光と色彩の建築に「音」が加わった、CMでもお馴染みのルイス・バラガンの「サン・クリストバルの厩舎」
「バラガン邸と仕事場」、「ヒラルディ邸」に続き、光と色彩の建築「ルイス・バラガン」の旅はまだまだ続く。
次に向かった先は、メキシコシティ郊外にあるルイス・バラガンの名作「サン・クリストバルの厩舎」。途中、ハイウェイ沿いに建つ「サテライト・タワー」にも立ち寄りルイス・バラガンを堪能する。ロス・クルベスというゲーティッドコミュニティになっている高級住宅街にあり、通行許可証がないと入ることができない。
ゲーティッドコミュニティとは、住民以外の敷地内への出入りを制限た通過交通の流入を防ぎ、防犯性を向上させた住宅地のこという。
サン・クリストバル厩舎に合わせてデザインされた、エゲルシュトーム邸。
白い住宅はサン・クリストバル厩舎の所有者であるエゲルシュトーム家のものだ。サン・クリストバルの厩舎は、エゲルシュトーム家の個人所有で自分の馬を数頭とロス・クルベス居住者の馬を数頭預かって管理している。
現在も使用されているこの厩舎を、エゲルシュトーム家が好意で一般公開しているので、メールで予約する必要がある。エゲルシュトーム邸もカラーは白いがフォルムがサン・クリストバル厩舎に合わせてデザインされている。
ルイス・バラガンの光と色彩の空間に、噴水の「音」が加わった建築。
メキシコの青い空と、明るい光に、ビビットなピンクが映える壁。
ルイス・バラガンらしい、光と色彩で構成されている美しい厩舎。
1958年に、ルイス・バラガンの光と色彩の空間に「音」である噴水を取り入れ、屋外でありながら心地よく、灼熱の砂漠にいるような熱量とカラッと乾いた爽快感が混在する不思議な空間。
馬たちのオアシスになる池と噴水
メキシコらしい褐色の噴水の壁と、そこに直角に対向するピンクの壁のコントラストも面白い。開口部分は馬に乗って通り抜けられる高さに設定されていて、不思議なスケール感と、馬が最も映えて見えるプロポーションは見応えあり。
開放的な広い空間には馬のための仕掛けや大きな木があり奥行きが感じられる。
ルイ・ヴィトンの広告やキューピーマヨネーズのCMでもお馴染み。
このピンクの壁は数年前に、福山雅治の出演するキューピーマヨネーズのCMで使われたので見覚えがある人も結構いるのではないだろうか?
馬主用の休憩室は資料館にもなっていて、家具もすべてルイス・バラガンのデザイン。強い日差しから身を守り、馬にとって涼むのに心地良さそうな厩舎棟は落ち着いて綺麗なデザインが施してある。
原色を使った壁にメキシコの強い日差しと、カラッと乾燥した空気が美しい陰影を映し出す「サン・クリストバル厩舎」は、室内とはまた違った光のコントラストが楽しめる。興味があるかたはメキシコを訪れた際に是非見に行ってみて欲しい。