現代美術家・名和晃平の見応えたっぷりの新作シリーズを楽しめる個展「Oracle」がGYREでスタート!
京都を拠点としながら、国内外での展覧会や他ジャンルのクリエイターとのコラボレーションを展開している現代美術家・名和晃平。創作活動のプラットフォーム「SANDWICH」の代表も務め、アートだけではなく、ファッション、建築、音楽といった多彩なジャンルのつくり手とのプロジェクトを推進しています。
9シリーズが集う見応えたっぷりの個展「Oracle」
そんな名和氏の新作を含めた9シリーズが一堂に会する個展「Oracle」が表参道に位置するGYRE GALLERYにて開催中。
彫刻家・名和晃平による個展である本展は、奈良国立博物館に収蔵されている14世紀に制作された《春日神鹿舎利厨子》へのオマージュ作品などをはじめ、9つもの新作シリーズで構成されています。また、シリーズ9つのうち7つは今回が初公開。全国でもいち早く、この表参道で作品が鑑賞できるのです。それぞれの見どころを少しだけご紹介します。
作品が重なり合う空間構成
これまでひとつの展示空間にひとつのシリーズを見せるスタイルを取ってきた名和氏。今回はこれまでと異なり、ひとつの展示室に複数のシリーズが同居する構成となっています。入口から異なる種類の作品が重なり合い、次々と見えてくるような空間となっています。
まるで展覧会全体の構成が作品のように、単体はもちろん、それぞれの重なりによって生まれる風景も楽しむことができます。
伝統技法を現代アートに用いた注目の新作「Trans-Sacred Deer」
様々な作品が並ぶ空間のなかでも、際立って目を惹かれるのが、奈良国立博物館に収蔵されている14世紀に制作された「春日神鹿舎利厨子」へのオマージュ作品である「Trans-Sacred Deer(g/p_cloud_agyo)」(通称:雲鹿)。「春日神鹿舎利厨子」を3D上でデータ化し、京都の仏師と協力し、木彫、漆塗り、箔押しなど伝統的な技法を施し制作されています。
そのほか、「Rhythm」シリーズは大小様々な球体を額縁内に配置することで、その名の通り作品の中に律動をもたらす作品。
表面をすべてグレーのパイルで植毛することでテクスチャが均質化されており、独特の奥行きが生まれています。まるでウイルスのようにも見える本作からは、まるで生命体のような存在感が感じられます。
また、モニターのように画面が変化し続ける「Blue Seed」シリーズは、特殊な顔料が塗られた半透過性の板の表面にUVレーザーを照射することで、青いシルエットが生まれては消えていく様子を眺めることができるもの。シルエットは植物の種子や胚珠をモチーフとしており、生命の誕生や存在の儚さ、明滅しながらも維持されるシステムとしての永続性を示しています。
その他、「Dune」「Moment」など、様々なシリーズが並ぶ本展は、パンデミックによる外出制限で国内で過ごす期間が増えた事によるコロナ禍の産物とも言えそうです。
日本を代表する現代アーティストの迫力ある立体作品が楽しめる本展示。見応えある内容にもかかわらず入場料は無料。会場はアクセスの良い表参道。仕事帰りや休日のお買い物のついでに、気軽にアートに触れ、アイディアやインスピレーションを得るのはいかがでしょうか。
Oracle 概要
展示期間:2020年10月23日〜2021年1月31日
開館時間:11:00〜20:00
会場:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F