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モダンなライフスタイルを提案したバウハウスの実験的住宅「ハウス・アム・ホルン」

1919年にヴァイマールに誕生した近代建築の巨匠ヴァルター・グロピウスが初代校長を務める「バウハウス」は、現代でこそ当たり前に行われているデザイン教育を実施していたが、当時はまだ古典主義の時代でヴァイマールの人たちの目には奇妙に写っていた。そのためグロピウスは、融資を受けるためにヴァイマールの所属するチューリンゲン州政府に説明する必要が出てきた。

そこでバウハウスは、開校4周年を記念して1923年に展覧会を開催。バウハウスの教育の革新性を世に示すことになり、その展覧会の目玉として実験的住宅を建設した。

バウハウスの実験的住宅「ハウス・アム・ホルン」

「ハウス・アム・ホルン」と言われるその実験住宅は、グロピウスではなく一般の公募から選ばれた画家のゲオルク・ムッヘによって設計された。バウハウスの各工房の建築家やデザイナー、職人の手によってわずか4ヶ月で完成した。

当初はハウス・アム・ホルン一棟だけでなく多くの建築を作りバウハウスのサテライトキャンパスのようにしてコミュニティを作る計画だったが、1924年の選挙で実権を握った保守政党により予算を半減させられ、計画も頓挫。さらにデッサウへの移転を余儀無くされるのは知られている通りだ。

四角くて白い「ハウス・アム・ホルン」は、モダンなデザインのお手本のような外観。今でこそスッキリとしたデザイン性の高い住宅だが、当時ドイツの人たちにはきみ悪がられていたそうだ。

革新的なプランと空間構成

ハウス・アム・ホルンのプランは、正方形の中央に大きなハイサイドライトが設置されたアトリウムや中庭のようなリビングを持っている。このリビングは、全体の1/3広さがあり、プラン通りにこの住宅の中心でその周りにベッドルームやキッチン、水回りなどを配置している。

このアトリウムのような空間は、その後バウハウスだけでなく色々な名作住宅で取り入れられている。大きなハイサイドライトからは自然光が降り注ぎ、外部のような扱いをされているようにも思える。

諸室に囲まれたリビングルームの一部が外部へとつながっていて、大きくはないが、風景を綺麗に切り取る窓を備える。

モダンなライフスタイルを提案

軽量ブロックを積み重ねてセメントをつないだ壁と屋根は、二重壁の間にトルフォリウムという断熱材の層を設けてエネルギー効率を劇的に改善している。ハウス・アム・ホルンは、世界で初めてのエコ住宅で、当時の通常かかる暖房コストの半分程度で済んだとも言われている。

後にテキスタイル造形家として活躍したベニータ・オッテが設計したキッチンは、システムキッチンの元になったと言われるフランクフルト・キッチンに先駆けて誕生した、非常に現代的なデザインと設備だ。

機能的にもデザイン的にも非常に洗練されているキッチンは、今見ても100年ほど前のものとは感じさせない。

学生だったマルセル・ブロイヤーが手掛けたインテリアや家具

キッチン同様にハウス・アム・ホルンのインテリアや家具は、当時のバウハウスの学生たちがデザインしたもの。

おそらくバウハウス亡き後、学生の中でも最も有名になったマルセル・ブロイヤーは、女性の部屋のインテリアを担当。ブロイヤーがデザインした化粧台は、特にモダンで非常に美しい。

リビングにある家具も見ての通りブロイヤーのデザインで、後にヴァシリーチェアなどを残すその才能を感じることができるだろう。

子ども部屋は、アルマ・ブッシャーという木彫工房に所属していた学芸が手掛けた。どこかデ・ステイルの雰囲気も感じるデザインの組み立て式の家具は、組み合わせによって子供用にも大人用にもなるモデュロールのような仕組みがル・コルビュジエの発表に先駆けて取り入れられている。

 

バウハウスの実験住宅「ハウス・アム・ホルン」は、100年前のものとは思えないほどモダンで洗練されている名作住宅である。また、多くの著名なデザイナーのアイディアや設計手法が散りばめられているので、この住宅一つでもバウハウスの教育が現代的であったことがわかるだろう。

Haus Am Horn – ハウス・アム・ホルン

開館時間:10:00~16:00
休館日:火曜日
入館料:11€
URL : https://www.klassik-stiftung.de/haus-am-horn/
住所:Am Horn 61, 99425 Weimar, Germany

大前洋輔

大前洋輔

空間だけでなく色々なモノやコトのデザインをしています。

建築と美味しい食べもの、南の島々を探しによく旅に出ます。

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