音楽とカルチャーから生まれたものづくり、アパレルブランド「GVLS(ガヴィル)」を手がける中村恵子さん
中村恵子さんは、株式会社Tinnの代表を務めるとともに、メンズアパレルブランド「GVLS(ガヴィル)」を展開するクリエイターです。
イラストレーターとしての経験を背景に、音楽やカルチャーから影響を受けた独自の視点で、着心地とデザイン性を兼ね備えたものづくりを行っています。
今回は、中村恵子さんに、暮らしの中で大切にしていることや、好きな空間についてお話を伺いました。
株式会社Tinn代表・メンズアパレルブランドGVLSを運営している中村恵子さん
現在東京を拠点に2008年からメンズアパレルブランドでGVLSを運営。福岡で服飾を学んだ後に上京し、当初はイラストレーターとして活動。
CDやレコードジャケット、ポスター制作など音楽シーンに関わる仕事を中心に経験を積む。
ミュージシャンでドラマーの中村達也さんの『自分が着たい服を作りたい』という思いを起点に、音楽やカルチャーのエッセンスを取り入れた、機能性とデザイン性を兼ね備えたアイテムを展開。
現在は株式会社Tinnの代表としてブランドを運営しながら、全国各地でのポップアップやイベントを通じて、その世界観を発信し続けている。
暮らしの中で大切にされているデザイン

「デザインというとさまざまな面で使われていますが、私は服飾のデザインをしているので、 私が行っている衣服のデザインという視点でお答えさせていただきます。
大切にしているのは、人が身に着ける際の気分の高揚や着心地の良さ、その辺の自分自身でいる着心地の良さというのを軸にデザインを考えています。」
自分らしさを大切にする理由について
「今は情報があふれているので、何が正しいのか分からなくなりがちだと思います。だからこそ、最初に感じる『好き』や『ほっとする感覚』が、自分自身の本質だと感じています。
外からの情報に左右されすぎず、自然体の自分でいること、そのシンプルな感覚を大切にしたいと思っています。」
お好きな場所・空間
「私は福岡出身なので、海が身近にある環境で育ったこともあり、今でも海が見える場所がとても好きです。
また、美術館やギャラリーのように静かに作品と向き合える空間も好きですね。」
CDジャケットやポスターを手がけたイラストレーター時代
イラストレーターとして活動していた頃は、どのような作品を描いていたのでしょうか。
「福岡の学校を卒業してから上京し、当時はバンド活動をしている友人の影響で、CDやレコードのジャケット、ポスターなどのイラスト制作をしていました。
出版社に直接持ち込んで仕事をいただくこともあり、イラストを中心に活動していました。」
ブランド「GVLS」のコンセプトについて

アパレルブランド『GVLS』でガヴィルと読みますが、これはどんな意味があるんでしょうか。
「『GVLS』は、ミュージシャンでドラマーの中村達也さんが『自分が着たい服を作りたい』という思いから始まったブランドです。
名前は、中村達也さんのソロ作品のタイトルから取られており、アルファベット表記の4文字をとって『GVLS』と読ませています。」
ブランド立ち上げのきっかけは音楽関係の人たちとのつながり
GVLSの立ち上げにイラストレーターとしての活動や作品がどのようにつながっていったのでしょうか。
「当時は、イラストの仕事だけでは生計を立てるのが難しく、原宿のショップでアルバイトをしながら絵を描く活動を続けていました。
その中で出会ったお客さんや友人との交流を通して、自分の活動を知ってもらう機会が増え、やりたいことやできることが徐々に明確になっていきました。
もともと服飾の勉強をしていたこともあり、そうした経験が自然と洋服づくりへとつながっていきました。
また、音楽との親和性も大きく、音楽関係の人たちとのつながりの中で、自分の活動を知ってもらい、Tシャツのデザインなどへと広がっていきました。そうした積み重ねが、現在のブランドへとつながっています。」
パンクムーブメントがブランドコンセプトに与えた影響

GVLSはパンクムーブメントから影響を受けたブランドですが、それはどんな風にブランドコンセプトの創出につながっているんでしょうか?
「GVLSは、ドラマーでありミュージシャンの中村達也さんが『日常やステージで自分が着たい服を作りたい』という思いからスタートしたブランドです。
そのため、彼が影響を受けてきたパンクムーブメントのメッセージや世界観は、ブランドの根幹にあります。単なるスタイルとして取り入れるだけでなく、その考え方や価値観も含めて、デザインやコンセプトのベースとして表現されています。」
中村達也さんとの出会いは原宿にあるお店
「中村達也さんとの出会いは、原宿で働いていたショップでした。
お客さんとして来店されたのが最初のきっかけです。もともと名前は知っていたこともあり、当時は多くのミュージシャンが訪れるお店だったため、その中の一人として自然に出会いました。」
そのお店は、どのようなお店ですか?
「そのお店は、イギリスのブランドであるドクターマーチンというブランドの専門店で、1990年代当時はまだ取り扱い店舗も少なく、原宿でも珍しい存在でした。
そのため、多くのミュージシャンやカルチャーに関わる方々が集まる場所となっていました。」
中村さんが影響を受けたミュージシャンやクリエイター

中村さんご自身が特に影響を受けたミュージシャンやクリエイター、カルチャーは中村達也さん以外にもいるのでしょうか?
「子どもの頃からさまざまな音楽が好きでしたが、特に影響を受けたのはアメリカのロカビリーです。そこからストリートカルチャーや、街の小さなライブハウスから生まれるような音楽にも惹かれていきました。
具体的には、Stray CatsやThe Specialsなどをよく聴いていましたし、1980年代に入ってからはBeastie Boysなど、ヒップホップの音楽やカルチャーからも大きな影響を受けています。」
多くの著名人に支持される理由について
GVLSは多くの著名人に支持されていますが、その支持されている理由についてどのように捉えていますか?
「GVLSが支持されている理由のひとつは、ブランドのアイコンでもある中村達也さん自身が実際に着用している点にあると感じています。
彼の存在やスタイルに共感している方が多いことが、大きな要因だと思います。
また、型にはまったスタイルではなく、 まずは着心地が良く、自分が居心地が良く感じられるものというのを衣類に落とし込むように提案しているので、着やすさや自由さが同じミュージシャンの方々に共感をいただいているのかなというふうに感じています。」
デザイン性と機能性をどのように両立しているのか
若い方は見た目を重視する傾向があり、年齢を重ねると機能性を重視する方が増える印象があります。その両方を兼ね備えるのは難しいとも感じるのですが、どのようにバランスをとっていますか?
「一番大きいのは、中村達也さん自身がステージで演奏するドラマーであることです。体を大きく動かす中で、自分が洋服に引っ張られないように、自分にしっかりついてきてくれる服という意味で機能性が外せない要素になっています。
そのうえで、見た際に『かっこいい』と感じられるデザインを上書きしていく、という考え方で両立させています。」
今後の活動や展開について
今後、GVLSや中村恵子さん自身の活動はどのように広げようと考えていますか?
「今現在、GVLSは一人でも多くの皆さんに私たちの存在を知っていただこうと思い、さまざまな都市に出向いてポップアップショップのイベントを行っています。
福岡にも昨年行かせていただいたのですが、 その際に同じ時期に同じ町のライブハウスで中村達也さんのバンドやソロのライブも開催し、よりブランドの世界観の良さを伝えています。
これからも多くの街に出向いて、皆さんと『いいよね』と言えるものに共感したいです。
Life is Giving your all
インタビューの最後、中村さんに「Life is ◯◯」空欄に当てはまる言葉を尋ねると、「Life is Giving your all」と答えてくれました。
「人生とは自分自身を使い切ることだ。という意味になります。」
音楽とカルチャーから生まれたものづくり、GVLSを手がける中村恵子さん
中村恵子さんはイラストレーターとしての経験や、音楽・カルチャーから受けた影響をもとに、自分らしさや着心地を大切にした服づくりを続けています。
人との出会いや環境の中で自然と広がっていった表現が、ブランドとして形になり、多くの共感を集めている点が魅力です。また、機能性とデザイン性を両立しながら、自由な発想でものづくりを続ける姿勢は、多くの人に新たな気づきを与えてくれます。
これからも各地での活動を通じて、さらなる広がりを見せていくGVLSの展開とともに、中村さんの今後の活躍にも注目が集まります。