイメージ。地上10階建、全長300m、幅20mで157戸を収納する豪華客船並みの大きさは迫力も十分だ。
地価が高騰してしまったために街を走る水路上の船で生活する人もいるアムステルダムでは、水上で暮らすことは自然なことなのかもしれない。
Silodam – シロダム
住所 : 1013 AL Amsterdam Netherlands
ダイナミックな門型の集合住宅建築「パークランド」
MVRDV設計の集合住宅建築「パークランド」は、ヴォリュームが巨大な門型に組み上がりダイナミックな造形になっている。アムステルダム郊外の閑静な住宅街に建つ「パークランド」は、そのダイナミックなファサードの割に周囲の田園風景に溶け込んでいる。
公園のような建物の外側はもちろん、門型の大きく開いた屋外共用スペースには、デザインのユニークな遊具や屋外家具が配置されている。これら外部共用スペースはリチャード・ハッテンがデザイン。
これら3つの集合住宅は、アムステルダムの社会問題に一つの解決案を提案し、MVRDVのアイデンティティを最も表している建築だ。奇抜なダッチデザインを継承しつつ、現代的で合理性の高い建築を作り続けるMVRDVの活躍はこれからも見逃せない。