建築家・伊東豊雄が手掛けた、高低差のある地形を活かした曲線が美しい「笠間の家」
茨城県笠間市にある「笠間の家」は、建築家・伊東豊雄が設計を手掛け、陶芸家・里中英人のアトリエ兼住居として1981年に建築されました。
1984年には日本建築家協会新人賞を受賞し、現在はギャラリー、カフェ、ワークショップスペースとして運営されています。
小高い丘の上に佇む「笠間の家」
「笠間の家」が佇む茨城県笠間市は陶芸の町と言われており、周囲には自然豊かな田園風景が広がります。そんな陶芸の街である笠間市の小高い丘の上に佇む「笠間の家」は、高低差を生かした眺望の良い住宅です。
こちらは、カフェの入り口でもある北面のエントランスです。ライトグレーのシンプルでモダンな外観は、弧を描き斜面に沿うように建てられています。
壁面の曲線と斜めの天井が特徴的なカフェスペース
ギャラリーとアトリエと住居という、大きく3つの構成要素を持つこの建物は、1981年伊東豊雄が40歳の時に建てられました。
施主である里中英人が亡くなった後、笠間市に寄贈され、2013年4月から一般公開をしています。
「笠間の家」は高低差のある地形を活かしたイの字型のワンルーム空間で、木造2階建てとなっています。
現在2階部分の元居間は、カフェスペースとして利用。壁付けの照明はオリジナルのままで、大橋晃朗の個性的な家具が空間に彩りを添えています。
カフェスペースは、壁面の曲線が特徴的です。壁面をより際立たせるために、据え付けられた家具は天井と床から切り離されて配置されており、壁の曲面をより感じれる構成となっています。
柱や扉がなく広々とした空間に、壁の曲線が優しさを表現しており心地よい空間です。
中央には、目を惹く石油ヒーターがあります。その背面には、アルミの目地を入れたグレーの壁があり、その先は1階へ続く階段へと繋がります。
斜めの天井は個性を感じられる空間に仕上げられており、窓からは笠間の山並み、自然が一望できます。
落ち着きを感じられる書斎
こちらは、落ち着きを感じられる書斎です。デスクは笠間の自然や街並みを楽しめるよう窓に向かって配置。窓を額縁にして、窓からの景色を絵として眺めることもでき、趣を感じられます。
レンタルスペースとして利用可能なギャラリー
2階のギャラリーは、現在1日あたり1,530円で利用することができ、展示やワークショップとして誰でもレンタルできるスペースです。
カフェスペース同様に、ギャラリーも全て白い壁と天井、床はグレーで統一され、スタイリッシュな印象を与えています。
そしてカフェスペースから階段を降りると、1階部分に繋がります。天窓から落ちる柔らかな光が階段部分を照らします。
1階は広々とした元工房
1階の元工房は、コンクリート造で広々とした空間です。こちらも工芸品の制作などのイベント時でレンタルでき、陶芸用電気窯も利用できます。
そして、この1階部分からは外の庭にも繋がる作りとなっています。
元工房の隣は、自然光がたっぷり差し込む明るい部屋が完備されています。
高低差のある地形を活かし、自然光が美しい「笠間の家」
伊東豊雄によって手がけられ、地形と高低差を生かし、自然光の作りが美しい「笠間の家」。柔らかな曲線とわずかな直線で構成され、天窓から落ちる光がその時々によって室内環境を変化する…。笠間の家はそんな圧倒的なデザインの密度を感じられる名作住宅です。
笠間の家
住所:茨城県笠間市下市毛79-9
開館時間:9時30分~17時
休館日:月曜日(祝祭日の場合は翌平日)・年末年始
HP:https://www.city.kasama.lg.jp/page/page007512.html