大阪・関西万博でEarth to Ether Collectiveが手掛け、最も多くの来館者を集めた海外パビリオンの一つ「UAEパビリオン」
2025年大阪・関西万博の会場夢洲において、ひときわ強い光を放ったのがUAEパビリオンです。このパビリオンは、Earth to Ether Collective(アース・トゥ・イーサー・デザイン・コレクティブ)が手掛けた、文化、イノベーション、持続可能性が交差する象徴的な建築であり、会期中を通じて国内外から最も多くの来館者を集めた海外パビリオンの一つとなりました。コミッショナー・ジェネラルであるシハブ・アルファヒム駐日特命全権大使は、「UAEパビリオンは単なる建築物ではなく、価値観と志が交わる場となった」と振り返っています。この記事では、UAEパビリオンがどのようにして500万人以上の心を掴み、万博の成功を象徴する存在となったのか、そのデザイン、メッセージ、そして残したレガシーを深掘りします。
500万人以上を魅了し、万博を象徴する成功を収めた「大地から天空へ」の旅

UAEパビリオンは、6か月間の会期中に延べ500万人以上(実来館者493万人超、ウェブ・バーチャル会場体験者11万人超)の来館者を迎え、2025年大阪・関西万博で最も多くの来館者を集めた海外パビリオンの一つとして、その名を刻みました。この成功の鍵は、テーマ「大地から天空へ(Earth to Ether)」のもと、UAEが掲げるイノベーション、開かれた姿勢、協働の精神を、アートとテクノロジー、そして人間性が融合したストーリーテリングを通じて五感で体感できるように設計されていた点にあります。

このパビリオンは、Earth to Ether Collectiveの革新的なデザインを通じて、地球上、そしてその先の未来において生命を支えるというUAEの“共に進む”ビジョンを力強く体現しました。

来館者調査でも非常に高い満足度が記録されており、単なる集客力だけでなく、スムーズな運営と温かいホスピタリティが、この万博における成功を決定づける要因となりました。この共有された旅は、UAEの発展の物語を映し出すとともに、国際的な対話と発見の場を提供しました。
「つながり」を通じた進歩、日本との協働とユースアンバサダーの活躍

UAEパビリオンは、「つながりを通じた進歩」という信念を、建築、人材、プログラムの全てで体現しました。建築デザインは、UAEの伝統と日本の職人技が融合したものであり、文化・創造性・人間への敬意を共有する両国の強いパートナーシップを象徴していました。このパビリオンの成功の中心にいたのは、UAEの精神と物語を体現した46名のユースアンバサダーたちです。

彼らは「前向きな姿勢」「開かれた姿勢」「共に進む目的意識」といったUAEが大切にする価値観を体現し、世界各国から訪れる来館者と心の通うつながりを築きました。また、外交の面でも重要な役割を果たし、6か月間で73か国を代表する583件のVIP訪問を受け入れ、イノベーション、持続可能性、投資といった分野におけるパートナーシップを深化させるための閣僚級会談や覚書調印式を多数開催しました。
持続可能なレガシー、デザイン賞受賞と未来への貢献

UAEパビリオンは、その質の高さとメッセージ性により、BIEブロンズ賞(建築とランドスケープ部門)やワールド・エキスポ・アワード最優秀スタッフ賞など、複数の国際的なデザイン賞を受賞しました。これは、デザイン、ストーリーテリング、そして卓越した体験づくりにおいて、世界的な新たな基準を打ち立てたことを示しています。ADNOC(エネルギー)、PureHealth(医療・健康)、Space42(宇宙)、アブダビ文化観光局(文化)という4つの公式パートナーとの協働のもと、パビリオンはサステナビリティ、医療イノベーション、宇宙探査といった分野を探求する260以上のプログラムを展開しました。

特に、ナツメヤシの紙を使用したノートや職人によるデザインアイテムの販売成功は、パビリオンの理念である持続可能性と創造性を、“形として持ち帰る”レガシーとして来館者の手に残しました。「大地から天空へ」というメッセージは、万博の閉幕後も、文化と思想、そして共通の志を通じて未来を照らし続けることでしょう。
食とデザインに込めたホスピタリティと文化交流

UAEパビリオンは、ホスピタリティと文化交流においても傑出した成果を収めました。館内のレストランでは延べ17万9,943人の来館者を迎え、日本の食文化に着想を得たBENTO BOX形式のエミラティ料理(ラム・ウージやダジャジ・マッチブースなど)を提供し、来館者に印象的な食の出会いをもたらしました。特に「ラフシュとラクダミルク」の提供は、異文化の味覚体験として大きな話題を呼びました。

また、アブダビ文化観光局による伝統パフォーマンス「アル・アヤラ」や伝統工芸の実演・ワークショップは、日本とUAEの来館者をつなぐ温かい交流の場を生み出しました。食とデザインを通じて展開されたこれらの文化プログラムは、UAEが大切にする「開かれた姿勢」と「おもてなしの心」を体現し、来場者の満足度を高める重要な要素となりました。パビリオンの成功は、単に建築物や展示内容の素晴らしさだけでなく、来館者一人ひとりの体験に焦点を当てた、きめ細やかな運営とホスピタリティの勝利でもあったと言えます。
1970年からの「つながり」大阪におけるUAEの歩み
UAEが大阪の地で国際博覧会に参加するのは、1970年の大阪万博以来、55年ぶりのことです。コミッショナー・ジェネラルであるシハブ・アルファヒム大使は、この55年ぶりの参加は「象徴的であり、同時に大きな意義を持つもの」であると述べています。これは、1970年の初参加から今日に至るまでの国家としてのUAEの歩みと成長を示す場であり、また、UAEと日本の「深い友情を改めて確認する」機会でもありました。UAEパビリオンの成功は、単発的なイベントではなく、万博という国際的な舞台を通じた「つながり」の歴史の中に位置づけられています。この歴史的な継続性は、UAEが未来に向けて掲げるビジョンが、確固たる過去と現在の上に築かれていることを示しています。このように、UAEパビリオンは、過去の経験と現在の革新を結びつけ、「共に描く想像力がいかに意味ある変化を生み出すか」を世界に示しました。