【ミラノデザインウィーク2023】今年プリツカー賞受賞した建築家デイヴィッド・チッパーフィールドのミラノ事務所での展示

イタリア・ミラノで最もエキサイティングな一週間と言われている、世界最大規模のデザインイベント「ミラノデザインウィーク」。第61回目となる今年は、予想をはるかに上回る307,000人以上の来場者を記録し、多くの反響を呼びました。

プリツカー賞を受賞したイギリスの建築家・デイヴィッド・チッパーフィールドは、ミラノオフィスで、スウェーデンのメーカー Kasthall(カスタール)と新しいコラボレーションを発表しました。

デイヴィッド・チッパーフィールド×Kasthallの「Tegel」

デイヴィッド・チッパーフィールドがミラノオフィスで発表したものは、スウェーデンの歴史あるカーペットブランドKasthall(カスタール)との新たなコラボレーション「Tegel」です。

インスピレーションはカスタールの本社と工場

現在も手づくりでラグを製造し続けているカスタールのスウェーデン本社と、その工場の歴史的建造物からインスピレーションを得て「Tegel」はデザインされました。

デイヴィッド・チッパーフィールドは以下のようにコメントを残しています。「建築家として、私はある意味、意味、記憶、遺産の守護者です…私たちは自分自身で選択しており、最高のものだけを保護するという概念では十分ではありません。それはまた、豊かさと進化を反映する性格と特質を保護することでもあるのです。」

まさにこの言葉は「Tegel」のデザインを反映しています。カスタールの知識と文化に敬意を表しながら、美しく古びた色や自然に風化したレンガの変化、つまり直観的で染み込んだ調和のパレットを構成するアースカラーが取り入れられているのです。

様々なバリエーションを持つアースカラーは、建物のレンガに見られる色がそれぞれに反映。素材はハンドタフト加工を施したブークレウールをリネンで、カラーブロックパターンと組み合わせテキスタイルの奥行きを表現しています。

長方形のレイアウトは3種類あり、空間や家具の配置などに合わせて選択が可能。

そして、カスタールのデザイン及びディレクターであるLena Jiseborn は、「私たちは力を合わせて、Kasthall に根ざした芸術的で創造的な偉業を成し遂げましたが、さまざまな好みや用途にアピールする多用途でエキサイティングなデザインを実現しました。このプロジェクトが実現できたことを本当に嬉しく思います。美しいだけでなく、機能的で持続可能なラグを作りました。このラグはデザイン愛好家にも住宅所有者にも同様に人気があると確信しています。」とコメントを残しました。

進行中プロジェクトの模型が展示

また、カーペットの上には、デイヴィッド・チッパーフィールドの現在進行中のプロジェクトの模型が展示。

デイヴィッド・チッパーフィールドの建築は、その地の歴史と文化への敬意を示しながら、既存の建築物や自然環境を尊重し、社会とのつながりを再構築しています。そんな彼の手掛ける設計を、垣間見ることのできる特別な空間となったのです。

展覧会「Le Procuratie Vecchie」が開催

そして、このミラノデザインウィークをきっかけに、ミラノオフィス近くの文化施設「カサベラ・ラボラトリオ」では、展覧会「Le Procuratie Vecchie」が開催されました。

この展覧会は、デイビッド・チッパーフィールドが主導した、ヴェネツィアの検察局ヴェッキエの修復プロジェクトについて詳しく語られました。

写真には、1階と2階にある修復された歴史的な部屋と、現在はゼネラリの世界的社会事業であるヒューマンセーフティネットの本拠地となっている3階の改装された屋根裏部屋の写真が描かれています。

これらの写真は、写真家として活動中のアレッサンドラ・チェモーロによって撮影されました。

縮尺模型と写真を通して説明されており、古いものと新しいものの継続的な対話が示されているのです。

デヴィッド・チ​​ッパーフィールド、Kasthallとのコラボレーション「Tegel」

今年2023年にプリツカー賞を受賞し、現在大きな話題になっているデイヴィッド・チッパーフィールド。彼の特徴は、常にエレガンス、抑制、永続性、明確な構成と洗練されたディテールで、今回のラグコレクション「Tegel」も、デイヴィッド・チッパーフィールドらしいデザイン、カラーリングとなっています。そしてミラノオフィスでの展示スペースのミニマルさもまた一連のデザインとマッチしており、このミラノデザインウィークでも多くの人々を魅了したことでしょう。