「多くの人から愛されるものには普遍的な魅力がある」建築家・工藤浩平が大切にしているデザインや建築家を目指したきっかけについて
個人住宅の設計を中心に、公共施設や店舗、宿泊施設など様々な建築物を手掛ける「工藤浩平建築設計事務所」代表、建築家・工藤浩平さん。建築家としての活動の傍ら、多摩美術大学や東京理科大学で講師としても活躍されています。今回は工藤さんに、大切にされているデザインや建築家を目指したきっかけについて伺いました。
建築家・工藤浩平
1984年 秋田県生まれ。2008年 東京電機大学工学部建築学科卒業。 2011年 東京藝術大学大学院美術研究科修了後、 SANAA(妹島和世+西沢立衛)を経て、2017年「工藤浩平建築設計事務所」設立。 2022年「株式会社工藤浩平建築設計事務所」代表取締役。主な受賞歴に2023年「第37回秋田の住宅コンクール 優秀賞」、「住宅建築賞2023 入賞」など。
万人が惹かれる普遍的な魅力を考える
まずは日常生活の中で大切にされているデザインについて伺いました。
「多くの人から愛されるものは、普遍的というような、世界共通の魅力があるので、そういったものが何なのかを考えることを日頃から大切にしていて、自分のデザインにも取り込んでいます。また、デザインはアートと違って相手がいて成立するものなので、その人それぞれに合ったものに、寸法を合わせて作ることを意識しています。」
オフの時間を過ごす空間が好き
建築家として、お好きな空間はどういったものなのでしょうか。
「僕はオンオフがはっきりしているタイプなのですが、オフのときにYogiboに乗ってダラダラと横になっている空間がとても気に入っています。あとは、僕はお酒が好きなので、2、3人でしっぽり飲む程度のこじんまりとしたバーのような空間にも惹かれます。」
柔らかくて透明な建築に惹かれた
地元秋田県の高校卒業後、東京電機大学工学部建築学科に進学された工藤さんですが、建築家を目指すようになったきっかけはどういったものでしょうか。
「大学2年生の頃に編入する形で東京に出てきたのですが、東京では色々な建築家の講演会が行われていて、よく訪れていたんです。そのなかの会場の一画に、僕がのちに独立前に働かせてもらうことになった妹島さんと西澤さんの講演会のポスターがあって、それに使われていたお二人の手掛けたスイスのEPFLラーニングセンターの写真に目を惹かれたんです。僕の中で建築というものはどこか堅いものだったのですが、ポスターの建築はすごく柔らかくて透明で、『建築でこんなことができるんだ!』という衝撃を受けたんです。それがきっかけでのめり込むことになりました。」
普遍的な魅力を建築に取り入れる
デザインにおいて、多くの人に愛される普遍的な魅力を考えることを大切にしていると語る工藤さん。そんな日頃のプロダクト・空間デザインへの解像度の高さが、クライアントそれぞれに寄り添った丁寧なコミュニケーションとも相まって、唯一無二の心地の良い建築を生み出しているのかもしれません。
後編:「街や社会を変えられるような気がする」建築家・工藤浩平が考える地方プロジェクトの魅力と大阪万博での建築デザインについて