【建築家に聞く10のアイディア】窓や光の工夫で追求する”南側リビング”の心地よさ
南向きのリビングは日当たりがよく明るいため、一般的に人気があります。しかし、南向きの部屋が道路に面していたりすると人通りや近隣の住宅からの目線が気になったり、厳しい直射日光にさらされるため、壁紙や床、家具や書籍などが傷みやすいといったデメリットも多くあります。明るい南向きリビングなのに、窓をカーテンで閉めっぱなしにしてしまうなんてことは避けたいもの。南向きリビングのポテンシャルを最大限に活用するためにも、あらかじめ周辺環境を読み解き、外からの視線の対策や光の計画を立てることが重要になってきます。
掃き出し窓と袖壁で外部からの影響を軽減する
こちらの住宅のリビングは南向きですが、窓の位置や外壁の工夫などで、周辺環境から受ける影響を最小限に抑えています。南側に大きな掃き出し窓を設置していますが、袖壁を出してリビングを囲んだ空間にしたことで、カーテンをつけなくても外からの視線を気にせず過ごせるよう配慮されています。
また、室内の壁と袖壁の色を統一したことで、室内と外との一体感が生まれ、さらにリビングの上部が吹き抜けになっているので、平行方向へも垂直方向へも空間が広がります。限られた面積の場合でもこうした工夫によって、圧迫感のない空間が実現します。
窓位置を工夫して外からの視線をカバーする
南面のリビングに大きな窓をとると、外からの視線が気になることがあります。そんな場合には、窓の位置を高めに設定するのがおすすめ。
高い位置に設置するため外からの視線を受けにくいのはもちろん、高い場所からの採光により部屋全体を明るくすることができるメリットも持ち合わせています。外からの視線が入りにくいため、カーテンの必要もなく、空間をよりすっきりと見せてくれます。さらに、高い位置に窓を設置することで、室内に温度差が生じ、自然な空気循環がもたらされます。
窓のないリビングという選択
強い直射日光を避けるためにも、スリット窓にしたり、敢えて窓を設けないことも実は賢い選択肢の一つとなります。窓がないリビング、と聞くと暗い印象を受けますが、効果的な照明計画や天窓から光を採り入れることで明るく心地のよい空間を作り出すことができます。
天窓から取り入れる光の明るさは壁面の窓の約3倍とも言われており、壁に大きな窓を設けるより効率的に光を採り入れることができるのです。また、室内の壁や天井を白で統一することで、光が室内で拡散しさらに明るく見えるといったコツもあります。
周辺環境と光の工夫で、南側リビングの心地よさを追求
このように、周辺環境を考慮しながら南向きのメリットをとことん考えて設計された空間は、1年を通して家族に心地よさをもたらしてくれるはず。家族団欒の場となるリビングだからこそ、様々な視点で検討し、どんなシーンでも心地よく過ごせる空間を目指しましょう。