素朴の美しさ。エクアドルのカップルがDIYした小さな車輪付きキャビン
スラムの掘っ立て小屋のようなエクアドルのキャビンには、よく見ると木造独特の素朴な美しさがあります。まるでその土地から新しく生えてきたような小屋は、景観に溶け込み擬態しているかのようです。カップルのための小さな移動式住宅には、ベッド、ワークスペース、キッチン、バスが備えられ、温かみのあるオフグリッドの魅力が溢れています。
小さく、シンプルで、機能的な「ラ・カーサ・ヌエバ(La Casa Nueva:新しい家)」は、フアン・アルベルト・アンドラーデがデザインしたオフグリッドの木造キャンピングカーです。エクアドルを拠点とする建築スタジオ JAG Studioの創設者である彼は、パートナーのクキ・ロドリゲスと一緒にエクアドル中を旅して、さまざまな建築物の写真を撮るためのパーソナルな隠れ家としてこの住居を作りました。
「ラ・カーサ・ヌエバは、エクアドルで建築物を撮影する旅の中で、私たちの仕事、家、人生というものを運ぶ、現実的で厳しい必要性から生まれた個人的なプロジェクトです」と建築家は言います。
この車輪付きキャビンは約6平方メートルしかありませんが、開口部が多いため、より広く感じられます。3つの大きなサイドドアとリアドアを開ければ、室内は新鮮な空気と景色で満たされます。これらを完全に閉じれば、十分なプライバシーが確保されます。
「このプロジェクトのアイデアは、エクアドルの海岸沿いに並ぶ典型的な家の素材と形を、実験的で原始的なレベルで再解釈することでした」と、フアン・アルベルトは言います。
「ラ・カーサ・ヌエバは、移動性に優れているため、さまざまな場所や構成で短期間滞在することが可能です。この家は、立ち止まる場所に応じて常に新しくなることを目指しています。したがって、選択された位置によって、家の使用条件が決定されることになるでしょう」と建築家は述べています。
地面から盛り上がったような切妻の木造建築物は、100%DIYのハンドメイドです。エクステリアは、完全に密閉された木のシェルから、自然と一体化した開放感のある場所まで、さまざまな開口部の柔軟性を通して、広い空間効果をもたらします。
美しいモバイル住宅は、イエローハート材で覆われ、チーク材の板が構造フレームとポーチを構成しています。インテリアのビルトイン家具は合板で作られ、金属製プレートで固定された3.00×2.00mのトレーラーによって、キャンピングカーを簡単に移動させることができます。
内部空間は、60cm間隔で配置された6つフレームによって、用途に応じて5つのパートに分割されています。最初のパートはベッドと収納、次のパートはフレキシブルな室内ダイニングスペースとデスク、残りが通路とキッチン、バスルームに対応しています。
バスルームには、ポータブルタンクによる給排水設備と、おがくずを使った乾式トイレを設置しています。
「ラ・カーサ・ヌエバは、2人のためのシェルターという基本的な要件を満たすように設計された、据え置き型&移動式住宅のソリューションです。ベッド、屋根、キッチン、バスルームを備え、特定の場所を選ばずに、どこにでも居住できる自発的な隠れ家を提供します」と建築家は語ります。
ラ・カーサ・ヌエバは、地元の海岸沿いの原始的な家の形態を取り入れることで、移動先の新しい土地に自然な顔つきでたたずむことができます。この建築は、南米を移動するうえでの防犯に役立つデザインを十分考慮したものでしょう。オフグリッドの移動式キャビンの素朴な美しさには、安全というコンセプトも込められているはずです。