ミラノデザインウィークでの佐藤オオキ率いるnendoの個展「nendo : forms of movement」。
昨年も多くの企業とコラボレーションしたり、Jil Sander(ジル・サンダー)のショールームでの個展「invisible outlines(見えない輪郭)」が大好評だったり、ミラノデザインウィークでの話題を独占する勢いのデザイナー・佐藤オオキ率いる日本のデザインオフィス「nendo」。毎年ミラノデザインウィークの期間中に多くの場所で彼らの作品を見掛ける。佐藤オオキが、人気TV番組でもアナザースカイと言うだけあって、ミラノには相当な思い入れがあるのだろう。
今年はbud brandも出展するトルトーナ地区のSuperStudioに、大規模な個展「nendo : forms of movement」を開催。昨年、吉岡徳仁がSFをテーマにしたインスタレーションを出展し、アワード「Milano Design Award 2017」で最高賞を受賞した「ART POiNT」と言われる場所だ。場所ミラノデザインウィークの期間中としては珍しく夏日が続く中、連日大行列を作るほどの大好評だった。
身近なことから新しい発見と感覚を体験できる「nendo : forms of movement」
主に日本のブランドやメーカー、YKKやダイキン、テイジンなどのコラボレーションによって生み出された「ものの動き」をデザインした様々な機能や素材、製作プロセスから生まれた全10作品を展開した。最終的なアウトプットだけでなくデザインアイディアのモチーフやデザインプロセス、検証に使われたモックアップなど創造的なnendoの活動を感じ取ることができる。特に、ありふれた身近なことから新しい発見をして体験する感覚を再構築するnendoらしさをより感じることができるだろう。
ダイキン工業とのコラボで生まれたキッチンウェア
ダイキン工業とのコラボで生まれたキッチンウェア「air lids」は、フルオロエラストマーと言う高性能フッ素素材を利用したユニークで遊び心のあるプロダクトを発表。
低反発素材を使ったジュエリーケース
「Blanc Bijou」とのコラボで生まれたのが、低反発素材を使ったジュエリーケース「seven sliding cases」。滑るような動きが驚くほど滑らかな動きでジュエリーを包む。
二次元から立体へと変換する照明
電子基板をプリントしたシートを丸めると照明になるプロダクト。銀粒子を色々な素材にプリントできるElephantech社とTAKEO社とのコラボレーション。
粘土自体が押し合うことによって成形するタイル「press tiles」
「press tiles」は、粘土自体が押し合うことによって成形する。球体は六角形になり、直方体は中央に膨らんだ形の長方形に変化する。
網目のあるテーブル
テーブルの一角が網目のように組み込まれた場所があるテーブル。平面が奥行きのある立体的なテーブルになる不思議な感覚を再現。
様々な時間の流れを作り出した砂時計
透明な直方体の中に不定形な形が埋め込んであるプロダクトは、様々な時間の流れを作り出す砂時計である。行きと帰りで時間の異なる砂時計や、別々の空間で時間を測る砂時計など、時間の流れや砂時計の形が様々。
インタラクティブに花が咲くブラインド
このブラインドは、カメラのシャッターなどに利用される高遮光性フィルムが使われていて、人の動きに応じてインタラクティブに花が咲いたり、しぼんだりする。
ファスナーのおもしろさを探求した「こんなファスナーあったらいいな」
YKKとのコラボレーションでは、「こんなファスナーあったらいいな」をテーマに3つ同時に開閉できるファスナーやつなぎ目がなく一周すりファスナーなど、2つが対になるファスナーの常識を覆すコンセプトモデルを展示。
また、一部で話題になっていたブースの最後に設置されたガチャガチャも途中で完売したようだ。
今年のnendoの個展は、そのデザインの思考やプロセスを一度に見られる見応えのある展示内容だった。ひとつひとつコンセプトがわかりやすく、感覚や思考を具現化することが得意なnendoの世界を、より一層理解できたのではないだろうか。恐らくは来年のミラノデザインウィークも大きな活躍を魅せてくれるに違いない。