カルティエとのコラボで実現した建築家・永山祐子による大阪・関西万博の「ウーマンズ・パビリオン」

2025年大阪・関西万博に、カルティエとのコラボで建築家・永山祐子が設計した「ウーマンズ・パビリオン」が登場しました。ドバイ万博の日本館の素材を再利用したサステナブルな建築が特徴です。多様な女性のストーリーに触れる没入型体験を通じて、女性のエンパワーメントを祝うメッセージを伝えています。

永山祐子による、伝統とサステナビリティを体現する建築

大阪・関西万博の「ウーマンズ・パビリオン in collaboration with Cartier」は、建築家・永山祐子が設計を手がけました。このパビリオンは、伝統と現代を繋ぐ架け橋となることを目指しており、その象徴として、日本の伝統的な木工技術「組子」から着想を得たファサードが採用されています。

特筆すべきは、このファサードが2020年ドバイ万博の日本館で使われた7,000以上のパーツを再利用している点です。この取り組みは、資源を大切にする持続可能性への深い配慮と、カルティエが掲げる「クラフツマンシップ」への揺るぎないコミットメントを体現しています。

さらに、パビリオンは日本の町屋を参考にリデザインされており、地域の歴史や文化への敬意も示されています。この革新的なデザインは、環境負荷を低減しながらも、日本の美意識と現代的な機能性を両立させることに成功しています。

永山祐子の掲げる「自然、人、資源が相互に関連し合うサイクル」は、万博というグローバルな舞台で、新たな建築のあり方を示す重要なメッセージとなるでしょう。

女性のエンパワーメントを祝う没入型体験

このパビリオンの根幹をなすコンセプトは「ともに生き、ともに輝く未来へ」です。来場者は、世界的アーティストエズ・デヴリンがキュレーションした空間へと誘われ、女性たちの変革する力と未来を形づくる可能性を称える旅に出ます。

パビリオンの体験は、個人のアイデンティティがストーリーの一部に組み込まれることで始まります。「THREE WOMEN」では、小説家の吉本ばなな、詩人・活動家のエムティハル・マフムード、環境保護活動家のシエ・バスティダという、国籍や年齢が異なる3人の女性の語りに耳を傾けます。

彼女たちの人生を追体験する「THREE PATHWAYS」を経て、来場者はそれぞれの経験を振り返る「MA」という瞑想的な空間に導かれます。

その後、ジェンダー平等に関するファクトを学ぶ「PUZZLE BOX」や、黒柳徹子をはじめとする多様なロールモデルからのメッセージを受け取る「YOUR HAND」へと進みます。この一連の没入体験は、個人の内省と集団的な行動への呼びかけを繋ぐものであり、女性のエンパワーメントという普遍的なテーマを、来場者一人ひとりの心に深く刻み込みます。

多様なクリエイターが集結した特別な空間

ウーマンズ・パビリオンは、永山祐子の建築だけでなく、多岐にわたる分野のクリエイターたちの才能が結集した特別な場所です。sacaiのデザイナー阿部千登勢が手掛けたアテンダントのユニフォームは、パビリオンのコンセプトに調和するモダンなデザインで来場者を迎えます。

景観デザイナーの荻野寿也が手掛けた庭園は、地域の植物を中心に構成され、2階の「UPPER GARDEN」では日本の移りゆく四季が描かれており、来場者に癒やしを提供しています。

また、フランスの女優・監督であるメラニー・ロランは、ポートレートやサウンドスケープの作品を通して女性のエンパワーメントを探求し、VR作品も制作しました。

さらに、アーティストの千葉尋は、葉に写真を焼き付ける「クロログラフ」という独自の手法で、メラニー・ロランとの共同作品を展示しています。こうした多角的なアプローチは、パビリオンのテーマを豊かに表現し、来場者に深く多層的な感動をもたらします。性別、年齢、国籍を超えた多種多様なクリエイターたちのコラボレーションが、このパビリオンを唯一無二の存在にしているのです。

誰もが輝ける未来を築くための対話と行動を促す「ウーマンズ・パビリオン」

「ウーマンズ・パビリオン」は、永山祐子による持続可能な建築と、カルティエのコミットメントが見事に融合した空間です。エズ・デヴリンら多様なクリエイターが手掛けた没入型体験は、来場者に女性の可能性とジェンダー平等への意識を深く問いかけます。このパビリオンは、誰もが輝ける未来を築くための対話と行動を促す場となっています。