2階のプライベート空間と、家事を支えるファミリークローゼット「見守る中庭の家」

前編:1階LDKがつくる“光と視線をコントロールする住まい”「見守る中庭の家」

内部と外部を緩やかに繋ぐ設計で、心地よい空間にまとめた「見守る中庭の家」。今回は、暮らしの心地よさを左右する2階のプライベート空間と“家事動線の工夫”について深掘りします。建築家が大切にした「開放」と「プライバシー」の両立が、どのように住まい全体に生かされているのでしょうか。

明るさとプライバシーを両立した2階の個室

玄関正面の階段を上ると、2階にはプライベートルームが並びます。

白を基調としたシンプルなインテリアに、窓から差し込む光が映え、静かで落ち着きある空間に整えられています。

外に対しては必要以上に開かない一方で、山々の緑だけを取り込む窓配置になっており、「視線は遮りながら景色だけを享受する」という建築家の意図が反映されています。

家事を一気に効率化するファミリークローゼット

2階の大きな特徴のひとつが、家族の衣類をまとめて収納できるファミリークローゼットの存在。衣類が1箇所に集約されることで、各部屋にクローゼットを設ける必要がなくなり、そのぶん居室を広く使えるメリットも生まれています。家族のライフスタイルに寄り添う“暮らしの器”として、機能性と心地よさを両立した計画です。

1階の水回りと連動する“やさしい動線”

1階の洗面室・浴室は白を基調とした清潔感ある仕上がり。

浴室には黒の大理石風タイルを取り入れ、上質で落ち着いた雰囲気をつくり出しています。2階のファミリークローゼットと1階の水回りが連動することで、家事効率がぐんとアップ。

日常の動作がストレスなく完結できるよう構成されており、“見えない部分”にも建築家の工夫が行き届いています。

建築家が語る「見守る中庭の家」の思想

「見守る中庭の家」を手がけた建築家は、敷地が幹線道路に面することから、開放とプライバシーのバランスを最重要視したと語ります。
・道路から玄関が直接見えない屈折したアプローチ
・視線を遮りながら緑を感じられる窓配置
・中庭がリビングと一体に感じられ、子どもを安心して遊ばせられる空間設計
これらの工夫が、家族の“安心”を静かに支える空間をつくり出しています。

暮らしの安心と快適を見守る、住まい全体の設計

2階のプライベート空間やファミリークローゼット、そして細やかな動線計画。どの空間にも、家族の生活リズムをやさしく包み込む想いが宿っています。「見守る中庭の家」は、外観の印象やLDKの心地よさだけでなく、“暮らす人の安心”を建築がそっと支える住まい。開放とプライバシー、効率と心地よさ。その絶妙なバランスから、毎日の生活に豊かさをもたらす住宅です。