建築家・納谷学が手掛けた都心に建つスタイリッシュな3世帯住宅「恵比寿の長屋」

個人住宅の設計を中心に、商業施設や店舗、集合住宅などこれまで200軒以上の作品を生み出している「納谷建築設計事務所」代表、建築家・納谷学。建築家としての活動の傍ら、関東学院大学や芝浦工業大学で講師としても活躍しています。

納谷建築設計事務所が手掛けた「恵比寿の長屋」は、東京都渋谷区に建つ3世帯住宅。ホワイトを基調としたスタイリッシュな外観を持つ空間には、プライバシーを守りながらそれぞれが心地よく暮らすための工夫が詰まっていました。

敷地の高低差を活かした4層の構成

建築は地下1階、1階、2・3階建ての長屋の住宅。敷地の高低差を利用しながら世帯を分け、家族の関係を空間の透明性と距離の操作で繋ぎ、放し、気配を殺さず、オープンにせず、自立した家族の在り方を目指しました。

 直線とホワイトを基調にしたモダンなフォルム

外観はホワイトを基調とした箱型のフォルム。窓サッシに使われた黒のラインがスタイリッシュな印象を強めます。

緩やかなフロアのつながりと視界の抜けで開放感をプラス

フロントの玄関扉を開けるとすぐ2階へ続く階段と地下へ続く階段、1階フロアへの廊下が現れます。

地階といっても敷地の高低差によってほぼ1階のような位置にあります。大きな窓による2面採光で最下フロアでも陽の光がたっぷり。キッチンはコンパクトなIHコンロのI型キッチンを採用。コンパクトながら通風や自然光を取り入れつつ、豊かに暮らせるLDK空間です。

フロアを結ぶ階段はスケルトン階段を用いることで存在感を和らげています。

1階は近隣と比べやや高めの位置に設定。上階からのハイサイドライトによって光が注ぐ明るい空間に。フローリングもホワイトで統一することで光が拡散し、クリーンな印象に仕上げています。

室内に積極的にスケルトンを取り入れることで、光と視線の抜けを設け、長屋の構造でも圧迫感なく過ごすことができます。

近隣の視線が気になる1階の個室は高窓を設けることでプライバシーと採光を確保。シンプルで落ち着きの感じられる空間です。

2、3階は濃いめのフローリングで重厚感のある印象に。

大きな窓に対面するキッチンカウンター、隣接するダイニングスペースによって明るいLDK空間となっています。

リビング部分は3階へ吹き抜けとなっているため、のびのびとした開放感が感じられます。

LDK横にはスタディスペース、収納もしっかりと確保。

フロアを繋ぐ階段にはひな壇階段を採用。

階段下のスペースがすっきりと見えるため、空間の中心にありながら開放感を得ることができます。手すりには薄手のスチールを曲線を取り入れながら添えることで、柔らかな印象をプラスしています。

最上階となる3階には個室を配置。窓をたっぷり設け、明るく爽やかな空間に。

2階と吹き抜けで繋げることで効率的な換気にも寄与します。

すっきりとした白壁と落ち着きのある木のフローリングが安らぎをもたらす空間です。

視線の抜けとフロアの繋がりによって、程よい距離感と開放感を生み出した３世帯住宅「恵比寿の長屋」

地1下階、1階、2・3階の4層構造ながら、スケルトン階段や壁を最小限にしたプランによって視線の抜けと、吹き抜けによって上下の光の繋がりを生み出すことで開放感と心地の良い繋がりを実現した３世帯が住まう長屋の住まい「恵比寿の長屋」。それぞれの家族の暮らしが豊かに、そして程よくリンクしながら過ごせる穏やかな住まいです。