生まれ故郷に新たなくらしを。建築家が手掛けた「native place」が叶える理想の住まい

兵庫県の住宅地に誕生した「native place」は、その名の通り「生まれ故郷」を意味します。オーナーが幼少期を過ごした元実家の土地を買い戻し、新たな生活を築くために設計されたこの住宅は、家族の歴史を継承しながら、快適で開放的な空間を実現しています。限られた予算と条件の中でも、家事動線の工夫や光熱費の抑制、プライバシーを確保しながらのびのびと暮らせる空間設計が施されました。

光とプライバシーを両立する外観デザイン

「native place」が建つのは、兵庫県の閑静な住宅街。2面が道路に接する角地でありながら、周囲には高い建物がないため、一日中たっぷりと光が差し込みます。その一方で、通行人や車の往来が多いため、プライバシーの確保が課題でした。

外観は、濃いグレーの壁面が特徴的なモダンなデザイン。大小の長方形が並ぶようなシンプルなフォルムで、窓の数を最小限に抑えながらも、高い位置に配置することで、十分な採光を確保しつつ外からの視線を遮る工夫がなされています。また、玄関まわりには木材を取り入れ、温もりをプラス。広めの玄関軒が設けられ、雨の日でも濡れずに室内へ入れる快適な設計となっています。

開放的なLDKと機能的な収納計画

室内は2階建てで、1階には広々としたLDKを配置。空間の仕切りをなくしたワンルーム構造とし、家族がどこにいてものびのびと過ごせる開放感を演出しています。

壁面を白で統一することで、自然光を最大限に活かし、明るい空間を実現。

さらに、対面式のペニンシュラ型キッチンを採用し、調理中でも家族とのコミュニケーションが取りやすい設計になっています。

キッチンの背面には引き戸収納を設け、調理器具や食材をスムーズに出し入れできる利便性も確保。急な来客時にはサッと収納し、すっきりとした空間を保つことが可能です。

キッチンカウンターにはダークグレーを採用し、インテリアのアクセントとして引き締まった印象を与えます。

スケルトン階段と光を活かした2階設計

2階へと続く階段にはスケルトン階段を採用。リビングの視線を遮ることなく、開放感を演出するとともに、上階からの光をリビングへと届ける役割も果たします。

プライベートルームは2階に配置し、窓を天井近くの高い位置に設置することで、周囲からの視線を避けつつ、一日中自然光が入る明るい空間を確保しました。

また、子ども部屋はワンルームに2つのドアを設け、成長に合わせて仕切りを追加できる設計に。将来的に客室や趣味部屋としても活用でき、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できる間取りです。

家事動線を意識した水回りと収納計画

水回りは2階に集約し、家事動線を最適化。白を基調とした広々とした浴室には、大理石タイルをアクセントに取り入れ、高級感のあるデザインに仕上げました。

洗面所には造作の物干しパイプを設置し、室内干しがしやすい仕様に。

さらに、隣接するファミリークローゼットへとスムーズに洗濯物を収納できる動線を確保し、家事の負担を軽減しています。

各室をつなぐ廊下の突き当りには収納スペースを設け、掃除道具や生活用品をまとめて収納。生活感を表に出さず、シンプルで洗練された空間を維持できる工夫が施されています。

未来につながる「native place」の魅力

「native place」は、オーナーの幼少期の思い出が詰まった土地に、新たな暮らしを築くための住まいです。プライバシーを守りながらも開放的な設計、家事負担を軽減する工夫、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できる間取りが、この住宅の大きな魅力です。「ここが生まれ故郷だ」と、将来子どもたちが誇れるような住まいを実現するために設計されたこの家は、家族の歴史を継承しながら、これからの暮らしをより豊かにしていくことでしょう。