ミラノデザインウィーク2025で3年連続となる出展となった荒川技研工業の2つの展示「ubique」「NEW NORMAL」

ミラノデザインウィーク2025で3年連続の出展となる荒川技研工業は、その革新的な技術力と表現力を世界に示しました。空間デザイナー吉添裕人とのコラボレーションによるインスタレーション「ubique」では、アラカワグリップの可変性を活かした光と影の表現で来場者を魅了。また、「NEW NORMAL」プロジェクトでは、日本の家業の未来をテーマに、同社の技術がどのようにデザインと融合し、新たな価値を創造するのかを提示しました。

ミラノデザインウィーク2025、荒川技研工業が3年連続出展で示す世界への挑戦

2025年4月7日から13日まで、イタリア・ミラノで開催された世界最大級のデザインイベント「ミラノデザインウィーク2025」において、荒川技研工業株式会社は3年連続となる出展を果たし、その技術力とデザインへの飽くなき探求心を世界に向けて発信しました。特に注目されたのは、空間デザイナーの吉添裕人とのコラボレーションによるインスタレーション「ubique」と、日本の家業の事業継承をテーマとしたデザインプロジェクト「NEW NORMAL 5 -Japanese Maison-」への協力です。

メイドインジャパンの優れた技術である「アラカワグリップ」を核に、同社は創業以来、「ないものを創る」という理念のもと、常に新しい価値を創造してきました。3年連続での出展は、荒川技研工業が国際的なデザインシーンにおいて確固たる地位を築きつつあること、そして、その技術が世界中のクリエイターから高く評価されていることの証と言えるでしょう。ミラノというデザインの聖地で、日本の技術と感性が融合した展示を通じて、荒川技研工業は持続可能な社会への貢献と、未来のデザインのあり方を提示しました。

荒川技研工業

1973年に創業。創業者であり、工学博士である荒川秀夫氏が「ないものを創る」を理念に会社を立ち上げ、1975年に世界に先駆けてワイヤー金具の調整機構「ARAKAWA GRIP」を開発。その後この技術を核とした用途製品を次々と開発し、製造、販売事業を展開、小さいながらも自社のブランド「ARAKAWA GRIP」を持つ。表参道に本社兼ショールーム「TIERS」を構え、西日本の営業拠点である大阪オフィス兼ショールーム、そして、製造(部品製造、設計、生産技術、資材、組立)及び出荷を行う東日本の営業拠点、所沢事業所、と、これら3拠点の緊密な連携をもとに、北海道から沖縄まで日本列島すべてをカバーしている。国外では「メイドインジャパン」のARAKAWA GRIPとして愛されており、日本のものづくりを世界に発信し続けている。

公式サイト:https://www.arakawagrip.co.jp/

Instagram:@arakawa_co_ltd(企業)@arakawa_grip(製品)

光と影が織りなす「ubique」吉添裕人との協働でアラカワグリップの可能性を拡張

今回、荒川技研工業がミラノデザインウィークの主要会場の一つであるALCOVA MILANOのVilla Bagatti Valsecchiにて発表したインスタレーション「ubique」は、空間デザイナーの吉添裕人との緻密な協働によって生まれました。

この作品は、同社の50周年プロジェクト「50 GRIPS」の企画を起点に、光と影、そしてその間に存在する無形の気配を捉えるという、吉添裕人ならではの繊細な美意識が凝縮されています。特に、アラカワグリップの持つ「可変性」という特性に焦点を当て、光源の位置を自由に移動できる構成とすることで、光と素材、距離や数の関係性が自在に変化する独創的な装置をデザインしました。

照明の「吊り構造」自体がアート作品として機能する点も特筆すべきです。19世紀の貴族の別荘として建てられた歴史あるVilla Bagatti Valsecchiの地下空間で、「ubique」は無形の可能性を美しく繊細に映し出し、訪れる人々を魅了しました。

機能的な照明としての側面と、インスタレーションとしての表現力の双方において、高い評価を得たことは、アラカワグリップが単なる金具ではなく、空間を創造する無限の可能性を秘めたツールであることを世界に示した証と言えるでしょう。

ubique(ウビークエ)Hiroto Yoshizoe in collaboration with ARAKAWA & Co., Ltd.

会期: 2025年4月7日(月)- 13日(金)
会場: ALCOVA MILANO, Villa Bagatti Valsecchi Space S7 (ヴィラ・バガッティ・ヴァルセッキ)
デザイン:吉添 裕人
写真/動画: 渡辺 俊介
製作協力:松井機業株式会社、株式会社ワイ・エス・エム、有限会社落合製作所、シーフォース株式会社

吉添裕人

1986 年生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。独立後、都市開発や商業施設開発等の空間デザインを主軸としたクライアントワークに従事。自然風景に内在するプリミティブな要素からインスピレーションを受けると同時に、日本の文化背景や宗教観と通ずる「変化」「動き」「時間」といった不完全で流動性のある事象を扱う。なかでも常に変容し続ける「光」と「影」という要素を軸に探究。地球上に存在するすべての事物(素材)は光と影を瞬間的にかたちに留め認知するための媒体であると捉え、その間に生じる反射や屈折、透過といった現象と知覚の関係性を用いて制作活動を行なう。特に記憶や感情と対話できる知覚空間を作り出す手法によって、体験者の存在を再認識することを目指している。

「NEW NORMAL」プロジェクトが提示する日本の家業の未来と、アラカワグリップの貢献

荒川技研工業は、ミラノデザインウィークにおいて、もう一つの重要なプロジェクトである「NEW NORMAL 5 -Japanese Maison-」のサポーターとしてもその存在感を示しました。

このプロジェクトは、新常識となるデザインを生み出すことを目的としたもので、2020年に荒川技研工業が発起人となってスタートし、今年で5回目の開催となります。

特に今回は、「日本の家業の新常識をつくる」をテーマに掲げ、中小企業の事業後継者と若手デザイナーの協働による8つの事業変革の種が発表されました。会場構成においては、浦田孝典と伊澤真紀による空間デザインのもと、荒川技研工業のアラカワグリップとワイヤーが、キャプションの掲示や展示台の設置に活用されました。同社のワイヤーシステムは、その高い安全性と自由な調整機構により、多様な展示空間の構築に不可欠な存在となっています。

参加企業には、株式会社アルナ、株式会社樫本商店、三栄ケース株式会社など、日本のものづくりを支える家業が名を連ね、デザイナーには中込明、江口海里、嶋野陽介、SOL style、鹿野峻、北條英、安田存人、土井智喜、木之内憲子らが参加しました。

このプロジェクトは、伝統的な家業が現代のデザインと結びつくことで新たな価値を創造し、持続可能な未来へと繋がる可能性を示すものであり、荒川技研工業はその重要なインフラとして貢献しています。

NEW NORMAL 5 -Japanese Maison-〈 ミラノ展 〉

会期: 2025年4月7日(月)- 13日(金)
会場: Isola Zetalab, Via Cola Montano 2
会場構成:浦田 孝典、伊澤 真紀
デジタルアート:木之内 憲子
協力:荒川技研工業株式会社、アイティーエル株式会社、株式会社摂津金属工業所、アルポリック™(三菱ケミカルインフラテック株式会社)
写真: 浦田 孝典、安田 存人
動画:伊澤 真紀
参加企業:株式会社アルナ、株式会社樫本商店、三栄ケース株式会社、株式会社摂津金属工業所、有限会社シリウス、株式会社髙畑、東商ゴム工業株式会社、ミヅシマ工業株式会社
参加デザイナー:中込 明、江口 海里、嶋野 陽介、SOL style、鹿野 峻、北條 英、安田 存人+土井 智喜
特設サイト:https://newnormalnew.com/archive-2025/

荒川技研工業の2つの展示「ubique」「NEW NORMAL」

荒川技研工業のミラノデザインウィーク2025での2つの展示「ubique」と「NEW NORMAL」は、同社の技術力とデザインへの深い理解を国際的にアピールする機会となりました。「アラカワグリップ」の持つ可能性を最大限に引き出し、アートやサステナブルな事業継承へと応用する姿勢は、日本のものづくりの未来を明るく照らしています。