すべての人にスリランカ旅をオススメする理由。地球の自転を体感する「自然と建築」。
旅に出ようと決めたとき、人はどのようにして目的地を決めるのか。
喧騒から離れた優雅な時間、見たこともない風景、家族や友人と楽しみたいアクティビティ、美味しいローカルフード、美しい建築・世界遺産、きれいなビーチ、泊まってみたいホテル、期間とアクセス、気候や昼の長さなど考慮しなければならない無数のファクター。
そのすべてを満たせる目的地のひとつがスリランカである。
「捨て日がない」スリランカ旅
たいてい、首都はつまらない。想像しているよりもよほど近代化していたり、人ごみにうんざりしたり。歩いていても日本の都市を歩いている感覚とさほど変わらない場合もある。しかし国際空港へのアクセスのために必ず通過しなければならないので、致し方なく訪れなければならない。それが首都である。
しかし、スリランカの玄関口となるコロンボには沢山のバワ建築があり、住宅やカフェ、寺院や国会議事堂などの公共建築まで効率よく回れるので、コロンボ滞在がとても充実している。その、「捨て日がない」というのがスリランカ旅の特筆すべきところ。
Seema Malaka – シーママラカヤ寺院
電話 : +94 11 2 435169
URL : http://gangaramaya.com
住所:Sir James Pieris Mawatha, Colombo, Sri Lanka
ランチや夕飯には、パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェを訪れて欲しい。もともとは個人住宅として設計したものを完成直前にクライアントにキャンセルされ、バワが事務所として引き継いだといわれている。人気スポットなので予約必須。当日昼までに訪れて直接予約を入れるのが確実。
余談だがコロンボはスリランカ最大の都市ではあるが、首都ではない。
首都はコロンボ南東約10kmに位置するスリジャヤ・ワルダワプラ・コッテ。世界一長い首都名ではないかと疑うが、一番長いのはタイの首都・バンコクの正式名称。
Paradise Road the Gallery Cafe – パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェ
営業時間:10:00~24:00
電話:+94 11 2 582162
URL : http://www.paradiseroad.lk/gallery_cafe/
住所:2 Alfred House Rd, Colombo, Sri Lanka
「限定に弱い日本人」の心をくすぐる1日1組限定・バワ自邸
スリランカ旅の初日に、または最終日に忘れずに訪れたいのがNo.11。
コロンボの閑静な住宅街にある生前のバワの住居。もともと4件に分かれていた住宅を少しずつ買い取り、改装を重ねて作り上げた。1日1組限定で宿泊が可能となっているから泊まらない訳にはいかない。
現在はルヌガンガをはじめとしたバワ建築の保護を手掛けるバワ財団が管理しており、その一部を一般公開している。
1958年に小さな住居を購入し、リビングルーム、寝室、小さなキッチンと召使いのための部屋に改修。その後空き家になった隣接する住居を購入し、ダイニングやセカンドリビングなどに改修。10年後残りの部分をさらに追加改修し、最初に改修した部分を4階建てに増築した。
ガイドツアーにより寝室やダイニング、書斎などを見学できる。(要予約、入館料はRs.1000)
2階以上は宿泊室となっていて、宿泊客がいなければ見学も可能。1日滞在して地球の自転による時間の変化が織りなす光の情景を味わいたい。
彼が収集したアンティークやインテリアのコレクションも見どころだが、愛用していた車なども展示されていて、彼の当時の生活を垣間見ることが出来る。
月曜~土曜は10:00、14:00、15:30、日曜は10:00 に開催。8分の映像鑑賞の後、30分程度の見学ツアーとなる。
スリランカは赤道付近に位置しているため、夏と冬で昼の長さが大きく変わらない。雨季となる10~12月と、雨が比較的多い4月を極力避ければ昼夜の寒暖差も少なく気候も安定しているため、「行きたいと思った時がベストシーズン」マインドで旅立つことが出来るのもおすすめしたい大きな理由だ。
Geoffrey Bawa Number 11 – ナンバー11 バワ自邸
電話:+94 11 2 589212
URL : http://www.geoffreybawa.com
住所:No. 11, 33rd Lane, Bagatelle Road, Colombo 3 00300, Sri Lanka
なによりも島国であること
そしてスリランカの大きな特徴は、他ならぬ島国であること。日本人が休暇を利用して渡航するにはちょうど良い。コンパクトでありながら海も山も楽しめ、その国にしかない特有の文化に触れられるというお得感。
スリランカ西南部の100km以上続く黄金海岸には、バワが設計したリゾートホテルが点在している。それぞれビーチサイドに夕陽を望むレストランやプールがあり、1週間近く連泊してバケーションを過ごす欧米人も多い。
バワ最後のリゾートホテルは1996年に完成したザ・ブルー・ウォーター。晩年のバワは、直線的なデザインで構成されたミニマルデザインに辿り着いた。整然とした列柱と、敷地内に林立する椰子の木がこのホテルの重要な要素となっていて、設計図には椰子の木の配置までが正確に指示されている。
静粛な雰囲気のエントランスを抜けると、真っ青なプールが目の前に広がり、そのさらに背後には太陽がきらめくインド洋が広がっている。
ロビーからプールそして海へと水が流れ込み、ホテルと海が溶け合っていつか一緒になるんじゃないかという錯覚にさえ陥る。
建築と自然が溶ける境界に、自らも心身ともに溶け込み、黄金海岸の夕陽を眺めたい。
The Blue Water Hotel Wadduwa – ザ・ブルー・ウォーター
電話:+94 38 2 235067
URL : http://www.bluewatersrilanka.com
住所:Thalpitiya,Wadduwa 12560, Wadduwa, Sri Lanka
地球の自転を体感する、光と影のマジック
これまでたくさんのバワ建築とその魅力についてお伝えしてきたが、最後にお伝えしたいのがジェットウィング・ライトハウス。
コロンボから西南海岸を列車で2.5時間、世界遺産の街・ゴールからスリーウィーラー(トゥクトゥク)で15分程度走らせると到着する。
古くから東方貿易の拠点として栄えたゴール近くで、かつて要塞のあった岩山の地形を建築に取り込んだ計画。バワが晩年もっとも好んだとも言われている。
上空から見ると、海に航海を始める一槽の船のような造形をしているため、こう名づけられた。一見城砦のように見えながらも、光の陰影が美しい中庭や、表情豊かな海と岩場の海岸線をなぞったラウンジやプールなど様々な発想がみられる。
宿泊室のレイアウトや水回りのデザイン、色彩も海の色を意識したライトブルーやエメラルドグリーンを基調としている。窓からはよく手入れされた中庭やインド洋を見渡すことが出来る。
中庭もよく手入れされていて、宿泊室へ向かう廊下を歩いているだけで絶妙な光と影のコントラストを感じことが出来る。
エントランスを抜けて共用部むかう螺旋階段の彫刻は見応えがあり、このホテルのシンボルでもある。ポルトガル人が攻め込み、山之上のキャンディ王朝を支配するまでを描いているとされていて、バワと親交のあったラキ・セナナヤケ氏の作品。
螺旋階段を半分上がるとインド洋が見渡せるロビーがあり、1日中いても良いと思うほど居心地が良い。螺旋階段を全部上った場所には、空が切り取られた中庭に水盤が張られていて、スリランカの青い空を映し出している。
このホテルを訪れて最初に上るこの螺旋階段。美しい中庭や煌めくインド洋の情景の移り変わりを堪能し、このホテルを去るときに必ずここへ戻ってくる。ここへ到着した時とは違う太陽高度の空から差し込む光が、異なる騎士にスポットライトで照らし出す。
地球の自転による刻々とした情景の変化を感じ、大地と共鳴するバワ建築の神髄にひれ伏すことになるだろう。
Jetwing Lighthouse – ジェットウィング・ライトハウス
電話:+94 11 2 345720
URL : http://www.jetwinghotels.com/jetwinglighthouse/
住所:Dadella, Galle 80000, Sri Lanka