暮らしも、趣味も、家の中に。人生を無駄なく楽しむ住まいの空間構成「本物志向の邸宅」
前編:門をくぐった瞬間、スケールが反転する。内へひらく玄関とLDK「本物志向の邸宅」
3人での暮らしを想定して設計された、延床面積約450㎡、敷地面積約200坪の住宅「本物志向の邸宅」。名古屋を拠点とするデザインウォール設計事務所が設計・施工を手がけたこちらは、一般的な住宅と比べれば大きなスケールを持ちながらも、その広さは単なる余剰ではありません。家族それぞれが自分の時間を持ち、必要に応じて緩やかにつながるための「場所」として、空間が丁寧に割り当てられています。この住まいでは、日常の生活動線だけでなく、趣味に没頭する時間や、家族やゲストと過ごす特別なひとときまでを含めて設計が考えられています。屋内外に点在する多様な居場所が、暮らしのシーンに応じて使い分けられることで、住まい方そのものに幅が生まれる。人数や広さといった数値では語りきれない、時間の使い方まで見据えた住まいが、ここにはかたちになっています。
暮らしが自然と集まる、40畳超のLDK

この住まいの中心に据えられているのが、約40畳を超えるLDKです。ゆとりある広さを持ちながらも、空間の大きさを強調するのではなく、日々の暮らしを受け止める場として丁寧に構成されています。

リビング・ダイニング・キッチンをひと続きにまとめ、パントリーも無理なく組み込むことで、動線や収納面でも使いやすさが考えられています。

このLDKには、家族の暮らしをつなぐ「集まりの場」としての役割が込められています。それぞれが思い思いに過ごしながらも、気配や会話が自然と交わる。

吹き抜けによって上下階と視線がつながり、南面の開口部から差し込む光が、空間全体にやわらかな広がりをもたらします。

日常の時間が重なり合う、その中心にあるのがこのLDKです。
大空間を支える、構造と性能のベース設計

「本物志向の邸宅」は、意匠や空間構成だけでなく、住宅性能を設計の前提条件として丁寧に積み上げている点も特徴です。

高い耐震性を確保する構造計画をベースに、断熱・気密・耐火といった基本性能についても、長く安心して暮らすための水準が想定されています。

吹き抜けや大開口を取り入れた伸びやかな構成でありながら、外気の影響を受けにくく、室内の温熱環境が安定しやすい点も、この住まいの心地よさを支える要素のひとつです。
開放感と快適性のどちらかを犠牲にするのではなく、両立させる。そのための構造と性能が、空間の裏側で静かに支えています。
個の時間に寄り添う、収納と書斎の設え

「本物志向の邸宅」では、家族が集う空間だけでなく、それぞれが心身を休めるための個室にも、丁寧な配慮が行き届いています。

主寝室は、照明をあえて控えめに抑え、ホテルライクな落ち着きを感じさせる設えに。

黒を効果的に取り入れたインテリアが空間全体を引き締め、静けさの中に上質さが漂います。

素材感や光の陰影によって心を整える、就寝前の時間にふさわしい空間です。

1階に設けられたご主人専用のウォークインクローゼットは、約9畳のゆとりある広さを備え、衣類や小物を落ち着いて選べる空間として計画されています。

間接照明によるやわらかな光が収納物の質感を引き立てる、静かな雰囲気がつくられています。

その奥には書斎が配置され、仕事や趣味に集中できる環境が整えられています。

生活空間の中にありながら、気持ちを切り替えられる場所が確保されている点も、この住まいの特徴です。
家族それぞれの過ごし方を尊重し、個人の時間と家族の時間が無理なく共存する。その考え方が、プライベートスペースにも表れています。
日常の流れに寄り添う、家族用WICの配置

「本物志向の邸宅」では、日々の家事動線にも細やかな配慮がなされています。

1階・2階の双方に洗濯室を設け、それぞれの動線上に家族用のウォークインクローゼットを配置している点も、この住まいならではの工夫です。

洗う、干す、しまうという一連の流れが自然につながることで、室内はすっきりとした印象を保つことができます。

日常の動きを丁寧に整えることで、使いやすさと空間の美しさを両立した設計です。
暮らしの流れから組み立てる、余白のある住まい
「本物志向の邸宅」が重視しているのは、空間の広さや設備の多さそのものではありません。
趣味に没頭する時間、ひとりで静かに過ごすひととき、日々の生活を支える収納や無理のない動線。それぞれの行為や時間が、暮らしの流れの中で自然につながるよう、住まい全体が丁寧に組み立てられています。用途ごとに空間を細かく分断するのではなく、集う場所と個に戻る場所がゆるやかに共存する構成。そこに生まれるのは、気分やシーンに応じて居場所を選べる、しなやかな住環境です。暮らしを型にはめるのではなく、日常の積み重ねに寄り添うように空間を整える。その姿勢が、この住まいに落ち着きと持続的な心地よさをもたらしています。
デザインウォール設計事務所
URL : https://designwall.jp/
電話:0561-74-1188
所在地:〒470-0131 愛知県日進市岩崎町石兼51-1
後編:黒を選び、光で調整する。インテリアが導く住空間のバランス「本物志向の邸宅」(4月9日 公開予定)