“循環”をコンセプトに掲げた空間づくり。表参道の「GYRE.FOOD」に仕掛けられたアイデア

オランダの建築家グループ、MVRDVがデザインを手がけた表参道の「GYRE(ジャイル)」。“渦、回転する”のコンセプトのもと作られた建物は、街の中でもひときわ異彩を放っている。MOMAやHAYなどのコンセプトショップも入っており、若者にも人気の施設だ。そんなGYREの4階にあるのが、GYRE.FOOD(ジャイルフード)。建築家の田根剛さんが手がけるその空間は、都心にいるのを忘れてしまうくらい、自然との繋がりを感じられる仕掛けが多く詰まっている。

循環をテーマに作り出された空間

4階のGYRE.FOODは、レストランやカフェ・デリ&バー、グローサリーショップが一堂に会するフロア。しかしそれぞれの空間には明確な境界線はなく、シームレスにつながっている。ここでは“循環”というコンセプトを共有し、“土から生まれ、土に還っていく”サイクルを大切にしながら、食文化の体験を提供しているのだとか。

SNSでも話題の階段上に並ぶ木のブロック

GYRE.FOODといえば、このピラミッド状のスペースを思い出す人も多いだろう。カラマツのブロックを階段状に敷き詰め、テーブルや椅子として、自由に使えるようになっている。休日やランチタイムは多くの人で埋まるほど、人気のスポット。

実はこのGYRE.FOODにフロアでは、床や壁、天井に至るまで全て“土”が用いられているのだ。一見無機質的に見えるデザインも、土や木の温もりが感じられ、コンセプトである“循環”を思わせる。

土・緑・食が循環する空間

緑がふんだんに取り入れられているのも、GYRE.FOODの特徴の一つ。店内にはもちろん本物の植物が生い茂っており、ここで表参道であることを忘れてしまいそうになる。

コンセプトの循環は食にも通じており、カジュアルレストラン「bonélan(ボネラン)」とガストロノミーレストラン「élan(エラン)」は、キッチンをシェアすることで食材のロスを削減しているそう。さらにグーロサリーショップ「eatrip soil(イートリップソイル)」の奥のテラスでは、野菜やハーブが育てられているという。お店で加工販売するほか、各レストランでも振る舞われているというから、驚きだ。さらに、レストランででたゴミをコンポスト(堆肥)に変え、土を再生させる仕組みも行なっている。

イベントスペースでは豊洲市場の新鮮な魚介を販売するフィッシュマーケットなど、随時イベントも開催中。表参道へ足を運んだ際は、ぜひ立ち寄ってみてほしい。

GYRE公式サイト
https://gyre-omotesando.com/