Airbnb(エアビーアンドビー)が建築家・隈研吾が案内する1日限定のAirbnb「体験」ツアーを開催。
7月31日に、Airbnb(エアビーアンドビー)が、世界的に有名な建築家である隈研吾による1日限定の特別な体験ツアーを実施した。一般非公開のオフィス見学や、新国立競技場の裏話に参加者一同、大興奮だった模様。
一般非公開の隈研吾事務所
今回のAirbnbと隈研吾とのコラボレーションは、2020年に向けて、隈氏がAirbnbの「全ての旅行者に“居場所”を提供したい」という思いに共感いただいたことで実現。本体験ツアーには、アメリカ人1名、日本人4名の計5名のゲストが参加。20代~60代までの幅広い年齢層のゲストが集まり、なかには、大学でデザインを学ぶ方や自身で住宅専門の設計事務所を運営している方など、バラエティに富んだ5名のゲストが参加した。
体験ツアー当日、隈氏は、隈研吾建築都市設計事務所へゲストを迎え入れたのち、重要な打ち合わせを行う際に使用するというミーティングルームにて、隈氏が幼少期に影響を受けた国立代々木競技場や今まで設計してきた建築について語った。隈氏は、
「国立代々木競技場を設計した丹下氏の建築は20世紀型で当時モダンであったとしながらも、自然を大事にした設計で、芝生などの土の使い方によってさらに建築物が美しく見える」
話した。
自身が設計している新国立競技場の誕生については、
「学生の頃からよくこの辺でテニスをしたり、スポーツジムに通ったりと、自分の時代を過ごしたとても馴染みの深い場所。昔から緑を大事にしてきたこの土地で、森との調和を重要視した設計にした」
と話し、普段は聞けない裏話にゲストは興味深そうに耳を傾けてた。さらに、ゲストは、事務所内にある模型を作成する部屋や、隈氏がこれまでにインスピレーションを受けた素材が並んだスペースなどを見学。滅多に見る機会がない場所だけに、ゲストらは目を輝かせながら見入っていた。
現在建設中の新国立競技場
その後、現在建設中の新国立競技場に場所を移し、周辺を散策しながら、隈氏は建設の過程や設計にあたってのこだわりのポイントなどについて、
「47都道府県からの木材をそれぞれの場所の方位でわかるように使用している。下から見上げても木が見えるような設計になっていて、2020年の大会では、競技を見ていなくても無料で歩ける遊歩道や、小川などを庭に作る予定。風の流れも重要視しており、夏には風通りが良くなるよう、上から下に南風が流れるように、冬は保温を考え、下から上に北風が抜けるような設計になっている」
とゲストに語った。
南青山のサニーヒルズでティータイム
体験ツアーの最後には、隈氏が手掛けた南青山のサニーヒルズにて、お茶とパイナップルのお菓子を食べながら、ゲストは隈氏とのティータイムを堪能。和やかな雰囲気の中、ゲストからは、「木組みとはどういう構造になっているのか?」や「なぜひのきの木材を使用しているのか?」など、直接隈氏に伺ってみたかった質問が飛び交った。
隈氏からは「地獄組と呼ばれる木の組み方になっていて、昔、障子などの補強として使われていた、布を編むような組み方を活用し、それを三次元に展開している」、「木材によってそれぞれ強度が違い、サニーヒルズでは岐阜県の木材を使用している」などの回答や、「実は1番こだわっているのは女性トイレ。なぜこだわったのかと言えば、サニーヒルズのお客様は8割が女性で、女性は丁寧に、特別な扱いをした方が喜ぶでしょう?」などの笑い話で盛り上がる。
ゲストを見送る際には、建築的な要素を取り入れた隈氏デザインのつみきをサイン入りでプレゼント。思いがけない隈氏からのサプライズに、ゲストらは感嘆の声が上がる。こうして、1日限定の体験ツアーは、終始和やかな雰囲気の中、幕を閉じた。