富山県の建築10選!隈研吾や内藤廣、磯崎新など有名建築家による自然と調和する美術館から、革新的な公共施設など!

富山県は、立山連峰の雄大な自然と富山湾の美しい景色に恵まれた場所であり、同時に著名な建築家たちの傑作が点在する「建築の宝庫」です。隈研吾や内藤廣、磯崎新など有名建築家が手がけた自然と調和する美術館から、革新的な公共施設まで、それぞれの建築が持つ独特な魅力や空間の奥深さを探ります。

1. TOYAMAキラリ/隈研吾

富山市の中心部に位置する「TOYAMAキラリ」は、隈研吾が設計を手掛け、2015年に開館しました。富山市立図書館や富山市ガラス美術館などが入る複合施設です。外観は、御影石、アルミ、ガラスといった異なる素材を組み合わせた、多角的なファサードが特徴です。立山連峰の岩肌をモチーフにしたというデザインは、周囲の街並みと調和しながらも、モダンな存在感を放っています。

内部空間は、大きな吹き抜けが建物の中心を貫き、光が降り注ぐ開放的な空間が広がります。この吹き抜けは、木材をふんだんに使用したルーバーで構成され、温かみのある雰囲気を創出しています。図書館と美術館が一体となった空間は、ガラスの壁でゆるやかに仕切られ、利用者が自由に移動できるような動線が計画されています。自然素材と最新技術が融合した、隈研吾らしいデザインが光る建築です。

参考:建築家・隈研吾が手掛けた、木の質感と斜めにつながる吹き抜け空間が圧倒的な複合施設「TOYAMAキラリ」

TOYAMAキラリ

住所:富山県富山市西町5−1

2. 富山県美術館/内藤廣

Via : Wikipedia.

富山県美術館は、内藤廣が設計を手掛け、2017年に開館しました。富岩運河環水公園の隣に位置し、美しい自然環境と調和するようなデザインが特徴です。外観は、アルミパネルとガラスを組み合わせた、シンプルながらも洗練されたデザインです。大きな庇が、周囲の自然とのつながりを意識させます。

内部空間は、光と開放感に満ちたデザインです。特に、大きな窓からは富岩運河や立山連峰の景色が一望でき、まるで一枚の絵画のようです。展示室は、作品の鑑賞に集中できるよう、落ち着いた空間が創出されています。一方で、屋上庭園「オノマトペの屋上」では、子供たちが自由に遊べるようなユニークな遊具が設置されており、アートと遊びが融合した新しいタイプの美術館です。機能性だけでなく、地域の人々に開かれた、親しみやすい空間が創出されています。

富山県美術館

開館時間:9:30~18:00
休館日:水曜日
URL:https://tad-toyama.jp/
住所:〒930-0806 富山県富山市木場町3−20

3. 高志の国文学館/シーラカンス

富山市にある高志の国文学館は、シーラカンス(小嶋一浩+小泉雅生)が設計を手掛け、2012年に開館しました。富山県にゆかりのある作家や文学作品を紹介する施設です。外観は、ガラス張りの開放的なデザインが特徴で、周囲の緑豊かな庭園と一体となっています。屋根は緩やかな勾配を持ち、建物を低く見せることで、圧迫感を軽減しています。

内部空間は、木材を多用した温かみのあるデザインで、訪れる人々を温かく迎え入れます。特に、エントランスホールから続く開放的なラウンジは、大きな窓から自然光が降り注ぎ、心地よい雰囲気を生み出しています。展示室は、文学作品の世界観を尊重し、静かで落ち着いた空間が創出されています。また、カフェやミュージアムショップも併設されており、文学に親しむだけでなく、人々が交流できる場としても機能しています。

高志の国文学館

開館時間:9:00~18:00
休館日:火曜日
URL:https://www.koshibun.jp/
住所:〒930-0095 富山県富山市舟橋南町2−22

4. 氷見市海浜植物園/長谷川逸子

Via : Wikipedia.

氷見市海浜植物園は、長谷川逸子が設計を手掛け、1996年に開館しました。富山湾に面した立地にあり、植物園、博物館、温室の機能が一体となった複合施設です。特徴的なのは、ガラスドーム型の温室と、それに連なる白い壁が織りなす、有機的で柔らかなデザインです。まるで海辺の波を表現したかのような、ユニークな外観が印象的です。

内部空間は、温室の中に熱帯の植物が豊かに育ち、訪れる人々を異世界へと誘います。ガラスの屋根から降り注ぐ光が、植物の生命力を引き立てます。展示室は、植物に関する様々な情報を提供し、子供から大人まで楽しめるような工夫が凝らされています。また、展望室からは富山湾や立山連峰を一望でき、自然との一体感を強く感じることができます。長谷川逸子らしい、自然と建築が融合した、詩的な空間が創出されています。

氷見市海浜植物園 ・シーサイドパーク

開館時間:9:00~16:30
休館日:火曜日
URL:http://himi-kaihin.com/
住所:〒935-0031 富山県氷見市柳田3583

5. 富山県立山博物館・遙望館/磯崎新

富山県立山博物館遙望館は、建築家・磯崎新が設計を手掛け、1991年に竣工しました。立山信仰と立山の自然をテーマにした博物館であり、立山を一望できる高台に位置しています。外観は、磯崎建築特有の、幾何学的で抽象的な形態が際立つ建築です。打ち放しコンクリートの壁と、ガラス面の組み合わせが、力強い造形美を創り出しています。

内部空間に入ると、外部の力強い印象とは異なり、光と影が織りなす神秘的で厳かな雰囲気に包まれます。特に、展示室は、立山信仰の世界観を表現するために、光の演出が非常に巧みです。天井から差し込む間接光や、壁面からの間接照明が、展示物に独特の存在感を与えています。立山という聖なる山を題材に、磯崎新らしい哲学が込められた、精神的な安らぎを感じさせる空間と言えるでしょう。

富山県立山博物館・遙望館

開館時間:10:00~16:40
休館日:月曜日
URL:https://tatehaku.jp/
住所:〒930-1406 富山県中新川郡立山町芦峅寺6

6. 富山市民プラザ/槇文彦

Via : Wikipedia.

富山市民プラザは、槇文彦が設計を手掛け、1992年に開館しました。市民の交流や文化活動の拠点として、多目的ホール、ギャラリー、図書館、飲食店などを備えた複合施設です。外観は、ガラス張りのファサードと、白い金属パネルを組み合わせた、モダンで洗練されたデザインが特徴です。

内部空間は、光が降り注ぐ吹き抜け空間が印象的で、開放感あふれるアトリウムが中心にあります。このアトリウムは、市民の待ち合わせや休憩、交流の場として機能しており、賑わいを生み出しています。また、各施設は、このアトリウムを介して有機的に結ばれており、利用者がスムーズに移動できるような動線が計画されています。槇文彦らしい、機能性とデザイン性が高い次元で融合した、都市のランドマークです。

富山市民プラザ

開館時間:9:00~21:00
URL:http://www.siminplaza.co.jp/
住所:〒930-0084 富山県富山市大手町6−14

7. 高岡市美術館/内井昭蔵

Via : Wikipedia.

高岡市美術館は、内井昭蔵が設計を手掛け、1994年に開館しました。高岡市ゆかりの美術家の作品を展示する美術館です。外観は、地元の伝統的な建築様式である「土蔵造り」を現代的に解釈した、重厚なデザインが特徴です。黒い瓦屋根と、白い壁が織りなすコントラストが、美しいファサードを形成しています。

内部空間は、展示内容に合わせて多様な空間構成がなされており、日本画、洋画、彫刻など、幅広いジャンルの作品に対応しています。特に、自然光を効果的に取り入れるための開口部が随所に設けられ、作品の鑑賞に最適な光環境を提供しています。また、中庭や回廊を設けることで、訪れる人々が休憩したり、景色を眺めたりできるような、ゆとりのある空間が創出されています。地域の文化や歴史を大切にしながらも、モダンなデザインを取り入れた、内井昭蔵の哲学が光る建築です。

高岡市美術館

開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜日
URL:http://www.e-tam.info/
住所:〒933-0056 富山県高岡市中川1丁目1−30 高岡市美術館 1F

8. 新湊市博物館/内井昭蔵

Via : Wikipedia.

新湊市博物館は、高岡市美術館と同じく内井昭蔵が設計を手掛け、1989年に開館しました。新湊市(現射水市)の歴史と文化を紹介する施設です。外観は、地元の漁村の景観を意識した、シンプルながらも温かみのあるデザインが特徴です。白い壁と、木材を組み合わせたファサードは、周囲の風景と調和しています。

内部空間は、展示内容に合わせて多様な空間構成がなされています。特に、展示室の中央には、新湊の祭りを表現した大きな模型が配置され、訪れる人々を地域の歴史の世界へと誘います。自然光を効果的に取り入れるための大きな窓や、天井高を変化させることで、空間にリズムと奥行きを与えています。地域の歴史と文化を深く理解するための拠点として、そして建築的な魅力も兼ね備えた、内井昭蔵の代表作の一つです。

新湊市博物館

開館時間:9:00~17:00
休館日:火曜日
URL:https://shinminato-museum.jp/
住所:〒934-0049 富山県射水市鏡宮299

9. 富山県総合福祉会館・サンシップとやま/池原義郎

Via : Wikipedia.

富山県総合福祉会館は、池原義郎が設計を手掛け、1977年に竣工しました。市民の福祉向上と交流を目的とした公共施設です。外観は、コンクリート打ち放しの力強い構造と、複雑な形態が特徴です。内部空間は、吹き抜け空間が印象的で、自然光が降り注ぐ開放的なアトリウムが中心にあります。

このアトリウムは、人々が自由に行き交い、交流できる場として機能しています。また、各階のバルコニーや回廊が、このアトリウムを囲むように配置されており、建物全体に一体感をもたらしています。機能性を追求しながらも、建築としての美しさを追求した、池原義郎らしい哲学が込められています。長年にわたり、市民の福祉活動の拠点として親しまれています。

富山県総合福祉会館・サンシップとやま

開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜日
URL:http://www.wel.pref.toyama.jp/index.html
住所:〒930-0094 富山県富山市安住町5−21

10. 黒部市国際文化センター・コラーレ/新居千秋

Via : Wikipedia.

黒部市国際文化センター・コラーレは、新居千秋が設計を手掛け、1995年に開館しました。市民の文化活動の拠点として、多目的ホールや図書館、ギャラリーを備えた複合施設です。外観は、黒部市の豊かな自然をモチーフにした、独特の曲線を持つ屋根が印象的です。

内部空間は、温かみのある木材と、光を効果的に取り入れた開放的なデザインです。特に、ホワイエは、大きな窓から自然光が降り注ぎ、心地よい雰囲気を生み出しています。ホールは、音響効果にも配慮され、クラシックコンサートから演劇まで、様々なジャンルの公演に対応できます。新居千秋らしい、機能性とデザイン性が融合した、地域の新しいランドマークとして、多くの人々に親しまれています。

黒部市国際文化センター・コラーレ

URL:http://www.colare.jp/
住所:〒938-0031 富山県黒部市三日市20

風景との対話を表現する富山県の建築

富山県の建築は、その土地の自然や歴史と深く結びついています。TOYAMAキラリの立山をモチーフにしたデザインや、富山県美術館の運河との一体感など、建築家たちの思想が、風景との対話を通して見事に表現されています。これらの富山県の建築は、地域の文化や暮らしを豊かにするだけでなく、訪れる人々に感動を与え、富山の新しい魅力を伝えています。