ドイツ発のパッシブ思想は自然の恵み取り入れた、快適で心地よい省エネ空間の家

別名「SAN HAUS -太陽の家-」と称されるドイツ生まれの「パッシブハウス」という住宅思想。ドイツでは、2002年に原子力エネルギーを規制する法案が実地され、それと同時に住宅を建てる際に新たな省エネ基準が設けられた。

自然環境に配慮した「パッシブハウス」思想を取り入れた快適な暮らしとはいったいどういったものだろうか。

ヨーロッパを席巻する「パッシブハウス」という新しい家づくりの考え方。

「パッシブハウス」の「パッシブ」とは、無抵抗・受動的といった意味。「パッシブ」の反対語「アクティブ」は積極的・活発なの意味。住環境における「アクティブ」を具現化したものは、例えば日本では「エアコン」、ヨーロッパでは「セントラルヒーティング」といったものを指す。大きいものだと「原子力発電所」が相当する。

現在パッシブ思想は北欧諸国に始まり、アメリカやアジアなどにも広がりつつある。〝省エネ〟や〝エコ〟といった観点と、太陽光などの自然のエネルギーや自然素材を取り入れた22世紀の環境に向けた家造りの思想、それが「パッシブハウス」だ。

自然素材や自然のエネルギーを上手に取りた心地よい空間が広がる家。

「パッシブハウス」に暮らす人々は、自然素材や自然のエネルギーを上手に取り入れている。

「床に厚い木材を敷いた家なら、10年後くらいに床の表面を削ればまた新しい表面の床で過ごせます。木の香りも楽しめて、柔らかな心地よい空間が広がります。」

「太陽の光を上手に取り入れているので部屋は明るく、温かい室内温度が保てます」と、そこに暮らす人は言う。“永く愛せる家”という観点からも「パッシブハウス」という思想は実に適した考えだと言える。

エネルギーの消費量を可能なかぎりゼロに。

「casa sole」の記事の中でも何度か紹介しているが、パッシブハウスの住宅は機密性に優れている。その機密性を生かした造りの中で、パッシブハウスに暮らす人が最も感動するのは“体感温度”だ。

例えば断熱性能の低い住宅では真冬に暖房をつけるとその付近は暖かいが、窓際や暖房から離れた位置では寒いということがある。「温度計の示す数値より実際の体感温度は、冬は暖かく夏はとても涼しい」と口を揃えて暮らす人は言う。また、温度を保つことができるためエアコンのエネルギーを最小限に抑えても快適な室内空間で過ごすことができる。

「いつでも快適な室内温度」、「地球環境に配慮がなされた住宅」、「新鮮な空気が流れる空間」、これらの条件には「断熱・気密・換気」というキーワードが潜んでいる。そしてこれらの性能が結実し「省エネルギー」と高い経済性へと結びついている。

 

「パッシブハウス」という思想は、全く新しい思想ではなく、資本主義経済が発達する前の「モノを大切にし工夫を凝らして住まう」日本の文化に近しい。自然環境を配慮し、自然のエネルギーを上手に取り入れた快適な空間「パッシブハウス」は、省エネルギーでサスティナブルな快適な暮らしを実現してくれる賢い家なのだ。